営業の成果に大きく影響する「勝ちパターン」
今回は「組織に展開するキーワードは6文字以内で」についてお伝えします。
当社の「営業1万人調査」の結果から、目標未達のチームに共通する課題をグラフで示しました。「目標を達成するのが当たり前のチーム」と「目標未達が当たり前になってしまっているチーム」を比較すると、最も顕著に差が出るのは「勝ちパターンの有無」でした。
チームに勝ちパターンがあるかどうかは、営業の成果に大きく影響します。勝ちパターンを組織に浸透させるには、言葉がみんなの中で根付き、行動に落とし込まれ、効果を発揮している必要があります。
以前書籍を出版する際、編集者さんとの会話で「タイトルは6文字以内」という話が出ました。これは、組織の共通言語やキーワードを作る際にも似たところがあります。言葉が長いと覚えられないですし、その言葉が1人歩きしても機能しません。例えば、当社では今年は「丁寧にやろう」という6文字を全体のコンセプトにしました。しかし、この6文字に凝縮する作業は難しいのです。
「直感的にわかりやすい言葉」こそが人を動かす
言葉を単純化し、その重要性を6文字に集約することが大切だと感じたエピソードがあります。それは、青山学院大学陸上競技部の原晋監督と対談したときのことです。
その対談で、原監督に「毎年、戦略をわかりやすい言葉で表現する理由は何ですか?」と聞きました。すると原監督は、「リーダーや統率する立場の人は多くの情報を把握し、複雑に考えがちであるけれど、本当にみんなの力を沸き立たせるには直感的にわかりやすい言葉にする必要がある」と仰いました。
組織の中でこれを応用する場合、その言葉が端的に組織において大事にすることを表していて、リーダーがいない間にもその言葉がみんなの間で流通している状態を作り、それがメンバーの行動に影響を与えている状態を作ることが重要です。
もちろん、単にコンセプトを掲げるだけでは効果は持続しません。例えばそのコンセプトを会社の見えるところに貼り付けて、みんなが見れるようにしておくのも効果的です。
会社で使用する資料にコンセプトを記載する欄を作成するのもいいかもしれません。それを毎回の社内ミーティングのときにみんなで確認します。一貫して掲げたコンセプトを組織内に浸透させていくのです。
その際、単純にそれの読み合わせをするのではなく、そのコンセプトがみんなの活動とどう紐づいていて、それがどのような行動となっているのかを確認することが重要です。
それがリーダーのいないところでも当たり前になされている状態を作ることができれば、そのコンセプトは組織の文化となります。
言葉が力を持つためにはいろいろな仕掛けを施したり、人の力を借りて浸透させていく必要があります。