営業マネジャーのスキルを上げたい

2024.02.15

「量をこなせば質があがる」には限界があった

アポイントをいただくために、営業が注力すべきこととは?

「お客様が当社に会う理由」を作るには?

「新規のお客様へのアポイントがなかなかいただけない」という営業は多いと思います。新規のお客様のアポイントをいただく際に重要なのは、「お客様が当社に会う理由」です。今回は「お客様が当社に会う理由の作り方」についてお伝えします。

お客様が「当社に会う理由」をどう作るか

「新規のお客様へのアポイントがなかなかいただけない」という営業の悩みをよく耳にします。事前準備が重要だと言われますが、現場ではこの部分が意外とざっくりと指導されがちです。「お客様のホームページを見て課題を想定し、アプローチせよ」というアドバイスが主流であるなか、何に注力すればよいのでしょうか。

重要なのは「お客様が当社に会う理由作り」です。

弊社の「お客様1万人調査」によれば、お客様が「会ってもいい」と感じるためのポイントは、1位が「課題と商材のマッチ」、2位が「費用対効果」でした。これらを、お客様が納得しやすい形で伝えるスキルが求められます。「詳しくはお会いしたときにお伝えします」という言葉では不十分です。アポイント前の限られたチャンスで、具体的に伝える必要があります。

まだ取引がないお客様とのアプローチを繰り返しているうちに、自分自身が消耗してしまうこともあるでしょう。「どんな情報やソリューションがあったら、お客様は忙しくても会ってくれるのか。そして、なぜそれを当社が提供できるのか」という点を検討することが大切です。

「お客様の課題はXXX。それに対して●●を訴求する」といったアプローチだけでは不足です。間のロジックをしっかりと考える必要があります。具体的には、「お客様の課題はXXX。それはこれこれの理由で解決できていないが、当社は従来のサービスと異なり、このような角度から解決できる。だからこそ●●を訴求する」という仮説を立て、検証を重ねることが求められます。

単に大量行動をするだけでは質は上がらない

また、お客様とのやり取りで仮説が外れる可能性もあるため、例えば「お客様と同じ業種(規模)の企業様からよくXXXという課題を伺います。多くの企業様がそこで悩んでいるのは、●●がネックになっているからです」といった訴求の仕方も良いでしょう。

このような仮説検証のプロセスを進めながら、情報を蓄積し、新規開拓活動を展開していくことで、「同じトークやメールの文章を繰り返しているだけで、アポイントが取れない」という疲弊を防ぐことができます。

以前、新卒営業の方がアポイントの獲得で苦しんでいるとき、ロールプレイで軽くトークをしてみたところ、入社時研修のテキストと同じ台詞を話していました。

入社後しばらく経っても成果が出ない新卒営業への指導で、「量をこなせば質が上がる」「まずは行動量を」という言葉だけでは、状況の打開が難しいことがあります。

「たくさん行動せよ」という指導以外に、どんな助言ができるのでしょうか。ここで、「お客様が当社に会うべき理由」を自ら考えられるように育てることが、真に重要な指導となります。

他の企業も感じている悩みを共有し、共感を引き出す

実は、弊社代表の高橋はコミュニケーションが得意な方ではありません。自信を持っているわけではなく、むしろ苦手意識から改善を重ねてきた人間です。コミュニケーションが上手な方々に囲まれると、自分に自信が持てないと感じることもあるようです。

お客様に「もしかしてこうではないですか?」と言い、「違います」と言われるとパニックになる方もいるでしょう。高橋は、あまりそういった言い方はしません。変わりに、よく使うのが「最近、御社と似たようなお客様とお話していたところ、こういうことがありました」という言い方です。この表現では、外から見て絶対に外れない情報から話を進めます。

そのようなコミュニケーションの仕方は、営業にとっても有効な手段の1つです。営業がお客様に仮説を提示する方法を知らない方は多いのではないでしょうか。仮説とは、まだ当たるかどうか確定していない考えです。

それをお客様に提示する行為は、勇気が要ると感じる方も少なくないでしょう。不確実なものを口にするのが怖いという気持ち、もし外れたらどうしようという不安を感じる方もいらっしゃるはずです。

そうした時に思い出していただきたいのが、同じことを伝える場合でも「最近、金融業界のお客様とお話をしていると…」といった具体的な言い回しをすることで、お客様とのコミュニケーションを円滑に進められるということです。

お客様との接点を作るための話題選びは、外れない事実を基に構築し、お客様に共感を感じてもらうことが大切です。それがアポイントメントへの最初の一歩となり、信頼関係の構築に繋がります。このスキルは、営業として極めて重要であり、日々磨いていくべきものでしょう。

直接的な言い方ではなく、「他の企業でも同様のことを感じている」といった話し方をすることが重要です。それによって、お客様からの反応が共感を示す場合もあれば、少し違うと感じる場合もあります。

同様の悩みを共有しているとお客様が感じてくださった場合は、話が深まります。「そうそう、うちも同じですよ」といった共感の言葉が返ってくれば、それは成功だと言えるでしょう。そうでなければ、「うちは違いますね」と言われるかもしれません。

想定外のセリフは、お客様をよく知るチャンス

多くの営業は、このような明確な否定に対して動揺してしまうことがあります。否定されるのは怖いことですし、不安を覚えるものです。

そこで重要なのが、お客様との商談で問題が発生したときの対応を最初から決めておくことです。例えば、そこで出た課題を深堀りし、「どういうことか詳しく伺ってもよろしいですか?」と聞くのも1つの方法です。

実は、この対応方法は弊社代表の高橋がしているもので、既に15年近く続けています。15年間同じことをやり続けているのは、やはりそのメリットが大きいからです。

想定外の反応が来たとき、多くの人は動揺しながらも、一生懸命にアドリブで対応しようとします。しかし、自分の準備ができていないので、なかなか理想通りにはいかないでしょう。

高橋の場合、想定外の反応が来た際には、次のように対処します。

「非常に重要な点だと思います。もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか?」と尋ねるのです。

例えば、お客様との雑談から、突如、急成長中の企業について話題を振られたケースを考えてみましょう。高橋は雑談の延長としてお話を続けます。途中でお客様が重要な点に言及することがあれば、そこで深堀りしていくのです。

ここで重要なのは、即興的な対応や気の利いたセリフは特に必要としないということです。想定外のセリフには深堀りするチャンスが潜んでいることが多いのです。

インサイドセールスの場合、特に電話での対応が重要です。例えば、アポイントを取るためのコールでお客様に繋がった時、最近の仕事の状況などを伺いながら、自社で解決できる課題や悩みをお伝えします。もし相手が興味を示せば、「そうなんですね、ちょっと詳しく伺ってもよろしいでしょうか?」と言い、違う反応があれば、相手の意見を聞くなどして対応します。

ただし、電話での深堀りは相手の迷惑になることもあるという認識が必要です。時間がないお客様に対しては、短い時間で必要な情報を提供するだけで終わらせるのも1つの方法です。

大事なポイントは、「当たるかどうかわからないものをいきなりぶつけるのは、勇気がいる」ということです。そしてその勇気を持って取り組むことで、営業としてのスキルが高まります。当たるかどうかわからないものに挑戦する、それが成長への第一歩です。

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