成果があがる営業組織を作りたい

2026.02.12

「戦略的な失注」が業績を上げる?

「予算取り」につまずかない営業活動をするには?

お客様と予算の話をする際に重要なこととは?

お客様の予算を聞けないことに悩む営業は多いです。お客様と予算の話をする際には、まずは「予算がどう決まるのか」について理解しておく必要があります。今回はお客様と予算について話す際に重要なポイントについてお伝えします。

まずは「予算がどう決まるのか」を理解しよう

「お客様とお金の話ができない」「予算が聞けない」という課題を抱える営業は意外と多いです。弊社が実施した「営業1万人調査」でも、目標達成に苦しむ営業からは「予算額がなかなか聞き出せない」という回答が多く見られました。この課題に対しては、「予算の聞き出し方」だけでなく「予算がどう決まるのか」への理解が必要です。

営業が直面する典型的なケースとして、「予算はどのくらいでお考えですか?」と質問しても「まだ決まっていないんです」という返答がなされるケースが挙げられます。弊社が実施した「お客様1万人調査」の結果からも、判断基準が曖昧なお客様の多くは「予算が取れていない段階での検討をしている」ということが明らかになっています。このような状況では「予算が社内でどう決まるか」への理解が重要となります。

予算の動きを理解するための前提として、「4階層コミュニケーション」の把握が必要です。これは「経営⇔事業部⇔部署⇔担当」という階層間でどのようなやり取りが行われているかを理解することです。特に若手の営業はこの概念を理解することが難しい場合があるため、自社内の予算策定プロセスについて上司に確認することをおすすめします。

4階層コミュニケーションを理解した後は、「お客様の現在地は、予算計上プロセスのどこにあるか?」という視点を持つことが重要です。「予算の大枠を決める→予算に沿って購買を進める→購買した結果を受けてPDCAを回す」というステージの進捗に合わせて、階層間のコミュニケーションが行われています。

商材の単価によっても状況は異なります。会社の規模や商材の特性による違いはありますが、大まかに以下の3つのレベルに分類できます。

  • ①数千万円〜数億円もしくはそれ以上のクラス
  • ②数百万円中盤〜1000万円クラス
  • ③数十万円〜数百万円前半クラス

高額商材の場合、数年単位での会社の計画に組み込まれる必要があるため、「経営計画の中に予算として入れていただくまでの段階」が主戦場となります。計画に乗り遅れた場合は、次の「波」に向けて準備を進める必要があります。

中規模金額の商材については、数年単位の経営計画に直接組み込まれるわけではありませんが、「特定の課題への対応が必要」というレベルで、大まかな予算が割り当てられます。このため、「内部で計画が定まった直後」が最も提案しやすい時期となります。

小規模金額の商材は、「経営計画」というよりも「部署のミッション遂行」の観点から捉えることで、毎年コンスタントに提案機会を得ることができます。経営計画が定まった直後が有利ではありますが、状況が変化しやすいため、お客様との継続的な接点を維持することが重要です。

これらを踏まえると、「予算が聞けない営業」が予算の金額だけを聞いても教えてもらえない構造が見えてきます。

  • 営業:「予算の金額」しか聞かない
  • お客様:「予算の金額」以前に「社内の文脈」がある(そのため、言えること・言えないことがある)

このため、まずはお客様の背景をしっかりと探る必要があります。

お客様の背景を理解するためには、中期経営計画のサイクルに加え「1年間の活動サイクル」を把握し、それに合わせて自社営業組織の年間活動計画を立てる必要があります。「お客様側の1年間の動きが見えているか?」という点を見落とすと、日々の活動の成果が上がりにくくなります。これは指揮官の手腕が問われる部分です。

予算「額」を聞き出すための方法として、お客様がまだ正式に予算を立てていない場合でも、営業としては「概算としてどのくらいの金額が見込めるか」を把握しておく必要があります。そのためには「特定質問」を活用します。単に「ご予算はいくらですか?」と聞くだけでは、金額を把握することは困難です。

「金額に見合った価値であること」を理解してもらおう

まず、お客様の立場に立ったときの予算に対する考え方を紐解いていきましょう。

お金というのは課題を解決したり、やりたいことを実現するために払うものです。営業側からすれば売りたい商材があり、そのお金を出していただくためにはお客様に予算を取っていただく必要があります。

これは言葉通りなのですが、ここでのポイントは「課題を解決するために必要なお金」ということです。予算取りが難しいと営業が感じる場合においては、営業が提示する見積もりの金額(課題を解決するために必要なお金)よりもお客様が用意できる予算の額が小さいということが起こります。

単発の1回の提案という目線でいくと、お客様にはお客様の事情というものがあるため、どうしても難しい場合があります。キャッシュとしてはあるものの、そこに割り当てるお金としての合意が組織で取れないということが起こることがあります。特に見積もりを見てから最終的に決定するまでの間に、充分な時間が取れないこともあります。

何度も提案することで予算が取れることもある

1回の提案で必要なお金が出てこないのであれば、2回や3回と提案をする中で、しかるべきお金を用意してもらえることもあります。

弊社の支援先で過去に次のようなケースがありました。業界内の競合企業に対して、やや高めの価格で勝負されている企業様です。業界の中でそういったポジション、価格帯があったときに、他社の方がより割安でサービスを提供している状況で、その会社様は比較的高めのゾーンで勝負をされていました。サービス内容としてはお客様から見て似たようなサービスのため、「この会社は高い」というように映っている状況でした。

もちろん、「金額が違うが、提供価値も違う」というのがその会社の営業の人たちの言い分ではあるのですが、一方でお客様としては、それだけの価格に見合った予算が取れないこともありました。

さて、どうしようかと悩ましい状況です。例えば、予算に合わせて値下げをするという策もあるかもしれませんが、あまり長続きする施策ではありません。

重要なのは「サービスの価値を理解してもらうこと」

この状況について、数ヶ月間伴走していて非常に興味深いことがありました。現実の営業の現場では、2通りのタイプの営業がいたのです。

1つ目のタイプは、何とかお客様の予算に合わせようとしている営業の方々です。「予算に合わせに行く」というやり方です。

一方で、1回失注しても構わないからきちんと解決策の考え方や提供している価値を理解していただき、お客様の課題をしっかりと聞くという営業もいました。「今回は予算の面では難しいけれども、確実に当社のサービスがお役に立てる」という合意はもらっていたのです。

同じ会社の中に2通りの営業がいらっしゃったわけです。片方は予算に合わせて金額を下げて受注を取りに行こうとしていました。そしてもう片方はしっかりと価値を理解してもらって、1回失注しても構わないのできちんと課題を解決できること、そしてそれに見合った価値があることを理解していただこうとしていました。

最初は、お客様の予算に合わせて値段を下げに行った人の方が受注はしていました。ただ、時間が経ってくると様子が変わってきました。価値を理解していただくということをちゃんとやっていた人たちにお客様から予算を用意してこられたケースが増えてきたのです。

値引きをして購入してもらうのは長続きしない

それは例えば、「今年度の予算は間に合いませんでしたが、来年度については予算を取ります」というような形で依頼が来るということです。「今まで手が届かなかったサービスを買いたいから、お金をたくさん用意してきた」という構図です。そうすると2巡目では、お互いが非常に幸せな形での取引になっていくのです。

1巡目で「値引きまでして受注を取りに行く」というやり方をしていた人たちは選択を迫られていました。2巡目の提案になったときに、また同じように値引きをするというのは難しいからです。なぜかというと「今回、特別です」というふうに言っていたわけですから。ただ、お客様からすれば1度買っているし、「今度もお願いします」というふうに当然なるわけです。

営業側としては「申し訳ありません、前回は1回限りということでお伝えしました」というふうにはねのけるという選択肢もあるし、「2回目もしょうがない」と言って値引きをするという選択肢もあります。ただ、いずれにせよこれは時間が経てば経つほどだんだんと難しくなります。

受注案件と失注案件について振り返ろう

その後どうしたかというと、皆に集まっていただいて、受注と失注をみんなでピックアップして学んでいく場を作りました。弊社代表高橋の著書『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)に書いてある「決定場面を問う質問」をやっていただいた結果として、みんなでその案件のケーススタディをしました。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

そうしたときに、1回目に失注してしまったケースは「提案プロセスとしては悪くない。ただ、本当にお金の面でだけ折り合わなかった」ということが、皆の目ではっきりと確認できました。そして、「その会社から2回目の予算で良い形でご発注いただいた。これはすごい」ということをみんなで確認できました。

ただし、10社が10社そういうふうな幸せなケースになるとは限りません。当然ながら、1回失注したら、2回目には提案機会をもらえないケースもあります。

「言語化」でチームの方向性を明確にしよう

ここで、言語化というものの力を感じました。まず、「本当に自分たちが付き合いたいお客様を言葉にしてみよう」ということになりました。言葉にしてみると、やはり「1回駄目でも、2回目に発注してくださったお客様の方が、自分たちが進んで付き合いたいお客様像にぴったり合っている」ということがわかりました。

「そうであれば、1回失注するというプロセスは悪くなかったのではないか」ということです。ただし、1回失注をするということについてどういうふうに解釈をしたらいいかということで、「これは普通の失注と違うのではないか」ということになり、「戦略的失注」というカテゴリーを作りました。

それは何かというと、「お客様の課題がしっかりわかっていて、そこにお役に立てることも示していて、本当に純粋にお客様が『今回は予算が間に合いませんでした』というタイプの失注は、むしろ自分たちが本当に付き合いたいお客様に出会うために必要なプロセスの一環である」と定義をしました。

そうすると、その類の失注を「戦略的失注」のカテゴリーとして扱うことができます。ただし、「でも、そんなことを言っても本当にそのお客様に対してそのやり方で良かったのかどうか判断が難しい」と思うことがあるのです。

カギを握るのは「振り返りの継続」

そこでどうしたかというと、この「振り返り」をずっと継続していただきました。そうすると、また時間が経てば様々な検証がされてきます。「戦略的失注」というふうにしていたものは本当に良かったのか。そこから次回以降はきちんとお客様からお金をいただいて幸せな付き合いができるお客様が増えているのであれば、それは幸せです。

一方で「戦略的失注」だと思っていたけれども、詳しく見てみると実は課題の特定や分析などが十分にできていなかったということがわかり、「やはりしかるべきプロセスを踏まないと、この『戦略的失注』というところまではいかないのではないか」という議論が交わされました。

その後、結果として業績は順調に伸びていき、そのときの議論は非常に貴重なプロセスとなりました。

予算取りでつまずかない営業活動をするには、お金のことは置いておいて「本当にお客様の課題を解決できるのだ」ということをわかっていただくことが一番大事なことです。

それができた上で4階層コミュニケーションや予算計画などをちゃんとヒアリングできれば、さらにパワフルになります。ただし、その入口のところでちゃんとお客様の課題を解決できるということが示されていないと、そこから先はうまく進みにくいのです。

TORiXでは、このような営業強化に役立つ情報を、
セミナーやイベントでも頻繁に発信しています。
よろしければぜひご参加ください。

この記事が気になった人は、
こちらのサービスを!

特徴とこだわり

FEATURE

“みんなが売れる”ために、リアリティのある施策を。
TORiXが提供するサービスの特徴やこだわりを、ご説明します。

4万人の支援と、2万人の調査!

誰でも、早めに、成果を提供します!

プロジェクトの事例はこちら!

アクセスランキング

RANKING

  • WEEKLY
  • MONTHLY

まずはお気軽に!

お問い合わせはこちらから