「先回り」でお客様の信頼を獲得しよう
弊社の「営業1万人調査」によると、ハイパフォーマーとローパフォーマーの大きな違いが明確に浮き彫りになりました。特に目立ったのは、「レスポンスの早さ」と「お役立ち情報の提供」がハイパフォーマーの強力な武器となっていたことです。ハイパフォーマーはこれらを常に意識し、行動に反映させている姿が見受けられました。
一方で、ローパフォーマーは頻繁にお客様の元を訪れ、お客様の要望に耳を傾け、誠実かつ正直に対応することを「武器」として認識している割合が高い傾向にありました。もちろん、営業として誠実であることは大切ですが、それだけでは成果に繋がりにくいという現実もあります。
ハイパフォーマーに共通する要素は、「先回り」にあります。
例えば、お客様からの質問やリクエストがあるとします。提案を進めている中で、お客様が経営陣に稟議を通す段階に入った際、担当者から「この資料をいただけますか?」とリクエストを受けることがあるでしょう。
この場合、お客様からのリクエストが来てから対応するのでは、営業に「義務」としての宿題が増えることになります。しかし、先にお客様が求めるであろう資料や情報を提供することができれば、それは「先手を打った貢献」となり、信頼の獲得に繋がるのです。
つまり、お客様が経営陣に対して稟議や承認を求めることが想定される段階で、営業から「もしかしたらこの資料が経営陣から求められるかもしれませんので、先にお送りしておきます」と先回りする、ということです。お客様に言われてから資料を送るのと、言われる前にこちらから送るのでは、同じ資料であってもお客様の受け取る印象が大きく変わります。
「喜ばれるおせっかい」をしよう
そこで重要なキーワードが「喜ばれるおせっかい」というキーワードです。「喜ばれるおせっかい」とは、相手からリクエストされていないけれど、「これをすれば喜んでもらえるかもしれない」と考えて先回りして動くことです。
もちろん、相手が喜んでくれなければ「喜ばれないおせっかい」になってしまうので、試行錯誤を繰り返しながら、「喜ばれるおせっかい」を目指していくことが重要です。
「喜ばれるおせっかい」をするポイントは「お客様からリクエストを受ける前に行動すること」にあります。
営業は日々多忙で、複数の案件を抱えています。そのため、すべてのリクエストに対して即座に対応するのが難しい場合が多いでしょう。しかし、弊社が実施した「お客様1万人調査」では、「返信は1日以内、疑問や課題の解決は2日以内」を望まれているお客様が約7割います。1日以内の速やかなレスポンスはしたいところですが、「2日以内に疑問や課題を解決する」というのは非常にハードルが高いです。
しかし、お客様からのリクエストを待つのではなく、先んじて動くことができれば、仮にそれがお客様に響かなくても、それは好意からの行動なのでお客様の評価が下がることはありません。先回りすることを意識して行動することで、次第にお客様が何を必要としているのかを体で覚えることができます。
ハイパフォーマーは「お客様が求めること」を体で覚えているため、自然に素早く反応することができています。お客様に言われる前に「もしよろしければ」と「喜ばれるおせっかい」をしてみることが成果を出すカギとなります。