2024.06.08

価格で不利な商談でどう立ち回るか

今回は、価格で不利な商談でどう立ち回るかについてお話します。

価格で不利な状態になっているときには、「選択肢×判断基準」の2軸が基本的な考え方です。

選択肢×判断基準

下図は、引っ越しを検討する場合の例です。

私自身、プライベートの引越しはぱっと見て決めてしまうタイプなのですが、一般的には、一度引っ越すとなかなか変えられないですから、慎重に検討するケースが多いのではないでしょうか。

横軸に選択肢ABC、縦軸に判断基準というのがあります。

お客様の中でも検討する際にこの「選択肢×判断基準」があるということが、まず大きなポイントですね。

さて、当社にとって「価格が不利になっている状態」とはどういうことかというと、数ある選択肢の中で、当社の価格が他社に比べて高いとか、お客様がトータル判断の中で価格がネックになって、当社の優先順位が上がっていないということです。 そこで、大事な考え方が「要件整理」です。

要件整理とキークエスチョン

価格が不利な場合では、お客様の判断基準に対してそのまま正面から行ってしまうと確実に落ちてしまいます。「提案はいいと思うんですけど、ちょっと価格が高いですね」とか、あるいは「他社さんがもっと安く出してきますよ」というので、ストレートに出すと落ちてしまうわけです。

そこで、判断基準に対する働きかけが必要になります。どういう働きかけが必要になるかというところで、「網羅感」「具体化」「優先順位」という観点が3つ出てきます。『無敗営業』を読んでいただいた方にはおなじみの3ポイントですね。

この「網羅感」「具体化」「優先順位」に関して、当初並んでいたお客様の判断基準に働きかけ、何らかの認識が変わることを目指していくのです。

「網羅感の観点から何か抜けているものはありませんか」と聞いてみるとか、あるいは具体化の観点では、現時点でも有利な状態にある内容について解像度を上げていくことによって、お客様に選んでいただく理由を作ることができます。また優先順位については、端的に言うと「価格以外の大事なもの」を浮かび上がらせるようなキークエスチョンを投げかけるということですね。

具体的なキークエスチョンの投げ方

大手競合との接戦の場面で考える

例えば、当社と大手競合A社が、とあるコンサルティングの提案で競っているとします。

お客様の当初の認識としては、当社に対してA社が上回っています。 大手なので、実績面でもサービスの幅広さも競合A社が魅力的で、費用も少し安い価格で提供できるという状況です。

当社は少人数でやっているので価格は高くなりがちですが、専門性のあるエース人材が独立して少数精鋭でやっている会社なので、ノウハウには自信があります。 そこまで規模を拡大しないでやっているため、サポートのきめ細かさにおいてもA社を上回ります。

「お客様の当初の認識」が上図左側なのですが、この状態のまま結論を出すと勝てません。 判断基準の左と右を見比べたときに、費用という項目があまり上位にきてしまうと、自社が価格で上回れないときには、その不利な状態のまま戦い続けることになります。

こういう場合、費用以外で当社が競合を上回っている項目があるときに、それの順位を上げてほしいのです。 上図でいうと、「ノウハウ」や「サポートのきめ細かさ」というところが上の方に来るようにするイメージです。 逆転するために、右側の状態を作りたいということですね。

そこで、費用で決着がついてしまわないようにするため何かキークエスチョンを投げることになるのですが、どんな質問を投げるといいのでしょうか。

価格以外で検討すべき項目に目を向ける

もっともやりやすいのは、「もちろん価格も大事だと思いますが、御社も価格だけで全てを判断される会社ではないと思いますので……」と枕詞をつけることです。 これは結構各所でおすすめしている枕言葉です。 「その上でお伺いしたいんですけど……」という感じでまず価格以外の項目について話題を向けます。

多くの方がやりがちなのは、この判断基準の書き換えがまだ起こっていない段階で「気になっているところはありますか」という質問を先にしてしまうことです。 この質問をあまり早い段階でしてしまうと「説得モード」になりやすいので、少なくとも当社に対して前向きだというお返事をいただいてから解消しに行った方がいいと思います。

案件の発生動機から深堀りする

価格以外で検討すべき項目について話題がいったときに、ノウハウやサポートのきめ細かさを当社としては訴求したいところなのですが、「ノウハウの質って大事ですよね」とか「サポートのきめ細かさって大事ですか?」などと聞くと、お客様は「大事は大事だけど……」という感じで返してきますよね。

そこでどうやって訴求するかというと、例えば一つのやり方としては、まず今回の案件の発生動機、つまり「何のために今回の案件が発生したのか」を一度確認します。 そこでお客様から「優れた方を必要としている」とか「自分たちだけではできないんで」などの訴求したいポイントに繋がりそうな発言があったときに、そこをしっかり深掘りするのです。 そのうちに自然と「ノウハウ」や「サポート」の順位が上がっていく、という感じですね。

「これって大事ですよね」といった方向よりも、お客様がそもそも価格が高い当社を検討のテーブルにまだ残している時点で、何か質に関して求めているところがあるはずですから、そこをいかに話していただくかが大事になってきますね。

他社を落とさず自社を訴求するには

こういう場面で、「他社よりも自社の方がいい」というメッセージを伝えるために他社を落としてしまうような言い方をしたくないというお悩みをいただきます。

この場合は、「当社を残している」理由をお客様に聞く方法をおすすめします。 最終的な単独1位になるまでに何段階かの選抜があるはずなので、その選抜の中で当社を選んでいる理由を聞くということです。 その「聞く」というのも「ものすごく深く聞く」のです。

他社を落としたくないと言っても、現実問題、お客様に選んでいただかなくてはいけません。 そのときには「当社に対してどうポジティブに感じていただいてるか」を、とことん深堀りします。 他社との差別化を伝えること自体は大事ですが、そのタイミングによっては「営業側の主張」と受け取られてしまいます。 それを、お客様が今当社を残している理由の深掘りにしていくと、「お客様を助ける」という意味でのコミュニケーションが当社の訴求になるのです。

というわけで今回は、競合に価格で不利な商談での立ち回り方についてお話しました。

お客様としても、話していて気持ちのいい方を選びたいはずです。 そのためにも、まずはお客様の中にある根っこの部分をしっかり拾っていくことを心がけましょう。

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