お客様が非常に重視する「レスポンスの速さ」
今回は「値引きせずに目標達成している営業がやっていること」についてお伝えします。
以下は弊社の「お客様1万人調査」における「正式な見積もりをもらう前に『この会社に発注したい』と心が決まっていたことはありますか」という設問に対する結果です。
調査の結果、約8割の方が「正式な見積もりをもらう前に『この会社に発注したい』と心が決まっていたことがある」ということがわかりました。
これは非常に示唆に富む結果で、お客様がどの段階で「この会社はいい」と感じたのかも詳しく回答していただいています。その際、普段は選択式で質問することが多いのですが、このアンケートでは意図的に自由回答形式を採用しました。なぜなら、お客様が何を重視しているのかを深く理解するためには、自由な言葉での回答が非常に価値のある情報だと考えたからです。
実際に回答していただいたうち、約7600人の方が具体的な意見を記入してくれました。このデータを1つ1つ精査してみると、共通するポイントがありました。それは「レスポンスの速さ」です。お客様はレスポンスの速さを非常に重視されるようで、それが発注先選定の大きな要因となっていました。
見積もりを出す前に「心を決めている」お客様が多い
多くの営業は、提案内容や見積もりが全てだと思い込んでいます。しかし実際には、見積もりを提示する前に心を決めた経験のあるお客様が多いのです。
提案内容と見積もりはもちろん大事ではありますが、お客様がどこに発注するかを決める時には、必ずしも提案内容と見積もりが影響するとは限らないということです。これは多くの営業が見落としているポイントです。つまり、良いレスポンスが提供できるかどうかが、お客様が最終的にどの会社に発注するかを決定する大きな要素となるわけです。
重要なポイントですので、繰り返します。
お客様に商品やサービスをご購入いただく際には、もちろん提案の内容や見積もりというのは絶対に欠かせない情報です。ただし、「お客様の心が動く」ということにおいては、必ずしも提案内容とか見積もりを必要とするものではない、ということです。ここをしっかりと切り分けて考える必要があります。
「お客様1万人調査」で見えてきたのは、目標未達の営業の多くが「真面目である」ということです。その一方で、高い成果を出している営業は真面目であると同時に、他にも「武器」を持っています。
その答えが「レスポンス力」です。目標達成している営業はレスポンスが非常に速く、それがお客様からの信頼を勝ち取っています。目標達成している営業に成功体験を聞いた時、その要因として1番多く上がってきた項目が「レスポンス力」でした。
時間が限られていると、レスポンス力も自然と下がってしまいます。こうした状況に対する対策として弊社が意識しているのが「時間の組み立て方」です。
特に重要な商談がある場合、その直後にレスポンス時間を確保しておくと良いでしょう。例えば、商談で出された課題にすぐ回答できれば、それがお客様に与える印象は格段に良くなります。時間の使い方を工夫することで、限られた時間内でも高いレスポンス力を維持することができます。
目標達成している営業は「資料作成」を重視しない?
弊社の「営業1万人調査」に興味深い調査結果があります。「あなたの強みはなんですか?」という設問に21個の項目から自分の強みと思うものを選んでもらいました。すると、21個ある強みの中で目標達成している営業の1番下にきたのは「資料作成力」だったのです。
資料はすごく大事なように思えるかもしれませんが、目標達成している営業の強みでは最下位なのです。逆に目標未達の営業では、「資料作成力」は上位にきていました。「資料作成力」という点において、目標達成している営業と目標未達の営業の間ですごくはっきりと結果が別れているのです。このことから、目標達成している営業が「資料作成力」で勝負しているわけではないことがわかります。
資料というのはあくまで1つの例ですが、他にも目標未達の営業はとにかく「お客様の要望に対して丁寧に答えようとする」という傾向があります。それ自体は悪いことではありませんが、それ以外の武器が少ないとどうしても「御用聞き営業」になりやすいということです。