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2025.07.24

「本当に良いプレゼン」は口頭でお客様を動かす

沢山の資料は必要ない!プレゼンが響くようになるための頭の整理とは?

プレゼンのカギを握るのは「事前準備」

「プレゼンがお客様に響かない」という声を聞くことがあります。プレゼンはなによりも「事前準備」がカギを握ります。今回はお客様に響くプレゼンの事前準備についてお伝えします。

「お客様に起こる変化」を意識しよう

「プレゼンがお客様に響かない」と悩む営業は、しばしば営業トークや資料のブラッシュアップに努めますが、その努力は方向がずれてしまっていることが多いです。効果的な準備のためには、以下の4つのポイントをノートに記しておくことがおすすめです。

プレゼンの事前準備における4つのポイント

  • ①商談前のお客様の頭の中
  • ②商談後のお客様の頭の中
  • ③商談後にお客様が取る行動
  • ④これらの変化(①→②→③)を引き起こすために伝えるべき内容

プレゼンや商品説明は、お客様に何らかの「変化」を起こすためにするものです。まずは商談前にお客様の考えを把握(あるいは予想)することが重要です。アポイントメントのやり取りや社内外から調べられる情報を収集して、お客様の現状を具体的に想像しておきましょう。

次に、商談後にお客様に持ってほしい認識、つまりゴール・イメージを明確にします。「どんな台詞を言ってほしいか」まで詳細に準備をしましょう。このステップが省略されてしまうことが少なくありません。

商談の前後でお客様の認識が変われば、何らかの行動が生まれます。それはどんな行動をしてほしいのでしょうか? プレゼンは具体的なアクションに繋がらないと意味がありません。伝える内容だけでなく、伝えた後のお客様の行動を考えておきましょう。スケジュールや関係者まで描いておけると望ましいです。

これら一連の変化を起こすために、何を伝えるべきかを考えましょう。 プレゼンが響くかどうかは、流暢に華麗なトークができたかよりも「お客様の心をどれだけ正確に捉えていたか」に左右されます。 プレゼンが流暢なだけでは、成果を得ることはできません。

若手の営業は商談前にこれらの点を上司にチェックしてもらうと良いでしょう。また、ハイパフォーマーのプレゼンに同席した際には、これら4つの点についてどのように描いていたかを確認することも有効です。

「4つのポイント」を具体的にイメージしよう

多くの営業は「自分が伝えたい内容」から入ってしまうケースが多いです。

相手にしっかりと響く内容にするには「相手目線」で考える必要があります。その際に重要なのが「相手の頭の中にある認識」を考えることです。

まず、「①商談前のお客様の頭の中」を考える際にはコツがあります。それは、「これまでお客様が取り組んできたこと」と「それに対する感触」をイメージすることです。

例えば弊社は営業支援を行っていますが、「外部の会社には頼らずに自社で営業の強化に取り組まれていた」お客様もいらっしゃいます。それがここで言う「これまでお客様が取り組んできたこと」です。その場合、その取り組みが思うように進まず、何らかのもどかしさを感じている場合があります。それが「①商談前のお客様の頭の中」です。

「②商談後のお客様の頭の中」では、お客様が「具体的な成果」と「そのためにやるべきこと」を明確に認識していることが重要です。その上で「ポジティブな未来に対する確信が持てている状態」になっていることが理想的です。

そして、「③商談後にお客様が取る行動」を想定します。例えば「取締役の方に承認をもらいに行く」「そのためにまず●●をする」といったことが考えられます。そのための準備や行動を具体的に示すことで、お客様も次のステップが見えてきます。

最後に「④これらの変化(①→②→③)を引き起こすために伝えるべき内容」では、「外部を活用するメリット」や「予測されるコストやリスク、懸念点に対する対応策」などを想定します。

「良いプレゼン」とは「お客様が動いてくれるもの」

ただ、こうしたお客様の頭の中を想像するのは、簡単ではありません。多くの方が「お客様の頭の中を想像するのが難しい」と感じています。

弊社代表の高橋が社会人1年目のときのことです。

ある先輩が高橋にこんな質問をしてきました。

「高橋くん、良いプレゼンって何だと思う?」

当時の高橋は入社1年目で、「良いプレゼンって、お客様が感動するものですか?」と答えました。

すると先輩は、「良いプレゼンとは、お客様が動いてくれるものだ」と教えてくれたのです。

そして続けて、「じゃあ、どうしたらお客様が動いてくれるかな?」と問われました。

高橋は「納得してくれたら、動いてくれるのではないでしょうか?」と答えました。それに対して先輩は「そうだよね」と頷きながら、高橋が作成していた資料を指して「これはどうだろう?」と問いかけてきました。

社会人1年目の高橋は「何を伝えるか?」にばかり集中していて、「お客様が動いてくれるためにはどうすれば良いか?」という視点が欠けていたのです。

当時の高橋はプレゼン資料を作ること自体に力を注いでいました。沢山の資料を用意すればそれで良いと考えていたのです。

その後、先輩は当時高橋が在籍していた会社でパートナー(共同経営者)を勤めていた方の「伝説」について話してくれました。

ある時、その方が率いていたチームがクライアント先に持っていく数十ページもの資料をオフィスに置き忘れてしまいました。

「じゃあ、プロジェクターで資料を映せばいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、当時はそのような設備も整っていません。

そこでそのパートナーは、手書きの紙と口頭のプレゼンでその場を乗り切ったのです。A4の紙にサラサラっと要点を書き、それを元にプレゼンをしたのです。即興でその場でプリントした1枚の紙が驚くほどお客様に響き、先輩はその光景を目にして感銘を受けたと高橋に教えてくれたのです。

「本当に大事なこと」は多くの検討の上で出てくる

「それはすごいですね」と高橋は驚きましたが、その先輩はこう続けました。

「本当に良いプレゼンとは、紙すら不要なものだ」

つまり、「口頭だけで伝わるほど言いたいことが明確であり、相手が動く確信が持てているプレゼン」が本当に良いプレゼンだ、ということです。

「もし口頭で伝えようとしても少し難しいと感じたら、そこで初めて紙が1枚必要になる。そして、紙1枚で十分伝わるのであれば、資料を沢山作る必要はない」と言われました。

「なるほど、そういうことなんですね」と高橋が返すと、先輩は続けて「紙1枚でも伝わりきらない場合は、しょうがないから資料を増やす。それでも、数十ページまではいらないだろう」と教えてくれたのです。

「確かに、数枚で伝わるなら、それに越したことはないですね。たくさんの資料を作る必要もありませんし」と高橋が答えると、先輩はこう続けました。

「違うんだよ。いきなり数枚の資料ができるわけではない。最初は何十枚、場合によっては何百枚もの資料を作り、何度も検討を重ねた上で、その中の本当に大事な部分だけを相手に伝えるんだ」と。

先輩はさらに続けて言いました。「だから君が作っているその大量の資料は、あくまで大事な部分を見つけ出すための材料に過ぎないんだ。その材料に過ぎないものをそのままお客様に見せるのは、とても乱暴な行為だと思わないか?」

高橋はその言葉にハッとし、「確かに、そう考えると非常に乱暴なことをしている気がしてきました」と応えました。

重要なのは「お客様が動いてくれるかどうか」

要点をまとめると、「言いたいことが一言で明確に伝わり、それだけでお客様が動いてくれるのであれば、資料など必要ない」ということです。それほどまでに内容が研ぎ澄まされていれば理想的です。

しかし、どうしても必要なら、紙1枚にまとめる。それでも伝えられなければ、資料を数枚に増やす、ということです。

そこで必要なのが、冒頭に上げた以下の4つの点について明確にしておくことです。これがしっかりと出来ていれば、複雑で大量な資料は必要ありません。

プレゼンの事前準備における4つのポイント

  • ①商談前のお客様の頭の中
  • ②商談後のお客様の頭の中
  • ③商談後にお客様が取る行動
  • ④これらの変化(①→②→③)を引き起こすために伝えるべき内容

手元に数十ページの資料があると、それに頼ってしまいがちです。このような「資料に頼ったプレゼン」には注意が必要です。

弊社の実施した「営業1万人調査」では、目標達成が当たり前のハイパフォーマーと、目標未達が当たり前の状態になってしまっているローパフォーマーとでは、後者の方が「資料に頼りがち」であるという傾向がはっきりと見られました。

資料ではなく、「お客様の変化」に意識を向けることがお客様の成功に繋がり、ひいてはそれが営業の成果にも繋がるのです。

TORiXでは、このような営業強化に役立つ情報を、
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