言語化することで「思い込み」を解消しよう
営業マネジャーの方々から寄せられる悩みに、メンバーのスタンスや姿勢に関するものが多く見受けられます。そのような悩みには、以下のようなものがあります。
- 「いくら指導しても変わらない」
- 「お客様の立場で考えることができない」
- 「想像力が不足している」
こうした問題については、2つの側面から考えることが重要です。1つは「言語化できるもの」で、もう1つは「言語化できないもの」です。
「言語化できるもの」については、そもそも認識のズレが発生していることが多々あります。弊社代表の高橋は書籍などで営業とお客様の間で生じるズレや誤解を「思い込み」という表現で取り上げていますが、これはマネジャーとメンバーの間にも同様に生じるものです。
マネジャーが「普通こうするよね」と指摘しても、メンバーにはその「普通」がわかりません。そのため、マネジャーとしてはその内容をしっかりと言葉で伝えることが重要です。
また、「お客様の目線に立て」と言っても、実際にお客様がどのように業務を進めているのかがわからないと、メンバーはお客様の視点に立つことが難しいです。そうした場合も、言葉で丁寧に伝えることが必要です。
手本を見せることで「言語化できないもの」を伝えよう
「言語化できないもの」について考える際には、「職人芸」という言葉がヒントになります。「職人芸」という言葉には、言葉では伝えきれない領域があるという意味が含まれています。
例えば料理の世界では、シェフがレシピに基づいて料理を作りますが、微妙なさじ加減はレシピに表せません。その日の気温やお客様の好みによって、味付けを微妙に調整することもあるのです。そのように、あるレベルに達すると、もはや言葉では言い尽くせない領域が出てくるのです。
感覚的なものを言葉で表現するのは非常に難しいです。そこで、最も効果的な方法は「手本を見せること」です。
例えば、マネジャーが「お客様の目線に立て」「顧客志向で考えろ」と言っても、それだけではメンバーには実感として伝わりにくいです。しかし、マネジャーが実際にお客様の目線に立って行動し、顧客志向で対応をしている姿を見ることで、それが自然と伝わるのです。
「お客様の目線に立て」「顧客志向で考えろ」といった言葉だけの指導では効果が薄いです。重要なのは、基本的な認識についてはしっかりと言語化し、感覚的な部分については手本を見せることです。
「言語化できるもの」と「言語化できないもの」の両方が揃って初めてマネジャーの指導が機能するのです。