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2025.11.14

連絡がつかないお客様には「3つの壁」がある

お客様と連絡がつかない「なしのつぶて状態」の案件を進めるには?

「連絡がつかないお客様」とコンタクトを取るには?

案件がうまくいっていたにも関わらず、途中からお客様と連絡がつかなくなってしまうことは多いです。多くの場合、その原因は「お客様ご本人にはコントロールできないこと」にあります。今回はそのような状況でお客様と連絡を取る際に注意すべきポイントについてお伝えします。

連絡がつかないお客様の「3つの壁」

途中までスムーズに進んでいると思われた案件で、「突然お客様と連絡が取れなくなった」「リマインドの連絡をしても返信がない」というケースは多いです。連絡を遮断し、リマインドにも応じないお客様には「3つの壁」があります。

連絡がつかないお客様の「3つの壁」

  • ①社内状況の変化により非常に忙しくなった
  • ②その忙しさを説明することが負担
  • ③検討の優先順位が下がったことを伝えるのが心苦しい

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社内状況の変化により非常に忙しくなった

お客様からすれば「こちらはそれどころではなく、とても忙しいんだ!」という心理があります。さらに、その忙しさはお客様ご本人にはコントロールできない要因で突発的に発生したものであることが多いです。その時点で、既に「不快指数」が非常に上がっているという事実を認識しておく必要があります。

2

その忙しさを説明することが負担

「社内状況の突然の変化」を社外の人に説明するのは負担が大きいです。社内状況については社外に出せることと出せないことがあります。それを社外の営業にわかりやすく説明するには相当なエネルギーが必要です。状況を説明するメールを1通書くことすら負担に感じられることがあります。

3

検討の優先順位が下がったことを伝えるのが心苦しい

営業が「これまで順調に進んでいた」と思っている案件であればあるほど、お客様としてはその検討が暗礁に乗り上げていることを伝えるのは心苦しくなります。誰しも相手をがっかりさせたくはありません。お客様としては、営業が悲しむ顔は見たくありません。そのため、どうしても営業に連絡するのが億劫になります。

これらを踏まえた上で、以下の3点は避けるべきです。

  • 「ご検討状況はいかがでしょうか?」という単純なリマインドメール(営業都合過ぎる)
  • 「早くご返信いただけないと困ります」といったクロージング(プレッシャーが逆効果)
  • 何度か電話をして、繋がらない状態を作ってしまう(折り返しの心理的負担が大きくなる)

そこで、まずはメールで次の3点をお伝えするようにしましょう。

  • (お客様の責任ではなく)外的要因や会社の事情により、急激な変化が生じたことへの理解
  • それによりお客様が忙しくなったことへの理解
  • 検討状況も恐らく以前とは変わっているであろうことへの理解

さらにその上で、以下の要素を含めたメッセージを送ります。

  • 私は個人的に、◯◯様と一緒にお仕事がしたいです(感情)
  • それに、この提案は貴社に◯◯のメリットがあります(論理)
  • そのため、貴社のご事情に合わせて、社内文脈上ご無理のない形で、プランを練り直します(決意)

そして、それを読んでいただいているであろうタイミングで電話をします。それでも電話に出ていただけない場合は、上司に依頼して「先般より、当社の◯◯(自分の名前)がご負担をかけてしまっており、誠に恐縮です」というメールを送ってもらいます。そこまですると、お客様も「さすがにスルーするのは申し訳ない」と思います。少なくとも、上司のメールには返信があるでしょう。

「連絡を取れる権利」を確保しよう

近年、「サイレント失注」という言葉を耳にすることが増えています。今までと違ってお客様と電話やメールでやり取りをしようとしても、電話に出ていただけないし、メールも返ってこないといった状況が増えたのです。

これには1つの大きな原因があります。それは、コロナ禍の影響でお客様側の主導権が非常に強くなったということです。

まず、選択肢が大幅に増えました。オンラインという手段が増えたことによって、エリアに関係なく、優れた営業やサービスを体験できる機会が増えました。また、企業がオンラインでのマーケティング活動に力を入れるようになり、無料でコンテンツを見れることが当たり前になり、その中からお客様がサービスを選択できるようになったのです。

インサイドセールスが世の中に広く認知されることによって、内勤営業が多くのお客様にアプローチできるようになりました。その結果、お客様のもとにはメールや電話が多く届くようになり、お客様は自然と電話に出なくなり、メールにも返信しなくなりました。発注時にのみ連絡をするという状況になったのです。

これは営業とお客様のいたちごっこのような側面もありますが、世の中の流れとしてはもはや避けられないトレンドです。お客様の力が強くなり、連絡したいときにだけ連絡し、そうでないときは一方的にシャットアウトするという状況を前提として営業せざるを得なくなっているのです。

このような状況で大切なのは、商談などが終わった際に営業側が「連絡を取れる権利」をしっかりと確保しておくことです。

それがない状態だと、お客様に容易にシャットアウトされてしまい、営業としては行き詰まってしまいます。どうしたらよいかわからないけれども連絡が取れない、というような状況に陥ってしまうのです。

「もしもシリーズ」でお客様の状況を想像しよう

では、どのようにしてその「連絡を取れる権利」を手に入れればいいのでしょうか。

それには、「交渉力」を高めていくことが必要です。

『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』(日経BP)では質問力、価値訴求力、提案ロジック構築力、提案行動力という4つのスキルを挙げていますが、交渉力を高めるのには価値訴求力が最も関係します。「お客様から必要とされるお役立ちができる力」が必要ということです。

無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

それは結局のところ、お客様が困っていることや悩んでいることに対して、営業が「どれだけ良い手札を持っているか」ということに尽きます。もしそれが商品だけであれば、非常に厳しいです。なぜなら、商品だけの比較となると、お客様が買う気になれば連絡できますが、そうでなければお客様と連絡が取れないからです。

そのため、ある意味では営業が商品やサービスから離れたところでどれだけの価値を提供できるかが重要になります。その価値というのは、お客様が困っていることや悩んでいることをきちんと理解し、その助けになることです。

「でも、そんなことを言っても商品を買ってもらえなければ助けられません」という意見もあるかもしれません。

そこで大事になるのが「もしもシリーズ」です。「もし自分がお客様の立場だったら、どうやって成果を上げるか」ということについて、しっかりとしたストーリーを描くのです。この力が弱い営業は、どんどんシャットアウトされてしまいます。

それには、営業が日々様々なお客様と話をする中でお客様がどのようにして成功しているのか、逆にどのような点で行き詰まっているのかに関する情報を集めることが基本となります。

重要なのはお客様の「足切りライン」を越えること

うまくいっているお客様がどのように成功しているのかということに詳しければ、いざ自分の目の前に困っているお客様が現れたとき、「弊社のお客様でこのようにして成功している方がいます」という事例を紹介できます。そして、成功例だけでなく、うまくいっていない事例も知っておくことによって、お客様が陥りがちな失敗や落とし穴についても前もって注意喚起することができるのです。「その方向に進むと危険です」という助言ができるのです。

それがしっかりできる営業は、お客様から必要とされる度合いが高くなります。そうなれば、商談の終わりにネクストステップを決めるとき、お客様からも邪険に扱われなくなります。なぜなら、お客様が営業を邪険に扱ってしまうと、自分が困ったときに助けてもらえなくなるからです。

お客様と連絡がつかなくなったときにどういうメールだと読んでもらいやすいか、どういう連絡をすればコンタクトが復活しやすいかという方法論ももちろんあります。しかし、大前提としてお客様には「この営業は切ってもいいかどうか」というラインがあります。そのため、まずはそこに引っかからないようにする必要があります。

そのラインがきちんと越えられていれば、商談を終える前に次のステップを握ることができます。よく「ネクストステップを決めましょう」と言われますが、そのネクストステップを単純なタスクとしてしか捉えていなければ、結局「何かあればこちらから連絡します」と言われてしまいます。「お客様が困っていることは何か」「それに対して自分はどのように力になれるのか」がはっきりしていないと、お客様からシャットアウトされてしまうのです。

まずはお客様の状況を理解することから始めよう

もちろん、それだけ努力を尽くしてもシャットアウトされてしまうことはあります。それは多くの場合、お客様の忙しさが原因です。

しかし、人は「自分は悪くないのに、不本意ながら忙しくなってしまっている」というとき、心理的にはある意味で被害者意識が大きくなります。

被害者意識が大きくなると、人に優しくできなくなるのです。自分のことで精一杯で、自分を哀れむ気持ちが出てきてしまうからです。そのような場合、この「可哀想な自分」の状態から回復する必要がありますが、それが少し歪んだ形になると人に対する冷たい行動として現れてしまうのです。

これは営業がよく理解しておく必要があることです。というのも、営業としても「なしのつぶて状態」は辛いからです。「電話しても出てもらえない」「メールを送っても返ってこない」という状況は、心が傷つくものです。

そのようなときにはつい自分を可哀想に思う気持ちが湧いてきてしまうものですが、「それはお客様の気持ちが転化してきているのだ」ということを考えないと、そのときに起こっていることが見えなくなってしまいます。

お客様自身が自分ではどうにもできない要因で不本意ながら苦しい状況に陥っていることをきちんと理解しておくのです。それを理解せずに営業の都合で催促してしまうと、お客様から感情的に見られてしまいます。「こちらは大変なのに、営業都合で催促してきて、なんてひどい営業なんだ」と思われてしまうこともあるのです。

そのため、まずはお客様の事情をしっかりと理解するようにしましょう。それを踏まえた上で、冒頭でお伝えしたような連絡をすることが重要です。

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