営業マネジャーのスキルを上げたい

2025.06.25

上司の仕事は 「同じことを100回言うこと」

取りこぼしによる失注を減らす「商談終盤の10カ条」

「強い営業組織」を作るには?

「強い営業組織」を作るには「文化」よりも「成果につながる行動」に地道に取り組むことが重要です。今回は取りこぼしによる失注を減らす「商談終盤の10カ条」についてお伝えします。

商談終盤の10カ条

今回は「商談終盤の10カ条」についてお伝えします。

「商談終盤の10カ条」を実践すると取りこぼしによる失注を減らすことができます。

以下、具体的な質問の仕方とともに解説します。

①今ここに時間を使っている理由

お客様は忙しいにも関わらず、また他にも良い会社があるにも関わらず、なぜ商談に時間を割いてくれているのでしょうか。この理由を「さらっと」ではなく「きちんと」理解することが重要です。

営業パーソン

改めての確認になりますが、今回こうやってわざわざお時間を頂いているのは・・・

②提案への感触

提案内容に対してお客様はどう思われたか、本音の感想や所感を聞きましょう。慌ててオブジェクションハンドリングや反論対策に行く前にじっくりと耳を傾けておくことが重要です。

営業パーソン

お話を聴かれてみて、実際、いかがでしたか?

③進め方の意向

「提案を受けて、どうしたいか」は「どう進めていきたいか」という切り口で聞くと、答え方のニュアンスや表情などのトーンでお客様の温度感・本気度がわかります。

営業パーソン

●●様ご本人としては、この後、どう進めていかれたいですか?

④BANTCH情報

BANTCH情報は営業がしっかりと理解しておくべき項目です。抜け漏れがないかどうか改めて確認しましょう。

  • Budget:予算
  • Authority:決裁者/意思決定に関わる重要人物
  • Needs:ニーズの詳細
  • Timeframe:検討スケジュール
  • Competitor:競合
  • Human Resouces:社内の組織体制

営業パーソン

いくつか確認させて頂きたいのですが…

⑤社内の次アクション

「お客様の意向」や「営業がお客様と握るネクストステップ」とは別に「予定されている事実」を聞くことがポイントです。「社内でこの件を報告する」「次の定例会議で議論することになっている」といったことが予定されているかどうかを聞いておきましょう。

営業パーソン

今日か明日、あるいは今週に・・・

⑥検討上のネックや判断基準

ここまでの項目のいずれかについて歯切れの悪い回答があるときは何らかのネックが発生しています。そこで、一歩踏み込んでそれにはどんな背景や判断基準が裏にあるのかを聞きましょう。

営業パーソン

少し踏み込んだ質問になってしまうのですが・・・

⑦ネクストステップ

ここまで一通り聞くとお客様と営業の間で「次のステップ」が明確になります。以下の点についてまとめましょう。

  • どんな打ち合わせを持つべきか?
  • 営業からどんな材料を提示すべきか?
  • お客様にお願いしておきたいことは?

営業パーソン

そうすると、次のステップとしては…

⑧当社へのリクエスト

当社に対して求められていることや、こちらが持ち帰る「宿題」を明確にしておきましょう。商談がビハインド気味なら「何かこちらが提供できること」の材料を多めに探るようにしましょう。

営業パーソン

当社に求められることとしては…

⑨こちらの熱意

人と人とが向かい合って話をしていれば「感情」や「感覚」でお客様に響くこともあります。要件やロジックに関するドライなコミュニケーションだけではなく、こちらの熱意もきちんと言葉にして伝えておきましょう。

営業パーソン

本日、こうしてお話させて頂いて、最後にお伝えしたいのは…

⑩直後のコミュニケーション許可

特に複数人数だとお客様が商談の場で「様子見」の反応をされていることもあります。対面商談なら商談終了後に電話で、オンライン商談なら時間を早めに切り上げて個別に話すようにしましょう。

営業パーソン

ちなみに、後で3分ほどお話させていただくことは可能ですか?

10ヶ条はあくまでも手段であって目的ではありません。このチェックポイントをこなすことに一生懸命になってお客様を「見ない」商談にならないよう注意する必要があります。

ただ、この10ヶ条を無意識レベルで漏れなくできるようになっていると「取りこぼし」は激減します。10ヶ条はロールプレイを繰り返せば体得可能です。

組織の文化は狙って作るものではない

「商談終盤の10カ条」は『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法』(KADOKAWA社)という書籍でも紹介しています。弊社の支援先でもこの10カ条に取り組む事例が増えてきています。

質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法

高橋浩一

最も影響が出るのは受注率で、10数人のチームでコンペの勝率が1.8倍に向上したこともありました。1.8倍という数字はかなり大きく、「やるべきことを適切に行えば確実に成果が出る」ということの証左と言えるでしょう。

よく、経営者の方から「強い文化はどのようにして作ればいいのでしょうか?」と相談を受けます。「強い文化」と聞くと営業が強いことで有名な企業の名前が思い浮かびますが、そうした企業のいくつかは弊社の支援先でもあります。これらの企業に共通しているのは、当たり前のように「成果につながる行動」が実行されていることです。例えば20人のチームであれば、その全員が高い基準で徹底して「成果につながる行動」に取り組んでいるのです。

そのような組織を見て、経営者の方が「我が社もあのような文化を築きたい」と相談に来られるのです。

ただ、ここで重要なのは「組織の文化は狙って作るものではない」という点です。

例えば、「営業力の高い◯◯社はクロージングにおいて非常にきっちりと詰めてくる」といった話が社長どうしの集まりで話題に上がることがあります。そして、多くの方が「うちの営業もあれくらいやってほしい」と言います。しかし、そうした「文化」を望むだけでは、現実はなかなか変化しません。

上司の仕事は「同じことを100回言うこと」

実は、営業が強い会社がやっていることは実にシンプルです。マネジャーがメンバーに対してきちんと指示を出し、それをメンバーが実行したかどうかをモニタリングし、実行できていないメンバーをフォローし、うまくいったメンバーは褒め、結果が出なければ次の手を考える。それを徹底しているのです。

この一連の流れは、簡単に言えば15秒で説明できるようなことです。しかし、それをマネジャーが徹底して行った結果として、外部からは「強い文化」があるように見えるのです。しかし、その根底にあるのはマネジャーの「地道に取り組む姿勢」なのです。

例えば、この商談終盤の10カ条についてもマネジャーがメンバーに対して「きちんと実行されているかどうか」を確認することが重要です。

弊社の場合、SFA(営業支援システム)の画面はこの10カ条に基づいて設計されていますので、いくつかの項目は10カ条を実行しないと埋められないように作られています。項目が埋まっているかを確認し、埋まっていなければリマインドをしたり、一緒に考えたりとなんらかの対策を講じます。そしてその後、実行されたかどうかを再度確認します。この積み重ねが、結果として「みんなが自然とやっている」という状態を生むのです。

大手総合商社の中で特に人材育成に力を入れている企業で語り継がれている話があります。その企業では「上司の仕事は、同じことを100回言うことだ」と言われているのです。

「上司の仕事は、同じことを100回言うことだ」という言葉の意味は、「同じことを何度も繰り返し言うことが上司の最も重要な仕事である」ということです。それどころか、「上司の仕事は、同じことを100回言うことくらいだ」という感覚で語られているほどなのです。

もしマネジャーが「上司の仕事は、同じことを100回言うことだ」と思っていれば、「何度言っても変わらない」というような感じ方はなくなるでしょう。

一方で、上司が自分の手間を減らそうとして「一度言えば部下は何でも理解してくれるだろう」という期待を抱いている場合、その期待が実現せず、「組織に文化が定着しない」と感じることがあるかもしれません。

組織の文化は「後から振り返るとできているもの」

「SFAを導入したけれども定着しない」と言う話を聞くことがあります。

シンプルに言えば、SFAが組織において有効に機能するには必要な情報をきちんと定義し、入力すべき情報を最小限に絞り、入力していないメンバーにはリマインドし、入力を確認し、その情報をマネジャーが活用するだけです。このプロセスを怠り、「定着しない」「文化が根付かない」と嘆いていても、状況は変わりません。

10カ条に関しても、よくあるのが「10カ条、ありがとうございます。これをメンバーに展開します」という反応です。しかし、単にメンバーに10カ条を見せるだけでは現実は変わりません。10カ条を共通言語とし、マネジャーがその内容が実行されているかを何度も繰り返し確認することで少しずつ結果が変わります。そして、後から振り返ると「文化が根付いていた」という状態になるのです。

実際にこの10カ条を導入して成果を上げた企業では何度も繰り返しその内容を確認し、チームで徹底して取り組んでいます。このようなプロセスがなければ、文化となるレベルに到達することは難しいでしょう。

マネジャーが同じことを繰り返し何度も伝えた結果として、後から振り返るとそこに文化が生まれているのです。

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