社内の営業人材育成を推進したい

2025.08.15

「重要だが、緊急性が低いもの」に営業が貢献できる余地がある

お客様と深い関係を築くカギは「やりたくても、できていないこと」にある

お客様と深い関係を築くには?

「やりたくても、できていないこと」を聞くことでお客様と深い関係を築くことができます。お客様とのそのような深い関係は、営業を大きく成長させてくれます。今回はお客様と深い関係を築くカギについてお伝えします。

重要なのは「やりたくても、できていないこと」

新規のお客様との商談では、課題やニーズを聞いても「今は困っていません」という返答が返ってくることがあります。しかし、営業から見ると「本当に困っていないのかな?」と感じる場面も多いはずです。これは、お客様が条件反射的に営業をブロックしている状態です。

お客様の「不信・不要・不適・不急」といった心理的な壁の中でも、特に初期段階で現れる「不信・不要」は難関です。警戒心の強いお客様は、売り込まれるのを避けようと「今は困っていません」というフレーズを自然と口にしますが、その裏には「御社の商品に対しては必要性を感じていない」という前提が存在します。この前提がある限り、対話は深まりません。

そこで、「◯◯さん(御社)にとって、やりたくてもなかなかできていないことはありますか?」と質問を投げかけると、売り手の商品に直接関係する問題を探るのではなく、お客様の立場に寄り添った形で会話が進みます。この質問をすることで、お客様の「長年解決されていない課題」を聞くことができます。

「やりたくても、できていないこと」には、さまざまな要因が絡んでいる可能性があります。

  • 時間が足りない
  • 予算が足りない
  • 社内リソースが足りない
  • 緊急性の高い他の課題がある
  • 組織内での意見の不一致

「やりたくても、なかなかできていないことはありますか?」という質問は、お客様の「条件反射ブロック」を避けやすいです。例えば、「御社の課題はなんですか?」と直接的に聞かれると、売り込まれないように瞬時に防御態勢を取るお客様も、実際には現状に100%満足しているケースは少ないです。ほとんどの企業は、理想と現状のギャップを抱えています。

有名な「7つの習慣」で知られる時間管理の原則では、緊急度と重要度に基づく四つの領域に分けたタスク管理が紹介されています。その中で「重要度が高いが緊急度が低い第二領域に集中せよ」というメッセージは広く浸透していますが、これは裏を返すと「重要だが緊急性が低いものは、手をつけずに放置されがち」ということでもあります。

「重要度が高いが緊急度が低い第二領域」を確認したら、「不適・不急」の壁が出てくることが多いです。そのため、第二領域の課題を確認した際にはすぐに提案に入るのではなく、「なぜこれまでは手をつけるのが難しかったのか」を深くヒアリングすることが重要です。このヒアリングが浅いと、重要な課題が緊急性の高い他の課題に埋もれてしまいます。

ヒアリングでこれまでは取り組むのが難しかった理由を聞いたら、その課題に対する「これまでとは違ったアプローチ」として自社のサービスを紹介しましょう。「差別化」や「商品の強み」を伝える際には、自社の都合ではなく、お客様の視点やニーズに沿った形で伝えることが大切です。

お客様の「真のニーズ」を把握しよう

「やりたくても、できていないこと」を質問するということは、お客様の「真のニーズ」を理解するということです。なぜ「真のニーズ」という言葉を使うのかというと、営業であれば誰しもお客様のニーズや課題を聞くとは思いますが、それが本当にお客様にとって解決すべき課題なのかというと、そうではないことが多いからです。

仕事の面でも、人生全般においても、人には「やりたくても、できていないこと」があります。時間がない、お金が足りない、仲間がいないなど、さまざまな理由でやりたくてもできていないことがあるのです。

人は誰しも望むことや欲することがあるものですが、日常生活の中ではそれに蓋がされていて、なかなか表に出てこないことが多いです。そこで営業に求められるのは、その「蓋がされた状態の望みや欲求」にアクセスしていく、ということです。

「やりたくても、なかなかできていないことはありますか?」と問いかけると、それには何らかの理由やボトルネックが存在します。そこにボトルネックがあるということは、何らかのサポートが必要だというサインでもあります。そこが営業としてお客様のお役に立てるところです。

例えば、日常業務が忙しいのが原因であれば業務を軽減する支援ができないかを提案することができますし、情報が不足しているのであれば情報提供をすることでお客様のお役に立つこともできます。相談相手がいないことがボトルネックなら、相談相手になることでお客様をサポートすることができます。

こうした課題を共に探り、「一緒に解決していきませんか?」と働きかけていくことで、お客様にとっての「パートナー」となることができるのです。

「お客様との深い関係」が営業の成長に繋がる

ただ、多くの営業がこうしたアプローチを躊躇するのは、自社の商品に直結するかどうかがわからないからです。「お客様のやりたいことが自社の商品とは全く異なるものだったらどうしよう」という懸念があるのです。

しかし、冷静に考えてみると、お客様の望むことを深掘りした結果、もし自社の商品とは異なる方向に向かうのであれば、たとえそのままストレートに自社の商品を提案しても受注には至りにくいのです。

また、お客様が自社が提供できることを正しく理解していない可能性もあります。そのため、自社の強みや提供できる価値をお客様にきちんと理解していただくためにも、お客様と深く対話する時間は必要です。

そこで、「やりたくても、できていないこと」を尋ね、それに対して一緒に取り組むという関係が築ければ、容易には崩れない強固な信頼関係ができます。そして、その取り組みが自社の商品と合致するものであれば、非常にパワフルな関係が築けるはずです。

お会いするすべてのお客様と理想的な関係を築けるかというと、必ずしもそうではありません。しかし、例えば10人のうち1人でも深い信頼関係を築けるお客様がいれば、それは営業として非常に貴重なものとなります。

もし、お客様と深い関係のもとで一緒に仕事をする機会ができたら、それは営業として大きな成長に繋がります。それには短期的な受注のみを目指すのではなく、お客様と深いパートナーシップを築くことに意識を向けることが重要です。その経験があるかないかで、営業の楽しさや充実感が大きく変わってきます。

もちろん、切羽詰まった状況ではそのようなことをするのは難しいかもしれません。しかし、例えば新しい期が始まったり、体制が変わったりして、まだ十分に時間的な余裕がある場合は「やりたくても、できていないこと」を聞き、お客様と深いパートナーシップを築くことに挑戦できるかもしれません。特に若手の営業や、これから長い営業人生があるという方には、そのような経験は必ず活きてくるはずです。

ハイパフォーマーの方は「無理に売り込もうとしない」という点が共通しています。彼らは目の前の短期的な目標を達成するためだけにお客様と接するのではなく、目先の損得を超えたお客様への貢献や、お客様と共に価値を創り上げるプロセスを大切にしています。お客様とそうした関係を築く中で営業として成長していったと感じる方が多いのも、ハイパフォーマーの方の特徴です。

お客様とそのような深い関係を築くきっかけになるのが、「やりたくても、できていないこと」を聞くことです。この問いが、お客様との新たな関係を築く一助となれば幸いです。

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