営業メンバーのスキルを上げたい

2024.10.01

固定観念や思い込みが営業の成果に影響する

「振り返り」が営業の成長スピードを押し上げる

営業の成長スピードを上げるには「振り返り」が重要

商談において事前準備の重要性はよく言われますが、それと同じくらい大切なのが「振り返り」です。振り返りは営業の成長スピードに大きな影響を及ぼします。今回は営業を成長させる振り返りの仕方についてお伝えします。

営業の成長には「振り返り」が重要

商談において事前準備の重要性はよく言われますが、それと同じくらい大切なのが「振り返り」です。きちんと振り返りを行っている営業は少なく、これを徹底することで成長のスピードに大きな差が生まれます。振り返りには以下の4つのステップがあります。

1

商談直後の内省

商談直後に一人で内省し、次のポイントをノートに書き留めることが重要です。
・想定通りに進んだこと:どうすれば同じ成果を再現できるか?
・想定以上にうまくいったこと:その要因は何か?
・想定通りに進まなかったこと:再発を防ぐためにはどうすれば良いか?
この内省作業は、事前準備とセットで行うことで、次の商談に活かすことができます。

2

同席した社内メンバーとの対話・議論

特に若手の営業にとって、同席した上司や先輩との対話は非常に重要です。例えば、上司や先輩が商談の場でどのような発言をしたか、その意図や背景を探ることで、自分のスキル向上に繋げることができます。また、自分では気づかない改善点については、積極的にフィードバックを求め、真摯に受け止めることが成長に寄与します。

3

上司への報告

商談後の上司への報告は、単に事実と相談事項を伝えるだけで終わらせるのはもったいないです。報告は、自分の商談に対するメタ認知力を鍛える良い機会です。「事実報告」や「相談事項」とは別に、「自分なりの考察」や「浮かんだ疑問」を整理し、上司に自分の現状や理解度を伝えるようにしましょう。

4

商談後のお客様からのフィードバック

書籍『無敗営業』でも述べられていますが、商談直後にお客様へメモをメールで送り、その後フォローの電話をすることで得られるフィードバックは非常に価値があります。このプロセスを通じて、「お客様との認識のズレ」を早期に発見し、商談をお客様視点で振り返ることができます。この情報を次の商談に活かすことで、さらに成長することが可能です。

「経験学習サイクル」で思い込みに気づこう

「振り返り」は営業の成長スピードに大きな影響を与えます。「営業の成果」に影響を与えるのは事前準備であり、「営業の成長」に影響を与えるのは振り返りと言ってもいいでしょう。

デイビッド・コルブという方が提唱した「経験学習サイクル」というものがあります。この経験学習サイクルは、人が成長する際にどのようなサイクルを描くかを示しています。

経験学習サイクルでは、まず①何かしらの経験をし、②その経験を振り返って内省を行います。③次に内省の結果を基にして新たなキーワードを作り、④それを元に新しいことに挑戦します。この4段階の動作を繰り返すことで、人の成長が大きく促進されるとされています。何かを経験し、それを振り返り、キーワード化して、新たに試してみる。このサイクルを回していくことで、自分自身の固定観念や思い込みに気づくことが非常に重要です。

人間は、自分の認識の枠組みから抜け出すことが一番難しいと感じることがあります。以前、全米オープンというテニスのグランドスラムで、ジョコビッチ選手が優勝しました。彼は試合前の記者会見で「自分がここにいることについて驚いてはいない」という趣旨のことを話していました。

一見すると、自己肯定感が高くないと世界のトップには立てないという見方もできますが、高橋は少し違った見方をして、彼は「自分がここにいるのは当然だ」と考えるように自分自身の認識を作り上げてきたのだと思ったと言います。

以前、高橋はオリンピック選手の講演を聞いたとき、オリンピックのメダリストは「自分が金メダルを取ると信じている人たち」の中から生まれると言われ、なるほどと思ったそうです。つまり、自分が世界一に値すると思っている人たちの中からメダリストが生まれるのであって、頂点に立つことを想像すらしていない人は、メダルを取ることはできないということです。潜在意識の中でトップの世界を意識しているからこそ、彼らはその成果を手に入れるのです。

このように、どのような認識で生きるかというのは非常に重要であり、営業でも「自分は達成できる」「成果が出せる」と信じることが大切です。逆に、「この商品は売れない」という固定観念に囚われていると、成果を上げるのは難しいです。

自信をつけるには「きっかけ」が必要

どのタイミングで自信をつけるのかという点ですが、いきなり根拠のない自信を持つのは、自己肯定感が非常に強いキャラクターでない限り難しいです。やはりどこかのタイミングで自分の成長を実感したり、自分の可能性を信じられるようになったりするきっかけが必要です。そうすると、自分に変化が起こる瞬間をどこかで感じることになります。

昨日までの自分と今の自分が違うと感じるのは振り返りの時です。振り返ってみて以前はできなかったことができるようになっていると、その時はじめて変化を自分自身で感じます。つまり、振り返りをしなければ、自分の成長を実感する機会が大幅に減ってしまうということです。

今までできなかったことができるようになったと実感するにはどの観点から振り返るかが重要です。その際、他の人と一緒に振り返りをするとより客観的な認識が得られます。社内のメンバーやお客様が関わることで振り返りの効果がさらに高まるのです。

振り返りは商談が終わった直後が効果的ですが、最近ではオンライン商談などで次々と商談が続くことがあり、振り返る時間が取れない場合もあるかもしれません。そのような場合には一日の終わりに振り返る時間を持ったり、仕事を始める前に前日のことを振り返る時間を作ったりするのも良いでしょう。

振り返りを続けているうちに、自分の中で何かしらの変化を感じることができます。それにより、自分の認識がどんどん変わっていくでしょう。

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