営業メンバーのスキルを上げたい

2024.02.25

商談中のお客様の頭は、紙飛行機大会でいっぱいだった。

お客様が熱中する商談にするために、営業が心がけるべき2つのポイント

まずは「お客様とのズレ」に気付こう

営業支援の現場にいくと「反応やリアクションの薄いお客様には、どのようにコンタクトをとればよいのか」というお悩みをよく伺います。

営業の方が苦手意識を持つ方が多いこのタイプのお客様とコミュニケーションをとるために、意識していただきたいのは、「ズレの解消」と「二人三脚」の2つです。今回は、この2つについて事例を挙げながらご紹介します。

まずは、「ズレの解消」について、当社代表の高橋の個人的な体験をお伝えしながらご説明します。

15年以上前、高橋が一部上場企業の人事課長と商談をした時のことです。高橋が熱くサービス紹介をしたものの、「…はい。ありがとうございます」という一言で、商談が収束してしまいました。

「何か、ご質問はございますか?」と尋ねると、「いえ、大丈夫です」と即座にお答えになります。

「では後ほど追加の資料でも…」とご提案すると、「あ、大丈夫ですよ」とこちらもすぐにお答えいただきました。このままでは何も進展しないと、高橋は焦りを感じたようです。

予定していた会議の時間も大幅に過ぎてしまい、「金曜日の夕方にも関わらず、時間を超過してしまい申し訳ありません」と高橋が謝罪をすると、「いえ、仕事は大丈夫ですよ。ただ、週末は大会なので…」というお返事がありました。

高橋はすかさず「大会」というお客様がおっしゃった言葉を拾い、詳しくお伺いしたところ、紙飛行機の全国大会に参加されるとのことでした。

この会話から、一気に人事課長の目が輝きはじめたのです。

お客様は「昨年は本当に惜しかったんですよ!今年はかなり練習したので…」と、熱くご説明されました。高校時代に物理が苦手だった高橋も、紙飛行機に関して熱心にお話しするその内容について、興味津々にメモを取ったと言います。結果としてこの話で30分が過ぎ、高橋は次回のアポイントメントを獲得、その後の受注に繋がりました。

反応が薄いお客様への2つの対応

高橋はこの経験から「こちらがいくら一生懸命サービス紹介を話しても、相手は全く違うことを考えていることがある」ということを学んだと言います。

反応やリアクションが薄いお客様への対応は、「コミュニケーションの調整」と「興味を引くポイントの発見」にあります。

お客様は頭の中で何を考えているのか、自分では想像がつきません。この一件で、高橋は「何がお客様の関心事なのか」を聞くようにしながら商談に臨むようになったと言います。

ただ、仕事に関連する関心事ならまだしも、紙飛行機大会のようにプライベートの話を商談で探るのは難しいものがあります。

そこで高橋は、お客様に時間的な余裕がありそうに見えたとしても「お仕事がかなり大変なところ、わざわざお時間頂き…」と話を始めるようにしました。

すると、仕事以外のウェイトが高い方からは「いえ、そんなことないですよ」と返されることが多いので、「仕事とプライベートのバランスが取れていて羨ましいです。ちなみに…」と続け、お客様の関心事について探っていくようにしたのです。

人間、誰もが「わかってほしい」という心理を持っています。

お客様も例外ではありません。営業担当として最初にお客様を理解することが大切で、その理解しようとする姿勢が、お客様とこちら側の間での関心事項や興味の「ズレを解消」することにつながります。「ズレを解消」すれば、お客様もこちらの話に耳を傾けていただけるきっかけとなり、商談の温度感もぐっと高まるのです。

「二人三脚」の商談が場の温度を一気に上げる

しかし、「ズレの解消」をしても、お客様の反応やリアクションが薄い場合には、「こちらに言えない本音」がある場合や「お客様自身の考えが、こちらの提案に追いついていない」という状況に陥っていると考えられます。ここで大切になるのが「二人三脚」の考え方です。

特にまじめな営業担当ほど、一生懸命資料を作成しその内容を全てお伝えしようと、頑張って多く話してしまいがちです。「ちょっと違う」と感じたり、考えが追いついていないお客様は、あっという間にこちら側と距離を置いてしまいます。

こういった事態を避けるために、商談ではお客様の反応を観察しながら、話しすぎず、適当に間を取り、質問を投げかけることが「二人三脚」の商談にするために効果的です。

ただし、質問を投げかけるとき1点注意が必要です。「ご不明点はないですか?」という質問は、お客様の「特にありません」という「薄い答え」を引き出してしまうため、避けた方が賢明です。その代わりに使用するものが以下の質問です。
・「他のお客様からはこんな声も聞きますが、御社ではどうですか?」(条件付きオープン質問)
・「AとBとではどちらに近いですか?」(選択肢付きクローズドクエスチョン)

これらの質問を投げかけることで、お客様の意見を引き出し、お客様と一緒に考える「二人三脚」の会話を導く事ができ、商談の温度感は一気にあがるのです。

反応やリアクションが薄いお客様には、是非「ズレの解消」と「二人三脚」を意識して商談に臨んでいただきたいと思います。

お客様から冷たくされる本当の理由

若手の方は、それでも不安だ、と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

そこで、お伝えしたいことがあります。

多くの営業組織では、ベテランが既存の大規模なお客様を担当し、若手が新規開拓を担当するという役割分担が一般的だと思います。新規開拓では、まだお客様との関係が築けておらず「どなたですか?」などと言われたり、「今日は情報収集だけなので手短かにお願いします」といったりした、冷たい対応を受けることも多いのではないでしょうか。

このような場合、そもそもお客様がそうした対応をする背景には何があるのか、まずはその点から考えてみると冷静に対応することが出来ます。

人間誰しも、初めから人に冷たくしようとは思いません。本来人間は、社会的な動物で集団を形成する傾向があります。一方、自分とは異なる集団とみなされると、本能としてそっけない対応をしてしまうことがあるのです。まだ関係が構築できていない相手は、「異なる集団」と認識される可能性が高くなります。

また、お客様が過去に接したことのある営業担当の中には、一流とはいえない人も含まれていることも事実です。過去の苦い経験から、お客様が営業担当の腕前を確かめるようなそっけない対応をとってしまうのだ、と抑えておけば、更に冷静に対応することができるのではないでしょうか。

お客様が営業の腕前を感じる時は「適切なレスポンス」であることが当社の調査により分かっています。もちろん人柄も大切なのですが、それは最低要件のようなもので、人柄が良いからといって必ずしも優遇されるわけではありません。特にお客様の企業規模が大きくなればなるほど、人柄より営業の腕前を重要視していることも調査から判明しています。

「適切なレスポンス」をするには、お客様の背景を踏まえた上で冷静になり、お客様との間の「ズレ」を丁寧に探り解消しながら、お客様と「二人三脚」で商談を進めることで可能になります。これらのポイントを、よりスムーズに実施できるようになるためには、社内でのロールプレイも大変重要です。ロールプレイで練習を行い、是非お客様にご自身の腕前をお見せして、信頼関係を構築していただければ幸いです。

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