ゆるい案件の予算化を進める

 営業をしていると、まだ予算が取られていない、ヒアリングしてもはっきりとした答えが返ってこない、進めても途中で予算消滅してしまう、というような「ゆるい案件」がよくあります。
それらをどう進めていくのか考えていきましょう。

ほとんどの案件は判断基準が決まっていない

 弊社が実施した調査によると、判断基準が決まっていないまま検討した経験のあるお客様は75%を超え、3分の1以上のお客様が「3回以上ある」と回答しています。

 
 

 営業側としてはお客様へのヒアリングや確認の際に、「決まってない」という答えが返ってくることを心得ておかねばなりません。
その理由を聞いてみました。

 
 

 判断基準が決まりきってない状態で検討している1番の理由は、「社内でもまだ予算が取れておらず、見積もりをもらってから検討しようと自分自身で考えた」が32.8%。
2番目が「社内でもまだ予算が取れておらず、見積もりをもらってから検討するように上司や他部署から依頼された」で28.8%。
こういった状況を正確に捉えるため、予算化のプロセスというものを考えていきましょう。

 
 

お客様の予算化プロセスを理解する

 これは一定以上の規模の企業における予算化のプロセスの基本的な流れです。
まず経営レベルから事業レベルへ「中期経営計画では、この事業では何年にいくらの売上げを見込んでいるので実現してくれ」という指示が出ます。
事業レベルから部署レベルでは、計画達成のために予算計画を立てることが指示されます。
コストをかけるのであれば、それも加味しつつ予算計画を立ててくれということです。

 部署レベルではきちんと計画を立てる必要がありますから、何にいくら予算がかかるか調べるように担当へ指示が行きます。
そして担当者が見積を取った結果が報告され、予算計上され、それが計画に盛り込まれていく、というのが1番から7番の企業内のコミュニケーションです。

 
 

 もう少し詳細に見ていきましょう。
こちらの画像には1から24まで番号が振ってあります。
予算化がこのプロセスのどこにあるのかをつかむことが重要で、お客様がどのように予算化をするのか、自分なりのプロセスを持っておく必要があります。

予算の根拠を明確に説明し支援する

 多くの営業の方の状況を伺うと、予算のプロセスを把握していない状態で一生懸命稟議を上げてもらおう、承認を取ってもらおうとされてるケースがあります。
予算化を適切に支援するためには、コミュニケーションの基本的な流れと、予算化がプロセスのどこにあるのかを掴みにいくことが重要です。

 つまり、予算化をしていただくためには1番から8番までの間をしっかりと把握し、事業や部署のミッションと課題をきちんと掴んでおく必要があるのです。
予算策定のために情報収集している段階では、お客様が社内に報告するのをどうサポートするのかを考えておく必要があります。
また、「これを達成するためには、このぐらいのお金が必要です。」と言えるようにしておきましょう。
予算化してもらえるか不安であれば、お金を使わないやり方には限界があることを証明しないといませんし、説明ができないと予算取りはできません。
あるいは、他社で安くやっていたところに対してリプレスをかけに行く場合、その金額の差分というものについて説明ができる必要があります。

「先方の検討待ち」に潜む罠

 商談では、お客に対して「何か弊社でお手伝いできることありますか。」と聞くと「いえ、一旦結構です。」と言われてしまうことがあります。
多くの方が「予算化をしていただくにあたり、弊社のできることは何かありますか。」というオープンクエスチョンで聞かれたり、「何か弊社の方から資料をお出しした方がよろしいですか。」というクローズドクエスチョンで聞かれたりします。
お客様にある程度の推進の経験があれば良いですが、それがない場合は「一旦大丈夫です。」や「何かあったらご連絡します。」という答えが返ってきやすいでしょう。

 予算化を着実に進めるためには、材料を少し見せることがおすすめです。
こんな資料があると便利ですよと、サンプルをその場でお見せします。
実際にお見せすると、具体的にお客様からの反応が出てきます。

 多くの営業の方は、サンプルを示さず「何かできることはありますか。」「お手伝いしましょうか。」と言ってしまいます。
すると、お客様側としてはどんなことをしてもらえるかのイメージが分からないので、「とりあえず結構です。」や、「何かあったらご連絡します。」と言われてしまうのです。
そして営業担当は社に持ち帰り、「先方としては社内でご検討されるということだったので、一旦お待ちすることにしました。」という報告をすることになります。

特に経営者の方やリーダー、マネージャーの方は、「お客さまの予算化に向けてどんな支援ができるのか」ということに対して何を提示するのかがきちんと絞れている状態を作りましょう。
そういう観点で営業ツールなどを用意しておくのが良いですね。

 

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高橋浩一