お客様が「価格重視かどうか」を把握しよう
お客様の中でも「価格を気にしない派」は「気が利く営業」を求め、「価格重視派」は「値引きを頑張る営業」を求める傾向があります。お客様がどちらのタイプかを早期に見極めなければ、営業の方向性がズレてしまいます。「お客様のためを思ってしたことが報われない」という事態を避けるには、どのようにしたらよいでしょうか。

まず、前提として「価格への判断基準」が明確に決まっているお客様はごく少数であり、全体の1割もいません。9割以上のお客様は、価格に対する判断のスタンスが明確に決まっているわけではありません。一方、全体の8%を占める「価格へのスタンスが決まっているお客様」(下記のグラフにおける「まったくそう思わない」と「非常にそう思う」)を比較すると、興味深い事実が見えてきます。

購買の種類で見ると、「価格重視派」はごく少額(10万円未満)の商材において多いです。また、有形商材の割合も高いです。そして、「同条件の継続購買」の割合が高いという特徴があります。ただし、もちろん高額商材や無形商材、新規購買においても価格重視のお客様は存在することに注意が必要です。



「価格を最優先」で見るお客様は100人中2人
価格に対するスタンスがはじめから決まっているお客様は100人中8人です。その内3人は「価格を気にしない派」のお客様、残りの5人は「価格重視派」のお客様です。

全体の約25%は総じて言うと「価格はあまり大事ではない」というお客様で、約35%は「価格は安い方が良い」というお客様です。残りの40%は「どちらでもない」という結果でした。
その内「何が何でも絶対安くなきゃ駄目なんだ」というお客様(「非常にそう思う」の回答)は約5%ということです。さらに、その約5%というお客様の中でも「絶対に価格の安さを最優先で見る」というお客様はもう少し少ないです。具体的には、最終判断においても「価格が安いかどうか」が最優先であると答えたお客様は37.4%、ざっくりと3分の1です(下記のグラフにおける「価格が最重要」→「検討後期」→「価格が他社より安いか」)。

つまり、100人のうち5人いるお客様の中で3分の1ということで、「絶対に価格の安さを最優先で見る」というお客様は100人中2人ということになります。ということは、100人中98人は価格以外のところで差がつく可能性があるということです。
「価格重視派」のお客様へのアプローチ
お客様がどの程度「価格の安さを気にするか、気にしないか」はある程度判断できます。
例えば、10万円未満の価格帯の商材だと「価格重視派」のお客様である確率は高いということになります。「価格を気にしない派」のお客様はわずか12%ですが、「価格重視派」のお客様は31.3%です。つまり、3倍近くの差があります。10万円未満の価格帯においては明確に「安くないと駄目」というケースが増えるということです。

有形商材についても明確に「価格重視派」のお客様が多いです。「価格重視派」のお客様においては過去に発注した商材やサービスと同じ条件で継続して発注するというケースが多いです。

「価格重視派」のお客様が一番嬉しいのは「とにかく安い金額になるよう値引きをがんばってくれる」ということです。「価格を気にしない派」のお客様と7倍近く差がついてます。これは、「価格を気にしない派」のお客様は値引きを頑張っても嬉しくないということです。

「価格重視派」のお客様が2番目に嬉しいこととして、「見積もりや提案の出し直しを何回でも柔軟に対応してくれる」ということです。
3番目に嬉しいことは、「ざっくりとした概算見積もりをとにかく早めに出してくれる」ということです。ただし、この項目については「価格を気にしない派」のお客様の方が評価が高く出ています。
ここから見えることとしては、「価格重視派」のお客様は早めに金額がわかるのはそこそこ嬉しいものの、とにかく「最後にいくらまで安くしてくれるのか」ということが一番大事で、その次は「何回でも柔軟に見積もりを作ってくれること」が大事であるということです。
つまり、「価格重視派」のお客様については見積もりを何度も作り直すようなクロージングが重要であるということです。終盤で何回か出し直し、「ご納得いくまで頑張る」というスタンスが必要になると言えるでしょう。
ただし、本当に「金額で決めます」というお客様は先ほどお伝えしたように100人中2人です。そのため、やはりほとんどの場合は価格以外の要素も影響するということは理解しておくことが大切です。
その他に「価格重視派」のお客様が嬉しいこととしては、「こちらが知りたいことに対して中身が充実した回答をくれる」「こちらからの問い合わせや質問に対して早くレスポンスをくれる」というものがあります。やはりレスポンスというのは非常に大事です。勝負のしどころはレスポンスと言えるでしょう。
また、「自社に合わせてきめ細かくカスタマイズした提案をくれる」という項目も高いです。「レスポンス」と「カスタマイズ提案」が同じぐらいのウェイト感ということになります。
その次に来るのが「ベンダーごとの機能・価格・サポートの一覧表を提供してくれる」です。この辺が「価格重視派」のお客様に対して有効なアプローチということになります。
興味深いのは、「価格を気にしない派」のお客様も「早めに見積もりを出してくれる」というのが実は一番嬉しいということです。つまり、「最終的にはお金で決めるわけではないけれども、どのぐらいかかるのかは早めに教えてほしい」ということです。
早めに金額は把握しておきたいけど、値段で決めるわけではない。「現実離れした金額でなければ、あとは金額以外で決めます」ということでしょう。
それと同じぐらいウェイトが高いのは「こちらが知りたいことに対して中身が充実した回答をくれる」で、これはレスポンスです。「価格を気にしない派」のお客様において興味深いのは、「レスポンスはスピードよりも質の方が大事」ということです。クイックレスポンスが大事とよく言われますが、「メールを早く返信するかどうか」を見られているというよりは、「その中身が見られている」と考えておいた方が良いということでしょう。
「価格を気にしない派」のお客様へのアプローチ
「価格を気にしない派」のお客様にとっても、「見積もりや提案の出し直しを何回でも柔軟に対応してくれる」についてはスコアが高く出ています。そのため、ある程度比較されている局面においては見積もりを頑張る姿勢というのは必要だと言えます。
興味深いのは、それに次ぐポイントです。「自社に合わせてきめ細かくカスタマイズした提案をくれる」「ベンダーの強みを生かした独自性のある提案をくれる」が来ています。この辺は明らかに提案の内容を見ているということが見て取れます。
「ベンダーの強みを生かした独自性のある提案をくれる」については、「価格は気にしない派」のお客様が5.2ポイントなのに対して「価格重視派」のお客様は1.8ポイントということで、実に3倍近くの差がついているということになります。
その他には「松竹梅など複数パターンの見積もりを同時に出してくれる」「やり取りの往復やディスカッションを最小限に抑えて提案をしてくれる」も評価が高いです。これらは「レスポンスの早さ」よりも評価が高いというのが面白いポイントです。
ここまでを踏まえると、「価格は気にしない派」のお客様には「気が利く営業が喜ばれる」ということが言えます。「見積もりを複数パターン出す」「少し早めに見積もりを出す」「やり取りの往復がなるべく少なくなるようにする」といったところに気が回りつつ、提案やレスポンスの内容がきちんとしていると「価格は気にしない派」のお客様に喜ばれるということです。
面白いのは、こういったポイントが「価格重視派」のお客様には全然響かないということです。考え方が対照的なところが実に面白いです。
ポイントは早期に「お客様の判断軸」を見定めることです。お客様の価格に対するスタンスが把握できれば、アプローチはしやすくなります。