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2025.07.03

多くのお客様は質問されないことに不満を抱いている

「深掘り質問」でお客様に積極的に話してもらおう

深掘り質問をする上で重要なこととは?

商談においてお客様を理解するには深掘り質問が重要です。しかし、お客様に深掘り質問をすることを躊躇してしまう営業も多いようです。今回は深掘り質問における5つのポイントをお伝えします。

深掘り質問における5つのポイント

お客様に深掘り質問をすることが重要であることは理解しているものの、それを「怖い」と感じる営業は多いです。そこで、お客様の感情を害さないために押さえておくべき5つのポイントを理解することで、自信を持って質問することができるようになります。

1

質問の前のセットアップ

カウンセリングで基本とされるアクティブ・リスニングの3要件は「自己理解」「無条件の受容」「共感的理解」です。お客様を無理に説得するのではなく、相手を理解しようとする純粋な心が大切です。

2

質問の目的

お客様が反論や疑問を口にしたとき、即座にオブジェクションハンドリングをするのは避けるべきです。「私はあなたのことを理解したいのではなく、説得しにきたのです。さあ、私の言うことを聞いてください」という態度ではなく、まずは相手の発言に耳を傾け、理解を深めることが重要です。

3

質問の方向性

「誘導尋問」にならないように注意しましょう。質問に答えていった先に「さあ、困っているでしょう。今買うべきです」という結論が待っていると感じたら、お客様は当然ながら警戒して質問に答えてくれません。純粋にお客様のメリットになることを考えながら深掘りをすることが大切です。

4

質問のタイミング

営業が「どうクロージングするか」だけを意識しながら会話をしていると、上の空で会話の流れも不自然になります。お客様の発言を丁寧に拾い上げ、適切なタイミングで「(理解を深めるために)もう少し詳しく教えていただけますか」と尋ねるようにしましょう。

5

質問の表現

交渉で優位に立とうと「今これで困っているんですよね?」と上から目線で話したり、現在お使いのサービスにダメ出ししたりすると、お客様は「自分を否定された」と感じて心を閉ざしてしまいます。否定をせず、さらに高みを一緒に目指していくために、丁寧で相手を尊重した表現を心がけるようにしましょう。

重要なのはお客様に対する純粋な気持ち

商談では営業が一方的に説明して説得するよりも、お客様が積極的に話をしてくれる方がうまくいく傾向があります。では、具体的にどうすればその状態を実現できるのでしょうか。

一部のお客様は営業からの質問を好まず、むしろ「早く商品の説明をしてくれ」といった態度を示されることがあります。このような反応があると、特に若手の営業はそれ以上お客様に踏み込んだ質問をするのをためらってしまうことが多いようです。

お客様にもタイプがあり、「しっかり話を聞いてほしい」という方もいれば、「あまり質問をしないでほしい」という方もいらっしゃいます。どちらが良い取引に繋がりやすいかというと、やはり気持ちよく色々と話してくださるお客様の方が、長期的に良好な関係を築きやすいでしょう。

一方で、「商品の説明だけしてくれればいい。それでこちらが判断するから」というタイプのお客様の場合、たとえ契約に至っても、その後のお付き合いが長続きしないことも多いです。

最近「営業が強い会社」としてよく名前が挙がるキーエンスという会社があります。弊社代表の高橋はキーエンスのOBの方と会う機会や話をする場面が時々あります。あるとき、高橋がキーエンスのOBの方と一緒に食事をした際、その場で50回ほど質問されたことがありました。初めての会食で50回も質問されたのです。

不思議なことに、高橋は50回も質問されても不快には感じなかったそうです。それは、その方が聞き上手だったことに加え、純粋に「知りたい」という知的好奇心からの質問だったからです。そうした質問は、嫌な気持ちにはならないのです。

そこで高橋は、「なぜキーエンスの方はこれほど堂々と質問できるのですか?世の中の営業はそんなに堂々と聞けないものだと思いますが」と聞いたのです。

高橋はこの質問をその会食だけではなく、何人かのキーエンスのOBの方にも投げかけてみたところ、皆さんから共通の答えが返ってきました。

それは「世の中の営業は、聞くことに対して罪悪感を持ちすぎなんです」という言葉でした。

彼らはそうしたカルチャーの中で育ってきたのだということを強く実感したと高橋は言います。

深掘り質問でお客様に積極的に話してもらおう

ただ、「堂々と気にせず質問すればいい」と言うのは簡単ですが、実際には質問することを躊躇してしまうことがあるものです。

高橋は20年ほど前、営業が一方的に話すよりも、お客様が積極的に話してくださる方がうまくいくと感じた瞬間がありました。当時はまだ売上もそれほど大きくない時期でしたが、一定期間、「自分が話す量を最小限にする」ということを試してみたのです。

新規の初回訪問で「はじめまして、高橋と申します。よろしくお願いします」とご挨拶したら、それ以上こちらからはなにも話さず、ニコニコとしているのです。すると、お客様の方から「今日はありがとうございます」と話し始めることがありました。

自分の発する言葉を最小限に抑えていると、何割かのお客様は驚くほど積極的に話してくださったのです。「実は、うちの会社では先日社長がこう言いまして…」と社内方針を語ってくださったり、「現場ではこういった悩みがありまして…」と現場の課題について話し始めたりしてくださったのです。

高橋はただ、「なるほど、なるほど」と相槌を打ちながら聞いているだけです。すると、最終的に「実はこういうことで悩んでいるのですが、何かお手伝いいただけることはありますか?」とお客様から相談が持ちかけられる流れになることがあったのです。

そして、「今日は色々とお話いただきありがとうございました。当社のサービスは、まさにそうしたお悩みに応えるためのものです」と提案するとスムーズに話が進み、受注に至る確率が非常に高くなったのです。

もちろん、今述べたのは非常にうまくいったケースです。すべてのお客様がこうとは限りませんし、途中でお客様の話が途切れてしまうこともあります。しかし、こちらが何も言わなくても積極的に話してくださるお客様と、こちらが話さないと商談が進まないお客様がいる場合、どちらの方が良い取引に繋がりやすいかといえば、やはり積極的に話してくださるお客様です。

高橋はこの体験を通して、営業ではお客様にしっかり話していただくことを前提とした「後出し型の提案スタイル」の方が双方にとって満足度の高い取引に繋がりやすいと強く実感したと言います。

しかし、実際にはこちらがただ黙っているだけでたくさん話してくださるお客様は割合としてはかなり少数派です。大半のお客様は、こちらからの促しや深掘りがあってこそ、多くのことを話してくださる傾向にあります。

この点については『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)でもお伝えしている通り、深掘り質問が非常に重要です。多くのお客様は質問されないことに不満を抱いており、「もっと聞いてほしい」と感じていることが多いのです。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

お客様を深く理解するということについては、試行錯誤や改善の余地は大いにあります。お客様に気持ち良く話していただくことが、お客様にとっても、営業にとっても良い取引に繋がるでしょう。

TORiXでは、このような営業強化に役立つ情報を、
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