成果があがる営業組織を作りたい

2025.02.18

お客様は営業との対話を望んでいる

お客様と「適切な共犯関係」を築く商談の進め方

お客様と共創的な関係性を築くには?

商談では営業が提案した内容に対してお客様が「やる」「やらない」を判断するだけの関係ではなく、お客様と一緒に何かを作り上げる共創的な関係性を築くことが重要です。今回はお客様と「適切な共犯関係」を築く商談の進め方についてお伝えします。

お客様と「適切な共犯関係」を築こう

今回はお客様と「適切な共犯関係」を築く商談の進め方についてお伝えします。

ここで言う「共犯関係」とは「お客様と一緒に企む」という意味で、共にプロジェクトを企画し、考え、進めていく姿勢を指します。

営業活動では「営業が提案し、お客様が検討する」という形式だけでは商談の温度感は上がりづらいです。理想的なのは「営業とお客様が一緒になって面白いことを議論しながら盛り上がり、商談が前進していく状態」です。それには営業に「お客様を巻き込む力」が求められます。

「お客様を巻き込む力」というと華麗なファシリテーションを想像されるかもしれませんが、そのような特別なスキルは必要ありません。まず押さえるべきは次の2点です。

  • 自分が話しすぎず、お客様に話していただく時間を長くする
  • 「お客様が今この場に時間を使う理由」をつかんでおく

「用意した資料を話す時間が8割、残りの2割で質疑応答」といった時間配分だとオンライン商談での温度感は上がりません。「準備した資料をそのまま話す時間」が長くなるほど、お客様とのコミュニケーションにズレが生じるリスクも上がります。事前準備の段階で「最低限伝えたいこと」を絞っておくことで、商談でのやり取りが双方向になるようにしましょう。

「最低限伝えたいこと」を絞る際、営業側が伝えたい内容を基準に考えがちですが、それではお客様の熱い反応を引き出すことはできません。大切なのは「お客様が今この場に時間を使う理由」に応えるという視点です。そこがしっかりかみ合っていれば、自然とお客様の発言や反応が引き出されるでしょう。

商談の時間配分は「議論をする時間が8割」が理想

「お客様が今この場に時間を使う理由」に応えるためには、お客様の興味・関心について細かい粒度で仮説を立てておく必要があります。商談の時間配分を以下のように設定しておくと仮説が当たったか外れたかはすぐにわかります。

  • 予め用意した情報を伝える時間:2割
  • お客様と双方向に議論する時間:8割

用意した情報を伝える時間が2割だと資料を説明できる時間が少ないと感じられるかもしれません。その場合、残り8割の議論の時間でその場の流れに応じて必要な資料を追加で提示するのが良いでしょう。重要なのは「お客様とのズレに気づかないまま、多くの資料を一方的に説明する」という展開を避けることです。

お客様を巻き込むためには「つっこまれビリティ」も必要です。完璧なプレゼンで「さあ、どうだ!」と迫るよりも、お客様が「つい、コメントしたくなる」ような要素をプレゼンに盛り込んでおきます。それにより、お客様の自然な反応を引き出すことができます。「コメントの余地」を意図的に残し、お客様から出た発言をどんどん深掘りしていきましょう。

オンライン商談では「会議室で一緒にホワイトボードを使いながらの議論」が難しくなります。そこで、パワーポイントを編集モードで画面共有し、お客様と一緒にスライドを編集しましょう。見た目はぐちゃぐちゃの資料になるかもしれませんが、その方が「一緒に作っている感」が高まります。

また、議事録は商談終了後に送るのではなく、ラフなメモでも構わないので商談中に画面共有するのが良いでしょう。お客様もメモを見ながら「そういえば…」と、大事な観点を思い出すことがあります。そのため、議事録の共有は最後の5分とかではなく、ざっくりしたメモを商談の途中でお見せすることがおすすめです。

お客様が意見を述べられる「余白」を残そう

ここまで述べてきたように、商談では単に営業が提案した内容に対してお客様が「やる」「やらない」を判断するだけの関係ではなく、「一緒にこれを作り上げましょう」という共創的な関係性を築くことが重要です。

このような関係性を築くためには、お互いの組織内での立場や上司との関係性も考慮しなければなりません。お客様側にも複数の関係者がおり、営業側にも上司や他の関係者がいます。そのような中で、お客様と一緒に双方の組織を良い意味で「かき回す」ことで、大きな成果を生み出すことができます。

例えば、お客様の要望が明確で「これを実現したい」「ここに悩んでいる」ということがはっきりしている場合には、その要望に対してQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)を意識して的確に応えることができればそれでいいでしょう。しかし、現代ではお客様自身も明確にニーズを把握していないことが多く、そのような場合には営業が対話を通じてお客様と共にニーズを明確にしていく必要があります。

そこで重要なのが「余白」です。商談においてお客様が意見を述べたり、参加したりする余地を残しておくのです。

多くの営業は一通りの説明を行った後に「ご不明点はございませんか」と尋ね、「ご検討ください」と締めくくります。もちろんそのようなアプローチも効率的に営業をする1つの手段かもしれませんが、お客様と何かを作り上げる楽しさを感じられるような「余白」を残しておく商談スタイルはお客様との関係構築に役立ちます。

お客様は複数回のやりとりを望んでいる

現代ではお客様と双方向的な商談をするにあたって便利な手段が数多くあります。オンライン商談ではお客様が話した内容をその場で反映し、リアルタイムで議事録を作成することが可能です。その際、完璧な議事録を作成せずとも、スピードを重視してメモをお送りするだけでお客様に喜んでいただけることが多いです。また、対面での商談や打ち合わせでもホワイトボードを使って視覚的に情報を整理したり、ノートに大きな文字で要点を書き出しながら議論を進めることも効果的です。

対話の中で重要なのは型にはまったプレゼンテーションや一方的な説明ではなく、お客様とキャッチボールのようにやり取りをしながら、共に内容を作り上げていくことです。弊社が実施した「お客様1万人調査」でも、「1回の提案で納得したい」と答えたお客様は1割程度で、残り9割のお客様は「複数回のやり取りを通じて納得したい」と回答しています。特に「2回の提案で納得したい」「3回から4回の提案で納得したい」という方が多く、それで全体の約8割を占めています。つまり、大半のお客様は提案を一度で完結させるのではなく、複数回のやり取りを通じて内容を練り上げたいと考えているのです。

再提案というのは「提案内容が不十分だから修正してきてください」ということではなく、お客様と議論を重ねる中で提案内容が進化していくことを意味します。このように提案を磨き上げていくプロセスを意識することでお客様との共同作業が生まれ、その結果として健全な意味での「共犯関係」を築くことができます。

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無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ

高橋浩一

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