社内の営業人材育成を推進したい

2025.08.12

「意思決定のキーマン」は最終決裁者とは限らない

発注プロセスにおける購買関係者ごとの悩みを把握しよう

法人営業では「関係者ごとの悩み」を把握しよう

法人営業では、お客様の社内には購買活動に関わる多くの関係者がいます。その際、「関係者ごとの悩み」を把握しておくことが重要です。今回はお客様の購買プロセスにおける社内関係者ごとの悩みについてお伝えします。

「意思決定に対する影響力」は分散している

当社は2,676人のお客様に対する定量調査を実施いたしました。購買に関与する役割ごとに「発注決定プロセスにおける悩み」をお聞きしたところ、役割ごとに重要度の感じ方にばらつきが見られました。「プレゼン一回では決まらない」からこそ、お客様とのやり取りの往復回数が決め手になるのです。

今回の調査の特徴としては、購買関係者ごとの役割の比較分析ができるような設計になっていることです。

具体的には、6つの役割に分けました。まず、「製品・サービスを利用する立場で議論に加わる『現場の利用者』」、いわゆるユーザーです。そして、「製品・サービスの導入を提案・リードする『社内推進者』」です。外資系企業などではMEDDICC(メディピック)のフレームワークで営業されているところもあるかもしれませんが、そういった企業では「チャンピオン」という言葉で呼ばれることもあります。

次に、「ベンダーとの調整・交渉を担当する『発注担当者』」、いわゆるカウンターパートのお客様です。その次が「財務状況を見て支出や投資の管理を担う『予算の監督者』」(例えば購買や財務部門の責任者など)です。

そして、「決裁者に提言をする立場にいる『決裁者の影響者』」(役員や事業部長など)、最後に「経営レベルで事業を統括・最終判断する『最終決裁者』」という構成です。

今回の2,676人への調査で総じて言えることは、購買に関する主導権やイニシアチブが非常に分散していることです。どういうことかというと、「決裁者が実質的に決める」というケースは全体で言うと7分の1程度で、残りは他の方々に影響力が委ねられているということです。

ただし、これは外からはなかなか見えませんし、しかも誰が決めるのかという状況は、やはり途中まで分からず、曖昧なことも多いです。そのため、まずこれを機会にこの役割ごとの詳細を細かく見ていきましょう。

発注プロセスについては購買プロセスを5段階に区切っています。具体的には、以下の5段階の発注決定プロセスにおける悩みについて聞いています。

  • ①課題認識をする初期段階
  • ②各ベンダーの情報を調べる情報収集段階
  • ③要件定義をしっかり言語化する段階
  • ④ベンダーからそれぞれ提案をもらうベンダー企画段階
  • ⑤どこに発注するかを決める発注決定段階

それぞれ1つずつ選んでいただき、それをスコア化して集計・比較をしているのですが、それなりにばらけてます。あまりばらけていないポイントとしては、「選びたいベンダーはあるがリスクや懸念が払拭しきれない」というところは総じて高く、「各ベンダーの提案が似ていて違いがよくわからない」というものも全体的に高いです。その辺りは、どんな役割であってもスコアが高いということになります。

では、もう少し細かく見ていきたいと思います。以下の表について、役割ごとに見ていきましょう。

製品・サービスを利用する立場で議論に加わる「現場の利用者」

まず、現場の利用者、いわゆるユーザーです。ユーザーの人にとっては、「予算が少なすぎるので増やしたいが自分にその権限がない」、つまり「こういうものを使いたいのだけれど、お金がないと言われてしまう」というもののスコアが高めです。また、「どのような判断基準で考えるべきかがわからない」「検討チーム内で人による意見の違いが大きい」というところも挙げられます。

この辺りは、利用者として何かを導入したい、あるいは会社で何かのリクエストをしたいのだけれども、なかなかどうやって進めたらいいかがよくわからないという苦悩の声が見て取れます。

製品・サービスの導入を提案・リードする「社内推進者」

次が社内推進者です。特に大手企業になると、「社内推進者」の発注に影響する度合いが上がります。最終決裁者が実質的に意思決定に影響するケースは7分の1ぐらいで、7分の6はそれ以外の方にばらついていますが、実は大手になってくると、この社内推進者が実質的に影響力を持つケースが非常に多くなります。

社内推進者の方は、特に悩みの項目に色がついている場合が多いです。これを他の役割と比較すると色がついている数が多くなります。これが何を意味するかというと、「特にない」「わからない」という回答を除いているため、社内推進者に関しては「悩みは特にない」という回答が特に少なかったということを示しています。

この社内推進者に高く、他の役割ではそこまで高くないのが「意見がはっきりしない人物がいて検討が進まない」ということであったり、「自社の要望に応えてくれている提案が一つもない」というものです。これらは他の役割に比べてスコアが高めになっています。

また、「意思決定に関係する人物が忙しすぎて時間が取れない」というのも相対的に高めです。そして「自社の要望に応えてくれている提案が一つもない」「各ベンダーの提案が似ていて違いがよくわからない」というのも高めに出ています。

このように、選ぶ上での悩みというのが多くあります。大きく分けると、「社内調整で苦戦するケース」と「ベンダーから自分のほしい提案が来ないケース」の2つに分かれます。後者のケースでは「自分のほしい提案を求める・あるいはほしい提案はおおよそ定まっているが、懸念が払拭しきれない」ということです。

ベンダーとの調整・交渉を担当する「発注担当者」

次が発注担当者、いわゆるカウンターパートです。発注担当者の方で一番スコアが高いのは「選びたいベンダーと契約条件や価格の交渉をするのが困難」です。これは、発注担当者が調整・交渉役だからです。また、特にスコアが高めなのは「予算が少なすぎるので増やしたいが自分にその権限がない」ということも高くなっています。

他の役割と比べて相対的に「どのような判断基準で考えるべきかわからない」も高く出ています。発注担当者は「決定する」よりは「調整の窓口」であるため、社内の様々なことに振り回されがちな実情というのが見えてきます。

「自分にはそこまで権限がないのだけれども、調整しなければならない」。自分にとって扱える範囲が少ない中でベンダーとの交渉を進めなければならないという苦悩が見て取れます。

財務状況を見て支出や投資の管理を担う「予算の監督者」

次が予算の監督者です。予算の監督者は営業からするとあまり接触が多くない役割と言えます。他の役割に比べて大きく目立った傾向はありません。

ただ、「相対的に高め」ということで言えば「予算が少なすぎるので増やしたいが自分にその権限がない」が挙げられます。予算の監督者が「お金に関する権限をある程度持っているのだけれども、増やせない」ということは、予算を増やすには最終決定者の了解が必要だということです。そのように考えると、「なかなか経営レベルの人の合意が得られない」という実情があると見ることができます。

決裁者に提言をする立場にいる「決裁者の影響者」

そして次が決裁者の影響者です。例えば役員や事業部長など、経営者に次ぐ立場の方が多いです。

この決裁者の影響者においては、「意見がはっきりしない人物がいて検討が進まない」が少し高めです。もちろん様々なケースがありますが、「最終決定者がはっきりしてくれない」というケースは多いと言えるでしょう。

経営レベルで事業を統括・最終判断する「最終決裁者」

そして最後が、最終決裁者です。最終決裁者は「自社の要望に応えてくれている提案が一つもない」というのが少し高めになっています。つまり、「納得しきれてない。ということです。「選びたいベンダーはあるがリスクや懸念が払拭しきれない」というのは他の役割に比べてそこまで高いわけではありませんが、最終決裁者の中では最も高いスコアとなっています。ここから、最終決裁者もスパッと決めるのは難しいという実情が見えてきます。

「各ベンダーの提案が似ていて違いがよくわからない」というスコアも高めに出ています。「何が違うのかということがよくわかっていないため、決めるのが難しい」という苦悩が見えてきます。

また、最終決裁者から見ても「検討チーム内で人による意見の違いが大きい」というのが無視できないほど大きく出ています。これは「意思決定をする権限」が与えられていても、やはり皆の了解抜きでは決められないという傾向を示しています。「意見が異なっているところについて、どのようにして取りまとめたらいいのか」というところに苦慮されている様子が伺えます。

まとめ

ここまで、役割ごとの悩みを見てきました。ここから言えることは、「影響力が分散している」ということです。そのため、営業としては「影響力が分散しているということを踏まえて対応する」ことが重要です。

営業で成果を出すには「レスポンス」だけではなく、「やり取りの回数」を増やすことでこういった種々の問題を解決していくことが重要です。

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