営業メンバーのスキルを上げたい

2025.10.14

お客様の「忙しさの原因」に重要な情報が潜んでいる

クロージングで「宿題」がもらえない営業がやるべきこととは?

クロージングでは「具体的な提案」をしよう

提案後のクロージングで営業が「何かお手伝いできることはありませんか?」と尋ねても、「いえ、大丈夫です」と返されてしまうことがあります。提案で良い感触を得たにも関わらず、お客様の社内での検討プロセスが停滞する場合、お客様の次の工程に必要そうなものを仮説ベースで提示することが有効です。

お客様の意思決定プロセスを支援しようとオープン・クエスチョンで「何かお手伝いできることはありませんか?」と投げかけても、お客様は何をどこまで依頼したら良いかが分からない場合があります。さらに、お客様は社内のどのプロセスでどのように詰まっているかを具体的に言語化するのが難しいため、条件反射で「とりあえず大丈夫です」と返答されがちです。

また、比較的多いのは「やるべきことは理解しているが、他の業務が忙しくて社内の検討が進まない」というケースです。やるべきことが見えている場合、お客様は外部の営業に頼るよりも自力で進めようとされることが多いです。しかし、お客様が忙しければ、当然ながら進行は遅れます。

お客様の社内における意思決定プロセスを支援するには「このような資料が必要ではないか」と当たりをつけ、お客様から求められる前に「例えばこういう資料もありますが、もしお役に立つようでしたら…」と提案すると良いでしょう。そこで初めて、お客様も「ああ、こういうフォローもしてくれるのだな」と、具体的なイメージが湧きます。

意思決定プロセスの支援で「他社との比較表」を出そうとする営業は多いですが、比較表以外を出すこと以外にもできることはあります。 例えば、お客様が社内に送るメールの文章を途中まで書いたものを送るのも良いでしょう。エンタープライズ営業ではお客様の社内で使われているパワーポイントのテンプレートを入手しておくと便利です。

「何かお手伝いできることはありませんか?」とオープン・クエスチョンで尋ねると、否定的な返答が返ってきた際に次にできることがなくなってしまいます。逆に、「こういうのもありますが…」と具体的な提案をすることでなにかしらのフィードバックがくるので、次のアクションが途切れなくて済みます。

「事前準備」がクロージングの成否を左右する

商談の最後の5分で急に「何かお手伝いできることはありませんか?」と尋ねても、営業もお客様も適切な案が思いつかないことが多いです。この落とし穴を避けるには、ネクスト・ステップについて商談の冒頭から意識しておくことが重要です。

最初の5分で商談の流れや雰囲気を把握し、「今日この場でお返事をいただけるのかどうか」を見極めましょう。最初の段階で商談の方向性を把握し、ネクスト・ステップを想定しておくのです。

お客様が即決しそうな雰囲気なのか、「持ち帰る」可能性が高いのかは大体最初の5分で見えてきます。もし「この場では決まらず、持ち帰られる可能性が高い」と感じた場合、商談中にその状況を見越した対応策を準備しておくことが求められます。

具体的には、「持ち帰られた場合にどのようなオファーを提示するべきか」を商談の中であらかじめ考えておくということです。お客様の反応や発言から「ここは追加で資料を準備した方が良さそうだ」「この点について補足をすれば喜ばれるかもしれない」といった「材料」を集めておくのです。

もちろん、商談中はクロージングを目指すことが第一の目標です。しかし、成功と失敗の両方のシナリオをあらかじめ想定し、「この商談で決まる場合にはこう進める」「決まらない場合にはこうする」という見通しを立てながら商談をすることが重要です。そのようにして、どちらに転ぼうと商談が終了した際に次のステップを提示できるようにしておくのです。

商談の最後に「何かお手伝いできることはありませんか?」と漠然としたオープン・クエスチョンを投げかけるのは、商談中にお客様の懸念や疑問、ちょっとした要望といった「材料」を見つけられなかった証拠と言えます。

商談中にお客様のお役に立てる「材料」をしっかりと拾えていれば、「◯◯様がおっしゃっていたこの件について追加で資料を作成しますので、再度ご検討いただけませんか?」といった具体的な提案が可能になります。商談の成功には最初から最後まで一貫してお客様の反応を観察し、次のアクションに繋がる材料を収集していく姿勢が欠かせません。

まずは、「この場で決まる可能性」と「この場で決まらない可能性」の両方を視野に入れておくようにしましょう。そして、後者の可能性を事前に考慮し、その場合にどのように対応するかを準備しておくことが重要です。

そのような準備をしておくと、クロージングの際に宿題をもらえないという事態は、基本的には事前準備が不足していたことに起因していると気づけます。それについては、弊社代表高橋の著書『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)でも詳しく解説しています。この準備を徹底することで、クロージングの際に慌てることなく、スムーズに次のステップに進めるようになります。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

意思決定プロセスに関する情報を把握しておこう

ここまで述べたように、事前準備やシナリオの想定は非常に重要です。しかし、それだけでは解決できない課題もあります。それは、お客様側の意思決定プロセスに関する課題です。

例えば、目の前のお客様が前向きな姿勢を示していても、社内の合意を取る必要がある場合があります。このようなケースでは、どれだけシナリオを立てて準備をしていても、その商談だけですべてが決まるわけではありません。

こうした状況で「どのようなポイントで詰まりそうか」「どのような支援が求められるのか」を正確に理解するには、日頃からお客様の組織や業務に関する情報を把握しておく必要があります。そのためには、お客様との会話や雑談を通じて「社内の風通しの良さ」について情報を集めることが大切です。

例えば、社内で合意を取る際にしかるべき関係者を集めてお伺いを立てなければならない会社もあれば、「誰に確認してから、次に誰に確認して…」といったことが複雑に絡み合っている会社もあります。一方で、比較的オープンに話し合いが進み、スピーディーに決定が下る会社もあります。

こういったことはすべてその会社の文化に依存する部分が大きく、業種や規模だけで一括りにできるものではありません。そうした背景を理解するには、普段からお客様の発言や行動に注意を払い、その組織の特性や文化を把握しておくことが不可欠です。それが、商談をスムーズに進めるための基盤となります。

例えば、「ベンチャー企業だからすぐに決まるだろう」と思ったら、実際にはそうではなかった、というケースはよくあります。「役員と社長の関係が上手くいっておらず、事前に様子を探る必要がある」といったこともあります。一方で、大企業で関係者が多い場合でも、ある特定の人が「良いよ」と言えばすぐに決まる、というようなケースもあります。

本来であればこうした深い内部事情をしっかりと聞きたいところですが、いきなりお客様との雑談でそうした話題を切り出すのは難しいです。そのため、組織の「風通し」という比較的柔らかいテーマから情報を聞き出すことがおすすめです。

まずは「最近お忙しいですか?」と尋ねます。多くの場合、「忙しいです」という答えが返ってきますが、そこで「どのようなことでお忙しいのですか?」とさらに掘り下げます。

そこで注目したいのは、忙しさの原因です。風通しが悪い会社では、忙しさの原因が社内の非効率なコミュニケーションや複雑な調整業務に起因していることがあります。一方、風通しが良い会社では基本的な業務がスムーズに進む反面、やりたいことが多くてこなしきれない、といったことが忙しさの原因となっていることがあるかもしれません。

そのようにして忙しさの原因を深掘りすることで、組織の風通しや物事の決まり方、コミュニケーションの流れといった情報を集めることができます。そのような情報を集めておくことは、次のアクションを設定する上で非常に重要です。そういった情報が不足していると、いざというときに適切な対応ができず、商談が停滞する原因になりかねません。そのため、普段からお客様との会話を通じて、そうした情報を少しずつ集めておくことが大切です。

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