価格競争を避けるカギとは?
営業が価格競争を避けるにはどうしたらよいでしょうか。営業の行動で重要なのは、「個人で判断するタイプの案件」ではなく、「組織で判断するタイプの案件」にすることです。要するに、営業の提案を「組織の論点」に昇華させるのです。その際、大事であるものの抜けがちなのが「組織の定例会議に関するヒアリング」です。

お客様が「個人的に判断する」なら、なるべく価格を抑えるように意思決定するのが合理的です。価格は周りから見てわかりやすい判断指標なので、安く抑えれば周囲から責められることはありません。
お客様が「組織のオフィシャルな会議で判断する」場合、関係者が増えるので自然と判断基準が多岐にわたります。当然、価格の安さ以外にも議論の幅が広がります。価格以外の判断基準が増えれば、価格競争ではなく「トータル判断」に向かいます。この展開になれば営業としてはやりやすくなります。
お客様の「オフィシャルな会議」について把握しよう
では、「組織のオフィシャルな会議で判断する状態」に持ち込むためにはどうしたらよいでしょうか。出発点は、お客様側の「組織のオフィシャルな会議」について理解を深めることです。開催頻度、参加者、アジェンダ、議論の傾向などの情報を収集します。多くの営業がやらないことですが重要なポイントです。
「組織のオフィシャルな会議」への理解が深まったら、その会議のアジェンダに入れていただく作戦が立てやすくなります。このプロセスにおいては、営業の提案をプッシュするより、お客様の組織構造や文化・慣習を理解することがとても重要です。プロダクトアウトではなく、お客様の文脈に自社の提案を乗せていくのです。
「今じゃない」と断られてしまう営業の悩みを聞くことがありますが、そんなときは「今じゃないとすると、今、お客様は組織で何を議論されているのか?」をヒアリングしておくことが後に提案機会をいただいたときに向けての布石になります。こういった活動をコツコツと続けている営業は非常に強いです。
ポイントは「定例会議の議題」に載せてもらうこと
お客様にとって、外部からの提案をいきなり組織として正式に意思決定するのは困難です。
そこで重要なのが、定例会議の議題に載せてもらうことなのです。
実際には、お客様は営業からの提案に対して臨時会議を開催するケースが最も多いです。当社が2,676人の購買者に実施した調査では「必要に応じて都度関係者で議論して決定する」という回答が、価格重視・非重視のいずれのタイプでも30%を超えています(「価格は最重要ではない」32.5%、「価格が最重要」35.1%)。
しかし、臨時で関係者を集める会議は、工数がかかる上に案件が消滅しやすいです。特定の目的で招集された会議は、次回開催の明確な決定がなければ自然消滅します。一方、定例会議は自動的に次回が開催されます。つまり、定例会議のアジェンダに一度載れば案件が消えにくいのです。臨時会議は忙しさに紛れて後回しになり、いつの間にか立ち消えになりがちです。
カギは「特定の1社について理解すること」
だからこそ、お客様の定例会議がどのように運営されているかを把握することが重要なのです。
その際、全てのお客様について細かく調べる必要はありません。なぜなら、特定の1社について深く理解すれば、他社の状況も類推しやすくなるからです。
ある特定の組織の定例会議について詳しくなることで、会社における意思決定プロセスの全体像が見えてきます。特定の1社について得た知識は、他社への営業活動にも応用できる貴重な資産となるのです。
価格競争を避けるために営業が日頃から取り組むべきは、お客様の公式な定例会議について詳しくなることです。組織における意思決定がどのようになされてゆくかを理解することは、効果的な提案活動の基盤となります。





