「商談終盤の10ヶ条」でクロージング力を上げよう
「後は社内で検討しますのでお待ち下さい」とお客様から言われてしまうと、「ほぼ受注の見込みはない」と考える営業は多いです。
しかし、弊社が実施した「お客様1万人調査」では意外な結果が出ました。「後は社内で検討しますのでお待ち下さい」と言われた場合でも、本当に受注可能性がゼロなのは僅か13.7%だったのです。
では、商談終盤でどのように行動すると受注率が上がるのでしょうか。カギになるのはマネジャーの指導です。

以下の「商談終盤の10ヶ条」を押さえて進めることがポイントです。
商談終盤の10ヶ条
- ①お客様が今ここに時間を使う理由
- ②提案への感触
- ③進め方の意向
- ④BANTCH情報
- ⑤お客様社内の今後の予定
- ⑥検討上のネックや判断基準
- ⑦ネクストステップ
- ⑧当社へのリクエスト
- ⑨こちらの熱意
- ⑩直後のコミュニケーション許可

特に、マネジャーが要注意すべき「危ない商談」は以下の通りです。
「危ない商談」でありがちなこと
- お客様の商談参加目的がぼやっとしている
- 提案への感触を聞いてもはぐらかされる
- お客様がこれからどう進めていくか不明
- 予算や意思決定ルートを教えてもらえない
このような場合の対処法を知らないまま営業を商談に行かせてはいけません。

枕詞・特定質問・深掘りを使って、はぐらかしてくるお客様に対しても聞き出せる質問力を身につけましょう。「商談終盤の10ヶ条」は上から順番に聞いていけばよいというものではありません。自然な会話の流れで、お客様も気持ちの良いリズムで進めていく必要があります。また、関係ができていない場合は、シャットアウトされない技術が求められます。

メンバーに「商談終盤の10ヶ条」をマスターしてもらうには、「マネジャーが社内で、メンバーにどんな確認をしているか」がカギになります。メンバーはマネジャーからいつも確認されることで「これはお客様に聞いておかないといけないのだ」と身体で覚えます。マネジャーがここを緩めると、詰めの甘い営業に育ってしまいます。

「社内で検討します」は「NGの通告」ではない
「社内で検討しますのでお待ちください」というのは、営業からすると「NGの通告」に近いように感じられてしまいます。すなわち、「こう言われてしまったら、あとはやりようがない」と考えてしまいがちです。しかし、先ほどもお伝えしたように、本当に「それ以上話を聞く余地はない」と考えているお客様は13.7%しかありません。86.3%のお客様は、追加のアクションによる余地があるわけです。では、何が足りていないのでしょうか。
まず上位3つを見ていきます。
- 1位:「提案内容に不満があったので、そこを改善することを示してくれれば話を聞いたと思う」
- 2位:「高すぎる見積もりが不安だったので、値引きの可能性を示してくれれば話を聞いたと思う」
- 3位:「実際は他社へ傾きかけていたので、もっと強い差別化ポイントを提示してくれれば話を聞いたと思う」
まず、ここまでの第1集団は「潜在的な不満の解消」ということです。「潜在的に抱えている不満を、どのように解消するか」ということです。
次に第2集団を見ていきます。
- 4位:「他社からの提案を待っていたので、他社提案後のタイミングに再アプローチしてくれれば話を聞いたと思う」
- 5位:「上司や社内の意見をまだ聞いてなかったので、社内議論後のタイミングに再アプローチしてくれれば話を聞いたと思う」
これらはタイミングの問題です。そのため、第2集団は「タイミングを捉えた再アプローチ」ということです。
第3集団を見ていきます。
- 6位「このままの状態で結論を出すことのリスク要因をはっきり示してくれれば話を聞いたと思う」
- 7位:「営業担当者の実力は未知数だったので、価値の根拠を明確に示してくれれば話を聞いたと思う」
- 8位:「担当者に不安を覚えていたので、上司を連れてきてくれたら話を聞いたと思う」
- 9位:「何となく『お待ちください』と伝えただけなので、熱意を持ってアプローチしてくれれば話を聞いたと思う」
これらは「追加要素の提示」です。追加で何かを提示する必要があったということです。

潜在的な不満の解消
多くの営業は商談で一通り説明した後に次のように聞きます。
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営業パーソン
何か気になることはありませんか?
これが非常に難しいポイントなのですが、マネジャーはここに対する対処法をきちんと指導する必要があります。というのは、ただ単純に「何か気になることありませんか?」と聞くと、お客様は「大丈夫です。あとは社内で検討します」と一度シャッターを下ろしてしまうからです。
では、なぜお客様はその場で伝えないで、シャットアウトするのでしょうか。
それは、「どこがどう違うかについて、細かいニュアンスまで伝えることが負担だから」です。
要するに、「何となく違うんだよね」とか「何となくまだ満足しないですね」と言うのは簡単なのですが、そこで営業が突っ込んで聞いてきたときに、そこをさらに具体的に足りない差分を伝えるというのはお客様からすると言語化の負担がかなり大きいということなのです。
「言ってもいいかな」とお客様に思っていただく
これは逆説的なのですが、「潜在的な不満を聞くのに、いきなり不満を聞いてはいけない」ということなのです。その「潜在的な不満」をわざわざ言葉にして説明するということは、お客様に多少の負担を強いることになるからです。
そのため、ここは絶妙なところなのですが、潜在的な不満を聞き出そうと思ったら、その前に「その言語化に労力を使ってもいい」と思っていただけるような状態を作ることが重要です。
ここは非常に盲点になりそうなところです。お客様にとって「ここが違うんですよ」というのはそれなりに大変なことです。それをわざわざ「言ってあげてもいいかな」と思うような状態を作れないと、お客様は負担になるため一度シャットアウトして、「本当にこの会社に頼むのであれば、そのときにリクエストを伝えよう」とするのが一番楽な選択肢なのです。
どのようにそのような状態を作るかということですが、気になっている部分を聞く前に、「どういうところについては良いと感じていただいているのか」を聞くことがポイントです。
ただ、いきなり「どこがいいと感じてますか?」と聞くと唐突感があります。そこで重要なのが、「わざわざこの場に時間を使っていただいている理由の確認」です。
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高橋
そもそも、今日このお時間をくださっているのは、どこかしら当社のサービスがお客様の目的に合っているからではないかと思います。その目的に対して、今日の当社の提案がお答えできている部分はありますか?
そうすると、大体どのような提案でも「0点」ということはないはずです。例えば60点や70点、80点だとすると「そこそこ点数を取れているけれど、少し足りていない」ということです。まずはその「ポジティブに感じられている部分」について話していただくのです。お客様としては満足している部分については明確に認識されているので、話しやすいです。
「お客様の検討プロセス」に注目しよう
こういった「今この場に時間を使っている理由」や「何かしら良いと感じていただけた部分」についてお話くださった後に、「社内の現実的な検討ステータスを進めていく上で、この間にある不満との差分をちゃんと明らかにしておいた方が得だ」と思っていただいてから潜在的な不満について聞くことが重要です。現実的な検討ステータスを進めていく場合、営業に「ちょっとここが足りないので、もう少しこうしてもらえますか」という注文を出した方がお客様は自分の仕事が楽になるのです。
そのためには何が必要かというと、「その後に発生するお客様の検討プロセスを聞くこと」です。例えば、その後に「社内でこういうミーティングをすることになっている」「上司に対してこういう報告をすることになっている」といったものがあります。そのときにお客様としては、いろんな会社からベストな提案を集めてきている方が当然社内で評価されるわけですので、そのような段階になればお客様としては「ちょっとここの部分をもう少し上乗せして、提案をブラッシュアップしていただけますか」というふうに言いやすいわけです。
このように、潜在的な不満をいきなり聞きに行くのではなく、まず「そもそも今この場に時間を使っている理由」を確認し、「ポジティブに感じている部分」を聞いて、そして「その後の検討プロセスにおいてどんな工程が発生するか」を把握するのです。そうすると、「各社から良い提案を集めてきている」ということは担当者の評価に繋がるわけですから、そこで初めてネックの部分をお話していただくということです。その段取りが重要である、ということです。
タイミングを捉えた再アプローチ
次は、「タイミングを捉えた再アプローチ」です。こちらは特にマネジャーが教えてあげなければメンバーは気づきにくいです。例えば、他社と比較検討をしているのであれば「他社の提案のタイミングがいつか」を把握している必要があります。あるいは、「まだ社内で上司や社内の意見を聞いていない」ということであれば、それを聞くタイミングを知っている必要があります。これはもう単純に知識の問題として、メンバー本人が知らないことがあります。そのためここについてはマネジャーがメンバーに教えてあげる必要があります。
追加要素の提示
そして第3集団「追加要素の提示」なのですが、これは明確に順番があります。それは「リスク要因」「価値の根拠」という順番です。「このまま進めることにおいて、どんなリスクがあるのか」ということと、「当社がそこに対してどうお役に立てるのか」というものです。ここを、お客様がリクエストしてこないとしても追加で出すことによってプラスになるということです。
ここのニュアンスは多くの営業にとって難しいようです。「お客様から求められていなくても、出していい」ということです。ここもメンバー本人はなかなか気づきにくいところです。「求められてないものは、出してはいけないのではないか」と勝手に思ってしまうのです。
しかし、先ほどお伝えした「お客様1万人調査」の結果では「後は社内で検討しますのでお待ち下さい」と言われた場合でも、本当に受注可能性がゼロなのは僅か13.7%です。「リスク要因を示してくれれば話を聞いたと思う」と答えたお客様はその倍ぐらいスコアが出ているのです。要するに、「もうチャンスはありません」というお客様の2倍近く「リスク要因を示してくれれば、話を聞く」というお客様がいるわけです。
「お客様としてはそういうものがあるのはプラスであるから、それは追加で送っていい」ということです。しかし、そこはメンバー本人がなかなか気づきにくいところではあるため、マネジャーがメンバーの気づきを促すようサポートをするようにしましょう。
クロージング力は、本人が鍛えることはもちろん大事ですが、「周りがどんなフォローをしてあげるか」ということも大切な要素です。そのため、組織ぐるみで営業メンバーのクロージング力を上げるようにしましょう。





