成果があがる営業組織を作りたい

2026.02.13

案件の発生経緯によって適切なアプローチは異なる

「トップダウン案件」と「ボトムアップ案件」でアプローチの仕方を変えよう

「案件の発生経緯」毎にアプローチの仕方を変えよう

「案件の発生経緯」によって、適切なアプローチは異なります。具体的には、「トップダウンで生まれた案件」か「ボトムアップで生まれた案件」かによってお客様が重視する要素が異なります。今回は「トップダウン案件」と「ボトムアップ案件」におけるアプローチの仕方についてお伝えします。

お客様の「購買における主導権」は分散している

トップダウン案件だからといって、最終決裁者を押さえていればそれで決まるわけではありません。トップダウン案件でも、最終決裁者が影響力を持つ割合は25.1%です。購買の主導権は実に分散しています。「とにかく決裁者を押さえよ!」という号令では売れません。本当に影響力を持つキーパーソンを探す必要があります。

当社が実施したお客様2,676人への調査を経て感じたのは、「いかに購買の主導権が分散しているか」ということでした。組織上の権限や役職は、そのままベンダー選定における決定的な影響力となるわけではありません。この一因にあるのは、「購買という行為がどんどん難しくなっていること」にあります。意思決定の難易度が増しているのです。

営業といえば「お客様に費用対効果を訴求すること」がセオリーですが、意外とトップダウン案件は検討後期になると「費用対効果」へのウェイトが落ちて、他の判断基準と拮抗します。「アフターサポート」「課題把握」「確実で早い納品」にも目が向くことは押さえておきたいポイントです。

また一方で、ボトムアップ案件は検討初期において「製品のスペック」や「課題把握」に目が向きやすい傾向があります。ただ、検討後期になると、トップダウン案件に比べて判断基準がある程度絞られてきて、費用対効果のウェイトが高くなるので、訴求のロジックはある程度作りやすいとも言えます。

最終決裁者が「絶対的なキーパーソン」とは限らない

ここでは案件の発生経緯の中で、経営陣からの指令をきっかけに始まる案件をトップダウン案件、そして現場から問題提起をして上に上げていく案件をボトムアップ案件と定義してます。

「2,676人調査」の中で、ボトムアップ型が673人、トップダウン型は394人という結果でした。残りは例えば「今使っている製品の契約期限が到来したため」「世の中の情勢が変わったため」といった項目になっています。他にもいくつかの項目がありますが、その中でトップダウン型とボトムアップ型を選んだ方々を比較しています。

通常、法人営業においては「最終決裁者が絶対に押さえるべきキーパーソンである」と言われるケースが多いです。「決裁者を押さえなさい」とよく言われるのです。

しかし、最終決裁者が絶対的なキーパーソンであるとは必ずしも言い切れないというのが今回の調査結果です。購買の主導権が分散しているのです。分散しているということは、購買における意思決定はある1人の一存で決まるものではなく、みんなの合議で決まるということです。

さらに、最終決裁者が実質的な影響力を持つのは、トップダウン型の案件であったとしても25.1%です。ボトムアップ型の案件に比べれば割合は大きいのですが、ボトムアップ型の案件だと最終決裁者が実質的な影響力を持つのは16.2%に留まります。

ボトムアップ型の案件で興味深いのは、最終決裁者よりも「決裁者への影響者」の方が影響力があるということです。決裁者の影響力が16.2%で、決裁者への影響者は16.6%というスコアですから、わずかではありますが決裁者への影響者の方が上回っています。さらにそれを上回るのが現場の利用者で17.4%、そして社内推進者が22.6%です。ボトムアップ型の案件というのは最終決裁者よりも影響力を持つ人物が3人いるというイメージです。トップダウン型の案件になると最終決裁者の影響力が25.1%、それに次ぐのが社内推進者で21.3%ということになります。

重要な要素は「検討フェーズ」によって異なる

さて、このように購買の主導権というのは実に分散するものだということですが、それを踏まえて、今回は少し具体的に考えていきたいと思います。

「2,676人調査」ではお客様の判断基準について細かく調べてみました。「検討初期」「検討中期」「検討後期」というように購買のフェーズを3段階に分け、それぞれにおいて重要視する要素は何かを聞いています。

大まかに言うと、費用対効果がやはり一番主要な要素であり、それに次ぐのが「製品・サービスの性能が合っているかどうか」ということと、「価格が他社より安いか」ということです。

ここで面白いのは、トップダウン型の案件で費用対効果の項目が占めるウェイトがどんどん下がっていることです。これは目に見えて下がっています。検討初期においては21.1%ということでスコアが非常に高いですが、検討中期で16.5%、検討後期で13.2%というふうに下がっているのです。

一方で、ボトムアップ型はどうなっているかというと、費用対効果の項目は検討初期が16.8%、検討中期は20.1%、検討後期が18.9%となっています。多少の波はありますが概ね高く、検討初期に比べれば検討後期が高くなっているため、費用対効果はやはり依然として重要であるということです。

注目していただきたいのは、トップダウン型の案件で検討後期になると、15%以上のものが存在しないことです。10%から15%のものはありますが、15%以上のものはありません。

これだけでも、トップダウン型の案件では検討後期において判断基準が分散していると言えます。「トップダウン型の案件というのは最後にどこで決まるかがなかなか掴めない」ということが言えるのです。

一番高い項目でも13.2%なので、非常に分散していると言えます。ボトムアップ型の案件は「費用対効果に納得ができるか」が18.9%なのでここに一番多くの回答が集まっていることは明らかですが、トップダウン型の案件は判断軸がばらけているのです。

判断軸がばらけているため、やはり色々なポイントを訴求してみて、どこに響くかを探るプロセスが必要です。訴求しないことにはわからないため、「これはどうですか?」「あれはどうですか?」というふうに色々と訴求してみるということです。

ただし、最終決裁者の一存で決まるわけではありません。最終決裁者が影響力を持っているのは全体の4分の1であり、4分の3は最終決裁者以外の人物が影響力を持っているからです。

4分の3は最終決裁者以外が影響力を持っているということは、「誰かが影響力を持っているけれど、誰が影響力を持っているかは途中まではわからない」という状況が続くのです。

営業からすると、「トップダウンの案件」という時点であたかも経営者が影響力を持っているかのように見えがちです。営業をしていて、お客様に「今回ですね、社長のトップダウンで降りてきた案件なんですよ」と言われたら、「社長が考えていることに基づいて、社長が決めるものなんだ」と考えがちです。

ところがデータを見ていくと、きっかけが社長であったとしても、「最終的に本当に社長で決まる案件」というのは全体の4分の1であり、4分の3はそれ以外の人物が影響力を持っているのです。社長のトップダウンで始まったとしても、影響力は分散されるということです。

そのため、トップダウン案件で大事なことは「決め付けない」ことです。「社長の号令で始まったんです」「これは専務の肝煎りなんです」と言われると、本当にその人が決めるのだと思いがちですが、そうではないことの方が多いということです。

まずは現場の人を味方につけよう

そんな中で、営業はどのようなアプローチをしていけば良いでしょうか。

トップダウンということは、その命を受けて検討する人たちがいます。まずはその人たちを味方につけることが重要です。トップダウンの場合、現場の人たちはどんなモチベーションやメンタリティでやっているでしょうか。やらされ感で「上にやれって言われたからやるか」という感じのこともあれば、現場の人たちがやる気になっていることもあります。いずれにせよ、営業としてまずやるべきことは現場の人を味方につけることです。

トップダウンと言われるとあたかも「上の人に会わないと話が始まらない」と思いがちですが、まずは購買における影響力の分散を想定して現場をしっかりと味方につけておきましょう、ということです。

逆にボトムアップ案件の場合は、検討初期の段階で製品のスペックや課題把握に目が向きやすいです。やはり現場サイドですから、「困っていることに対して、解決してくれるか」といったところであったり、あるいは「製品の機能がちゃんと自社にマッチしているか」といったことが気になるということです。

特に注目しておきたいのは、ボトムアップ案件は「製品やサービスの品質・性能が自社に合っているか」というスコアが検討初期で非常に高い点です。よく「自社の製品をただ押し売りするだけなのは良くない」ということが言われます。確かに押し売りは良くありませんが、ボトムアップ型の案件においてはしっかりとスペックを訴求して現場を味方につけておくというのは必要なアクションの1つです。

ボトムアップ型の案件の場合は「カスタマイズ要望」がトップダウンに比べると少しだけ強い傾向があるのに加え、「製品やサービスの性能が他ベンダーより優れているか」に対する注目度も若干上がります。ということは、やはり「他社との違い」に訴求することが重要であるということです。

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