社内の営業人材育成を推進したい

2025.07.25

8割近くのお客様は「見積もりを見る前に決めた」経験がある

クロージングの引き出しを広げるには?

クロージングの引き出しを広げよう

クロージングには様々なやり方があります。その中で自分に合ったクロージングを身につけることが重要です。今回はクロージングの引き出しについてお伝えします。

「自分に合ったクロージング」をしよう

営業のクロージングは「堂々と買ってくださいと言うこと」が王道とされています。しかし、「どうしても堂々と買ってくださいと言えない」という性格の方もいます。そこで、今回は様々なクロージングの仕方についてお伝えします。

①ポジティブ系クロージング

堂々と「買ってください!」「やりましょう!」と明るく、力強く、自信を持って伝えます。自分が提案する商品が素晴らしく、お客様の役に立つと信じ、それを全身で表現する方法です。これはまさに王道のクロージングであり、多くの場面で有効なアプローチです。

②ネガティブ系クロージング

お客様が購買判断の一歩手前で迷っている場合、こちらからはあえて言葉をかけず、無言で待ちます。お客様が自ら決断するまでの「間」を作ることで、お客様が決心されるのを待ちます。購買意欲が高まっている段階であれば、この方法も有効です。

③お調子者クロージング

お客様との関係が築けていて心理的な距離が縮まっているなら、対面でのやり取りで「お願いします♪」「やっちゃいましょう!」とノリと愛嬌で促す方法もあります。ただし、コロナの影響で対面でのやり取りが減り、このスタイルのクロージングはかなり難しくなっています。

④チームプレーでクロージング

上司を同席させ、会社としての本気度を示します。それはお客様側の決裁者に同席していただくきっかけにもなります。また、価格交渉の場では「上司が納得しなくて…」などと上司をあえて悪役にすることで、安易な値引きを防ぐことも可能です。

ここまでが「よくある」クロージング方法ですが、ここからは少し裏ワザ的なアプローチについてお伝えします。見積もりを出す前に、実質的に案件を決めるパターンです。実際、弊社が実施した「お客様1万人調査」でも、見積もりを出す前に心が決まったお客様は8割近くいました。

⑤初回訪問で(実質)クロージング

多くの営業は、初回訪問でいくつかのミスをしてしまいがちです。

  • マナーや振る舞いが不十分で印象を損ねてしまう
  • お客様について十分に調べていない
  • 会社案内がテンプレート通り
  • 一方的に話し続け、話が長い

これらの「ガッカリさせる要因」を網羅的に回避し、徹底的に「期待を超える」営業スタイルを実践します。

ある程度の購買経験を持つお客様は、これまでに多くの「ガッカリな初回訪問」を経験しているため、そうした営業とは正反対の対応を取る営業に出会うと、「この営業は切りたくない」という気持ちが生まれます。そうすると、お客様の温度感が上がります。

お客様の温度感が上がった時点で、自社商品の話には触れず、ひたすらディスカッションの質を高めていきます。目標は「この営業との議論が楽しい」と感じていただけるレベルに達することです。その状態になるまでは、こちらから提案や見積もりを持ちかけることはせず、「お客様から頼られるまで」待ちます。

こうした立場を確立した後は、お客様から「発注したい」と言われるまで、質の高いディスカッションを続けます。途中で中途半端に「提案がほしい」と言われた場合は、そのお客様には一旦お断りを入れることも必要です。

⑥2回目訪問で(実質)クロージング

このクロージングは、以下のような一連の流れによって実現されます。

  • ①質の高い初回訪問
  • ②初回訪問直後に完成度の高い議事録を送付
  • ③初回訪問から1〜2営業日以内に要件整理
  • ④要件整理をもとにした電話商談
  • ⑤電話商談を受けて2回目の訪問

その際、提案書に力を入れるのではなく、以下の3点で勝負します。

  • 議事録
  • 要件整理
  • 見積もり

このアプローチで重要なのは以下の点です。

  • 議事録の質とスピード
  • 要件整理の質とスピード
  • 2回目訪問時における要件整理のブラッシュアップ

お客様の立場からすると、これらのアクションが「今までに経験したことがないレベル」で高品質かつ迅速であると、購買意欲が大きく高まります。

議事録や要件整理は訓練すれば新卒や若手でも十分にレベルを上げられるため、このアプローチは再現性が高いです。商品や提案書、価格といった要素ではなく、質と精度を上げやすい「ドキュメント」と「コミュニケーション」に注目することで成果が出やすくなります。

多くのお客様の「決定場面」を聞いた結果、「初回訪問で発注したいと思った」「2回目訪問の時には実は心の中では決めていた」というケースが多くあります。正式な決定には見積もりが必要ですが、見積もりを提示する前から「心が動く」お客様は少なからず存在し、それはスキルで勝負できる領域です。

「⑤初回訪問で(実質)クロージング」は難易度が高いものの、「⑥2回目訪問で(実質)クロージング」はそこまで難しくありません。エース社員が⑤で勝負し、若手社員が⑥をできるようになれば、営業の「無駄」を減らすことができます。これにより提案書作成の工数や、本来は不要な値引きも自然に減っていきます。

重要なのは「お客様の心が動いた瞬間」

クロージングの瞬間とは、お客様が「迷っていたけれども、購入しよう」と決断する瞬間のことです。つまり、ある時点までは決断に至っていなかったお客様が、何かのきっかけで「購入しよう」と心が変わるわけです。この「心が動いた瞬間」が重要です。

人は心が変わる時に「理由」が必要になります。迷っている状態のとき、その変化に見合う理由がなければ心は動きません。そのため、「心が変わる理由を提供すること」がクロージングにおいては重要です。

弊社代表の高橋がこれまで多くの方とロールプレイを重ねてきた中で最もよく見られるパターンは「今回は御社に特別にお安くしますので、ご購入ください」というものです。つまり、「特別値引き」をするのです。

人は「あなたにだけ特別です」「今回は特別です」「今ならお得です」と言われると、「それなら買おうかな」と心の中で納得しやすくなります。

ただ、この方法はあくまでも「最後の手段」として取っておくことがおすすめです。一度この方法しかクロージングの手段がなくなってしまうと、他のアプローチができなくなってしまうからです。

お客様に「心が動いた瞬間」の話を聞こう

そこで、営業の方におすすめしたい2つの方法があります。

まず1つ目は、クロージングの瞬間についてお客様の生の声を聞くことです。これは『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)でもお伝えしてますが、「決定場面を問う質問」を活用するという方法です。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

例えば、弊社では接戦を制した受注案件の8割以上について、「何月何日の何時頃にお客様の心が決まったのか」がすべてデータとして記録されています。

弊社はこの情報を参考にしながら活動しています。具体的には、受注が決まった際に以下のように尋ね、心が動いたポイントについてお客様に詳しく聞くのです。

営業パーソン

今回、途中まで迷われていたと伺っています。弊社にご発注いただき大変嬉しいのですが、ぜひ御社の期待に応えていきたいと考えておりますので、どういう点で期待されているのかを詳しく知りたいです。途中まで迷われていたのに、最終的に弊社に決められたきっかけを教えていただけますか?

そして、この情報をできる限り詳しくSFAに記録し、チーム全体で共有します。

多くの営業は受注時に「なぜ弊社にご発注いただいたのですか?」と尋ね、お客様が「今回は寄り添ってくれたから」といった理由を答えると「ありがとうございます、頑張ります!」と言って、その時点で話を終えてしまうことが多いです。

しかし、それでは非常にもったいないです。受注の決め手となった「心が動いた瞬間」の話を丁寧に聞くことは、営業にとっても自己肯定感を高める効果があります。

大切なのはお客様の「心が動いた瞬間」をしっかりと把握することです。

商談で重要なのは「待つ」こと

もう1つのアクションは、「ギリギリまで待つ」ことです。先ほども述べたように、お客様の方から「買いたいです」といった意思表示があるまで、自分からは積極的に売り込まないようにして、あくまでお客様が「買いたくなる瞬間」を待つのです。

もちろん、この方法が適用できるお客様には限りがあり、すべてのお客様に対してこのやり方をするとリードタイムが長引いたり、クロージング率が低下したりする可能性があります。そのため、「試せそうだ」と感じたときに取り組むのが良いでしょう。

最初から前のめりなお客様もいれば、ある瞬間を境に前のめりになるお客様もいます。これは、本当に全神経を集中させて商談に臨まないと気がつかないものです。もし夢中で「この資料の1ページ目を説明して、次に2ページ目を説明して…」といった具合に商談を進めていたら、絶対に気づけません。

そうではなく、その場に対してアンテナを立て、自分から積極的に売り込むのではなく、ただひたすらお客様を理解し、お客様の課題を把握し、どのようにお役に立てるかを伝えながら進めていくと、ある瞬間にお客様の温度感がふっと上がる瞬間が訪れるのです。

そのような瞬間を何度か経験すると、「価格を提示する前でも、お客様の購買意欲を引き上げられる」と感じるようになるのです。

こうしたアプローチを続けると自然とリードタイムが短縮され、受注率も向上します。値引きが発生したり、リードタイムが長くなったりするのはすべて営業の所作が影響しているのです。そして、これを肌感覚で理解するには、お客様の心がどこで動くのかをしっかりと把握することが重要です。

無理に自分から積極的に売り込むのではなく、お客様の温度感がふっと上がる瞬間を感じ取ることが重要です。それを五感で体験し、ここでお伝えした2つの点を意識していただければ、クロージングに対する悩みも自然と解消されていくでしょう。

TORiXでは、このような営業強化に役立つ情報を、
セミナーやイベントでも頻繁に発信しています。
よろしければぜひご参加ください。

この記事が気になった人は、
こちらのサービスを!

特徴とこだわり

FEATURE

“みんなが売れる”ために、リアリティのある施策を。
TORiXが提供するサービスの特徴やこだわりを、ご説明します。

4万人の支援と、2万人の調査!

誰でも、早めに、成果を提供します!

プロジェクトの事例はこちら!

アクセスランキング

RANKING

  • WEEKLY
  • MONTHLY

まずはお気軽に!

お問い合わせはこちらから