営業が身につけるべき5種類の知識
今回は「お客様に頼られる営業は専門知識をどう磨いているか」についてお伝えします。
今年、当社は2,676人の購買者に詳細な調査を実施しました。この調査では、お客様から見たときに「関係ができている営業とはどういう営業か」を聞きました。その結果、1位に来たのは「『専門知識を持っており、正確なアドバイスをくれる』と思える」営業でした。

「知識がない営業」は「御用聞き」で終わってしまいます。しかし、商品の特徴を語れるだけでは知識としては不十分です。営業が持つべき5種類の「知識」は以下の通りです。
- ①お客様の成功までのステップ
- ②陥りがちな落とし穴
- ③トレードオフを乗り越える勘所
- ④課題解決の引き出し
- ⑤上記①〜④を踏まえた商品の使いこなし方
①お客様が成功するまでのステップ
お客様が目的やゴールを達成するために、どのようなステップを上がっていかなければならないのか、この全体像を理解しておく必要があります。さらに「ステップごとの難易度」も押さえておけると望ましいです。ステップの全体像と難所を営業が理解していれば、お客様を適切にガイドすることができます。

②陥りがちな落とし穴
「頭ではわかっているのに、ついハマってしまう」落とし穴があらかじめ見えていれば、回避することができます。お客様を無駄に失敗させることのないよう、「こういう落とし穴があります」とわかりやすく示せるかどうかが重要です。

③トレードオフを乗り越える勘所
機能が豊富だと便利です。一方で使いこなせないリスクも上がります。ではどうしたらよいのでしょうか。「あちらを取ればこちらが立たず」という状況にお客様は直面します。「どちらを重視されますか?」と判断をお客様に丸投げしてはいけません。「鍵はこれです」というセンターピンを提示する必要があります。

④課題解決の引き出し
お客様は「打てば響く」営業を求めています。営業としては、お客様が直面する課題を幅広く、網羅的に押さえておく必要があります。その上で、それぞれに対して応えられる状態を作っておくことが大切です。「課題の一覧」を持ち、「その課題をどう解決していくか」に最も詳しい存在になることが求められます。

⑤上記①〜④を踏まえた商品の使いこなし方
多くのお客様は商品の適切な使い方がわかりません。購入後のカスタマーサクセスに丸投げせず、営業が提案段階からガイドすることが重要です。例えば商品のデモをするとき、単なる機能説明に終わらず「お客様がおっしゃっていた◯◯のお悩みについて…」と言えるかどうかが鍵となります。
お客様から頼られるのは「専門知識のある営業」
「2,676人調査」を実施する前、「関係ができている営業」というのは「コミュニケーションが取れて気軽に話せる」とか「一緒に何かを作り上げる関係」といったものを想像していました。しかし、それよりも多くの回答を得たのが「専門知識があること」だったのです。
2番目に多かった回答が「『利益だけを優先せずに顧客のために行動してくれる』と思える」というものでした。

一般的には、知識がある営業は頭でっかちな感じがして、特に営業組織の中では知識を習得することよりも「とにかくお客様と少しでも話しなさい」と言われがちです。もちろん、お客様と会話をする時間を増やすことは大事なのですが、専門知識に対してお客様が大きなウェイトを置いているということは無視できません。
AIが普及・浸透してくると、お客様も当然色々と調べます。情報収集をしたり、AIの助けを借りて自らの業務で活用していると「人に聞かないとわからないこと」の境界線が変わってきて、わざわざ人に聞かずにAIに聞くようになってしまいます。これはお客様に限らず、世の中全体がそういう方向に向かっています。
そうなると、営業の役割は「AIではわからないようなことを教えてくれる存在であること」になります。しかし、これは非常にハードルが高いです。AIはどんどん便利になっていきます。そうなると、お客様は「わざわざ営業に聞くよりもAIに聞いた方が早い」となってしまいます。
では、どうしたらお客様に「AIではなく、この営業に尋ねよう」と思ってもらえるのでしょうか。そのカギは、「文脈力」にあります。文脈力というのは、「お客様の文脈に合わせて知識を翻訳する力」です。「翻訳力」と言い換えてもいいかもしれません。
頼れる専門知識を身につけている営業はそもそもお客様から質問されることが多いです。「この人に聞いたら、すぐに教えてもらえる」とお客様は思っているのです。
それは一朝一夕にできるものではありません。では、どのようにしてそのような営業になればいいのでしょうか。それには、「健全なおせっかい」がカギになります。
「健全なおせっかい」でお役立ち情報を送ろう
「健全なおせっかい」とは、「お客様から求められているわけではないけれど、役に立つ情報を営業から送ること」です。
その際、それが知識の押し付けにならないことが重要です。それには、お客様がいくらもらっても困らないような情報提供の仕方を心得ることがポイントです。
例えば、商品の売り込みや「お得なキャンペーン」のようなものが頻繁に来ると、お客様としては「なんか、売り込まれて嫌だな」と思って迷惑メール・フォルダに入れてしまうかもしれません。
しかし、売り込み色がない「お客様が知っておくべき有益な情報」であれば、お客様は「一応、これは取っておこう」となります。場合によっては、「この情報が途切れたら困るな」とも思うかもしれません。
この「嫌がられないレベルで継続的に情報提供すること」にはバランス感覚が要求されます。加えて、それには非常に個別的なアプローチが必要です。
個別的なアプローチはどういうことかというと、あるお客様に対して「喜ばれるだろう」「お役に立つだろう」と思って送った情報がちゃんと響いているかどうかを相手に確認するということです。
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営業パーソン
今回お送りした情報はお役に立ちましたでしょうか?もしくは、「こういう情報がほしい」というものがあれば教えてください。
そのようにしてフィードバックのサイクルを回すのです。それには、お客様に直接聞く必要があります。送りっぱなしではお客様の役に立っているのかどうかわかりません。
お客様がもらって困らない情報というのは「成功するために必要なもの」と「失敗しないために必要なもの」です。そのため、お客様の成功の要件とお客様にとってのリスクを研究し、その研究した内容を商談や提案、お役立ち情報などに盛り込んでいくのです。自分が得た知識を自分の中だけに置いておかずに外に出すことが重要です。
お客様から求められているわけではないけれど、こちらからお役立ち情報を送る。それも、お客様が嫌がらないバランス感覚で発信する。こういったことは通常マーケティング部門が業務の一環としてやっていることです。しかし、それを一営業単位でお客様との間で回すことが重要です。
そうすると、ふとした瞬間にお客様から質問されることがあります。そのようにしてお客様から質問されると、「これがお客様から頼られるということなのか」ということを実感できるかもしれません。





