成果があがる営業組織を作りたい

2024.03.28

接戦商談で「やるべきこと」が明確な会社が、営業で良い結果を出す

「商談終盤の10ヶ条」で受注率はなぜ上がるのか

「接戦商談」の受注率を上げるには?

営業において良い結果を出す会社は、どちらに転ぶかわからない「接戦商談」でやるべきことをきっちりやりきる習慣がついています。こうした状況を築くために、「商談終盤の10ヶ条」が効果的です。今回は「商談終盤の10ヶ条を組織に根づかせて受注率を上げる方法」についてお伝えします。

接戦商談で「やるべきこと」をやりきるために

今回は「商談終盤の10ヶ条を組織に根づかせて受注率を上げる方法」についてお伝えします。

営業において良い結果を出す会社は、どちらに転ぶかわからない接戦商談でやるべきことをきっちりやりきる習慣がついています。こうした状況を築くために、「商談終盤の10ヶ条」が効果的です。

① 今ここに時間を使っている理由

営業の提案は「自社の商品をプッシュする」ことが目標になりやすい傾向があります。「お客様が何を実現したくて、何に困っているのか」ということを忘れないようにするため、「なぜこの商談に時間を使っているのか」という商談の目的をお客様の言葉と共に確認します。

② 提案への感触

何となくプレゼン後に「いかがですか?」と感想を聞くだけでは、お客様もコメントがしづらくなってしまいます。そこで「お客様が今ここに時間を使っている理由」を確認した直後に、提案への感触を聞きましょう。この流れが重要で、あくまでも自社サービスは「お客様にとっての手段」であることを忘れないようにしましょう。

③ 進め方の意向

提案について、お客様が前向きに進めていきたいかどうかを確認する前に「気になるところはありませんか?」と聞いてしまう営業は多いです。この聞き方だと、出てくる課題に対する強引な説得になりやすい傾向があります。気になるところを払拭しにかかる前に「お客様本人としての意向」を尋ねておきましょう。

④ BANTCH情報

BANTCHとは、Budget(予算)、Authority(決裁者)、Needs(ニーズ)、Timing(検討時期)、Competitor(競合)、Human Resources(人員体制)のことで、営業がお客さまに提案する上で抑えておきたいポイントです。

「当初の目的にそった提案であり、前に進めていきたい」という言葉を頂いてから、予算や決裁ルート、スケジュールなどの不明点をヒアリングします。しかし、この確認のタイミングが早すぎると、大した理由なくはぐらかされてしまうことがあります。ある程度の前提を積み重ねてからだとBANTCH情報は聞きやすくなります。

⑤ 社内のネクストアクション

意外と盲点になりやすいのが「お客様の社内カレンダーに入っている予定」です。この商談の後、担当者は上司の方とミーティングが入っているのか、あるいはメールで資料を共有するだけなのか、定例会議はあるのか、といった情報を聞く前に「いつ頃決定されますか?」と焦って尋ねることで、かわされてしまう営業は多いです。

⑥ 検討上のネックや判断基準

お客様の異論や反論への対処です。いわゆるオブジェクションハンドリング(自分の意見と反対の意見を持っている相手の真意や質問の意図を確認し、同意した上で話を切り返すこと)はタイミングが重要です。「買いたい気持ち」がどれだけ現実的かが見えていないと、単なる押し売りで終わってしまいます。一方で、お客様が「買いたいから助けてほしい」となった後であれば、二人三脚で商談を進めることができます。

⑦ ネクストステップ

営業マネジャーから「何としてもネクストステップを握ってこい!」と指導されていると、商談の後半から気もそぞろに「ネクストステップを握らないと…」となってしまう若手営業の方は多いです。その際に焦りすぎず、「買いたいお客様を支援する」モードになっていれば、ネクストステップはスムーズに決まります。

⑧ 当社へのリクエスト

お客様は発注へのネックを即座に言語化できるわけではないので、クロージング工程で丁寧にそれを解消していく必要があります。「検討しますのでお待ち下さい」と言われてそのまま待っていると受注率はただ下がるだけです。万全を期すために、何らかの「宿題」を自然にもらっておきましょう。

⑨ こちらの熱意

お客様も人間です。熱意のある営業とない営業がいたら、熱意のある営業から買いたいものです。ただ、熱意を示すタイミングを間違えて、「単なる買ってくださいアピール」にならないよう注意が必要です。詰めるべきプロセスをしっかりと詰めて、最後のひと押しで、正しく気持ちを伝えましょう。

⑩ 直後のコミュニケーション許可

接戦の商談はもつれがちになります。競合が頑張って粘ってきたり、社内の関係者が複雑だったりします。このような状況では、最後まで安心はできません。そこで、接戦においては「この後、10分ぐらいお電話でお話できる時間はありますか?」と、着実に10分電話商談の許可をいただいておきましょう。

なぜ10ヶ条の順番に意味があるのか

ここまで述べたことについて、さらに詳しく解説したいと思います。

少し前に、このテーマについてX(旧Twitter)で投稿したところ、約1000件の「いいね!」がついており、非常に多くの反響を得ています。ここで扱ったのは、以前当社代表の高橋が出版した『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法』(KADOKAWA社)という書籍の中で取り上げたコンセプトです。

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法

高橋浩一

質問の力が仕事において重要であることは広く認識されています。この10ヶ条の中には、営業とお客様のロールプレイの会話の様子なども記載されています。これは元々、受注率を左右する要素を分析し、営業が落とさないようにすべき具体的なステップを明示したものでした。

この10ヶ条の順番には実は意味があります。商談終盤の10ヶ条を組織に根付かせるためには、順番をしっかりと理解し、啓蒙することが重要です。順序が重要な理由は、1番目の「今ここに時間を使っている理由」が全ての前提にあるからです。

多くの企業が商談終盤の10ヶ条を良いと感じ、組織のメンバーに共有して教えようとするでしょう。それだけでも一定の効果はあるかもしれませんが、多くの人には少し理解しきれない部分があるかもしれません。

浸透のカギはシステムに組み込むこと

そこで重要なのは、10ヶ条の背後にある意味を伝え、デモンストレーションを行うことです。商談を10ヶ条に沿って進めるとどうなるのかをリアルに示すことで、イメージが湧きます。10分から15分のやり取りで十分ですが、これがないと中々イメージは湧きません。

実際に10ヶ条に沿って商談を進める練習をすることも重要ですが、一気にやると時間がかかるので、前半・後半に分けてやるのも良いでしょう。

まずは商談の基本的な流れを体で覚え、体得する必要があります。これを組織に根づかせていく際には、仕組みが重要です。例えば、10ヶ条のルールを情報項目として商談管理システムの中に入れてしまうのは有効な仕組み化です。

当社の場合、以下の4つを商談管理システムの情報項目として入れています。

  • ① お客様が社内で正式に決定する日付
  • ②最終決定前に合意を取るべき人物と、その人物と担当者とのやり取りがされる日付
  • ③そのために必要な資料が担当者の手元でフィックスされる日付
  • ④ その資料について当社とお客様との間で相談する日付

このように入力しなければならない情報項目を作ることで、商談の現場において丁寧にお客様をフォローしていくことが求められるようになります。なぜなら、これらの4項目を正確に入力するには、商談終盤の10カ条を必ず実践しなければならないからです。もしこの項目が入力されない場合は、マネジャーがメンバーに介入してサポートする必要があります。そこまでが「仕組み」です。

お客様への適切な配慮で、情報を得やすくする

この仕組みのポイントは、商談終盤の10ヶ条を単に促すだけではなく、それらを正確に行えるようにトレーニングすることでもあります。

もちろん、あらゆる案件でこのやり方を適用しようとすると情報を入力するだけでも業務の負担が増えてしまいます。そこで、対象となる案件を選び、その範囲内でこのやり方を適用する、というのも有効なやり方です。対象案件にはしっかりと取り組み、その他の案件には適度に適用する、といったようにバランスを保つことで業務の負担を増やさずに商談終盤の10カ条を組織に浸透させることができます。

この取り組みを成功させるための具体的な手段として、10分の電話商談やメールの指導などもおすすめです。お客様と少しずつ話をしながら進めることで、新しい情報項目もスムーズに埋めることができるでしょう。

その際、お客様に対するメールの書き方には十分気をつけましょう。ただ単に「こちらの都合で教えてください」というのではなく、相手に適切な配慮をして、言葉遣いに工夫を凝らすことが求められます。

単に「商談終盤の10ヶ条をやりなさい」と指示するだけでは組織に根付かないため、「仕組みづくり」に焦点を当てて取り組みを進めることが重要です。

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