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2026.02.06

9割の提案資料は「営業不在」で読まれている

お客様の「社内検討」を想定した提案資料の作り方

提案資料の作成で重要なポイント

当社が実施した「2,676人調査」によると、営業が送った資料の9割はお客様の社内で転送され、営業が不在の状態で読まれています。そこで重要なのは、「社内で転送される前提で資料を作ること」です。今回はお客様の「社内検討」を想定した提案資料の作り方についてお伝えします。

お客様の「社内検討の仕方」を把握しよう

お客様が資料を検討するスタイルは「ベンダーからの資料を共有し、社内検討用のまとめ資料を作成し、社内で議論する」というパターンが最も多いです。全体で見ると、ベンダーからの資料が共有されるのは全体の9割、お客様が別途まとめ資料を作成するのは全体の6割弱です。また、一人で資料を見て決めるケースに比べて、社内で議論するケースは1.2〜2倍程度の割合となっています。

上記は当社が2,676人の購買担当者を対象に実施した調査の結果です。まとめると、以下の通りです。

ベンダー資料の転送・共有について

  • 9割のケースで「そのまま社内で転送・共有される」
  • 1割のケースで「転送・共有されない」

まとめ資料の作成について

  • 6割のケースで「作成する」
  • 4割のケースで「作成しない」

意思決定の方法について

  • 約3分の1が「1人で決める」
  • 約3分の2が「複数人で決める」

これらのデータを踏まえると、提案側としてどのような作戦を立てて資料を作成すべきでしょうか。

提案資料作成で押さえるべき3つのポイント

まず重要なのは、資料が転送・共有される前提で考えることです。

自社の資料が転送・共有されるということは、「自分がその場に行って説明やプレゼンをしない状態で資料を閲覧される」ということです。

そのため、大半のケースにおいては「自分が直接説明できない状態で閲覧される」ことを想定して資料を作成する必要があります。

そのためには、資料の中に「まとめページ」を作ることが重要です。まとめページとは、資料の要点や骨子を1枚にまとめたもので、「この1枚を見れば当社の提案の骨子が理解できます」というページです。

まとめページがないと、作成者以外の人には要点がわかりにくくなります。資料を見る人は流し読みするかもしれませんし、大事なところを見落としてしまうかもしれません。自分が不在の状況を想定して、まとめページを必ず作成しておきましょう。

次に重要なのは、お客様側がベンダー資料をどのように扱うかを理解することです。

複数社から提案をもらっている場合、お客様は「各社の提案を整理して一覧表にする」ことが一般的です。具体的には、縦軸・横軸のマトリックス形式で整理されることが多く、役員会議や経営会議で使われる資料はこの形式が主流です。縦軸に「各社からの提案(選択肢)」があり、横軸に「判断軸(評価項目)」があるマトリックスが作成されるのです。

しかし、ここで問題が発生します。各ベンダーが作成する資料は、「全ての点において他社を上回っている」という表現になりがちなのです。

お客様の立場で考えてみましょう。A社の資料を見ると全ての項目が二重丸で、他社は丸や三角になっています。B社の資料を見ても同様に、その会社が全て優れているような内容になっています。これではお客様は各社をどう比較すればよいのか判断に困ってしまいます。

お客様が知りたいのは「各社の譲れない強みは何か」ということです。しかし、全ての面で強みをアピールしようとすると、次の2つの問題が起こりがちです。

  • ①本当の強みが不明確になる:「どこも強い」という表現になり、結局何が一番強いのかが伝わりにくい
  • ②弱みが見えにくくなる:通常、何かに秀でていれば何かが弱くなるのが自然なものの、それを隠してしまいお客様が提案をどう解釈すれば良いかわからなくなる

つまり、「何でもできます」と言われると、「結局、御社の売りは何ですか?」となってしまうのです。

そのため、ある意味では強みと弱みをある程度はっきりさせることが重要なのです。

ただし注意点があります。強みと弱みが両方はっきりしていれば提案内容はわかりやすくなりますが、一方で弱みのせいで選考から外されてしまっては元も子もありません。だからこそ各社は「全ての項目で強い」という資料を作りたくなるのです。

お客様の「妥協ポイント」を理解しよう

ここで理解すべき重要なポイントがあります。それは、「今回のお客様の妥協ポイントはどこなのか」ということです。

妥協ポイントとは、判断軸を重要なものとそうでないものに並べたときに、重要度が高くない項目のことです。この重要度が高くない項目がわかっていないと、メリハリの効いた提案ができません。

ここが難しいところですが、お客様が社内で複数人の関係者を集め議論をすると、判断軸の優先度は変動します。関係者の役割によって重視するポイントが異なるからです。

多くの場合、お客様には「6つの役割」があります。

  • 現場の利用者
  • 社内の推進者
  • 発注の担当者
  • 予算の監督者
  • 決裁の承認者
  • 最終決裁者

それぞれの役割によって、どこを重視するかが変わってきます。押さえておくべきことは、各関係者が何を重視するかということと、最終的に会社トータルでの判断軸は必ず作られるということです。

例えば、オフィシャルな社内検討資料を見たときに、「〇〇専務の判断軸」というマトリックスにはなっていないはずです。「当社としてどう判断すべきか」という会社としての判断軸になっているはずです。

つまり、オフィシャルな判断軸が何なのかを押さえておく必要があるのです。これは提案を出す前の段階でつかむべきことです。マトリックスで各社の提案が整理されるとしたら、その判断軸にどんな項目が来るのかを予測しなければなりません。

判断軸を議論する際、検討内容に詳しい人が影響力を持ちます。「詳しい」には2つの側面があります。

  • ①会社の方針に照らしてどう判断すべきかについて詳しい(経営に近いほど詳しい)
  • ②ベンダーからの提案をどう理解・解釈して判断すべきかについて詳しい(商談回数に比例する)

ここが最も難しいポイントです。提案資料を作る際に大事なのは、お客様の判断軸がどうなるかをある程度予測しながら作るということだからです。

「要件整理」で「まとめページ」を作ろう

ここまでをまとめると、重要なポイントは以下の3つです。

  • 「まとめページ」を作成する
  • 強みと弱みのメリハリをはっきりさせつつも、弱みがネックにならないようにする
  • お客様の判断軸を想定しておく

これらを両立する手段として重要なのが「要件整理」です。

要件整理とは、お客様の課題や要望を検討する際に、どんなキーワードで検討されるのかを整理したものです。

  • ①検討キーワードをある程度網羅的に洗い出す
  • ②優先順位をつける
  • ③それに対し自社の提案がどう応えるかを示す

この要件整理を、提案資料の最もわかりやすい位置(表紙をめくってすぐのところ)に配置します。

要件整理のメリット

  • 「まとめページ」の1枚として機能する
  • 作成過程でお客様の判断軸を押さえることができる
  • お客様が別途資料を作る際の「解釈ガイド」になる

「2,676人調査」によれば、6割のケースでお客様が別途資料を作成します。「当社の提案は他社と比べて全てにおいて優れています」という資料では、お客様がどう解釈すればよいかわかりません。「要件整理の1枚」を入れることで、どう解釈すべきかのガイドまで用意していることになるのです。

「要件整理の1枚」を作成しておけば、これらの要求をある程度満たすことができます。

要件整理の詳しいやり方については、当社代表高橋の著書『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)をはじめ、高橋の書籍で解説しておりますので、ぜひご参照ください。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

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