高橋が8年間無敗の秘訣 :競合が有利なコンペで逆転勝ちする7つのステップ

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営業の現場では、数社がお客様へ提案をし、その中から1社が受注を勝ち取る、いわゆる「コンペ」が行われることがよくあると思います。

私も様々なコンペを経験してきていますが、そんな中、私は法人営業の世界で8年間コンペ無敗を続けています。

 

勝ち続けるためにはもちろん様々な戦術がありますが、今回はその中でも、「競合が有利なコンペ」つまり難易度が高いコンペの場合に逆転勝ちをする方法について、体系立ててお話していきたいと思います。

 

まず法人営業の世界で競合他社が有利な状態である要因として、
・競合他社の方がすでにお客様とお付き合いがあり、関係が深い
・お客様がその競合他社を気に入っている
といったことが挙げられます。

 

逆にこちら側としてはまだお客様とあまり接点がなく、情報もなく、人脈も築けていない、という状態です。

この不利な状況から逆転勝ちをするにはどうすればいいのでしょうか。
7つのステップに分けて、順番に考えていきます。

逆転勝ちする7つのステップ

【STEP1】営業対営業

当たり前のことですが、逆転というのはそう簡単にいくものではありません。そのため、まずは何かとっかかりを作らなければいけません。

営業研修などを通してたくさんの会社の営業の方を見ていると、多くの方がその不利な状況をいきなり提案でひっくり返そうとしている印象があります。

しかし私のおすすめは、提案に進む前にまず、瞬間風速的なものでいいので、「会社対会社」ではなく、「営業対営業」の勝負をすることです。

 

<瞬間風速で営業対営業の勝負をするとは>
たとえば、すでにお客様と競合に取引がありガッツリ入り込んでいる場合、その有利な会社としてはシェアをたくさん持っていて取引が多い分だけ、手がまわらなくなったり、油断をしていたり…そういった状況が生じることがあります。

そんなタイミングで、たまたま来た新しい会社の営業の対応が非常に早いとか、丁寧なお礼のメッセージをくれるとか、何かに関する情報にとても強いなど、瞬間風速でも「あ、この営業ちょっといいかも」と感じる突出した何かがあったらどうでしょうか。

 

「会社対会社」で見たら確かにもともとお付き合いのある競合の方が有利かもしれませんが、「営業対営業」として見た場合、新しく来た会社のこの営業の方に捨てがたい要素があると思ってもらえるものを作れれば、少し可能性が見えてきます。

いきなり提案に進むのではなく、その前に相手にこのような印象を持ってもらうことが最初のステップです。

 

【STEP2】相談の対応

「会社対会社」ではなく「営業対営業」で少し可能性が見えたら、そのプラスの印象を持ってもらった状態のまま接触を続けていきます。

すると、どこかのタイミングで相談依頼をいただくことが一定確率で起こるはずです。

このときに、競合が満たしきれてないところを狙いにいきます。しかし、いきなり提案で上回るのはまだ難しい段階です。
このタイミングでは、お客様からの何か小さな依頼や相談を受け、それに全力で応えていきます。

 

それによって、相談したときの心地よさやレスポンスの良さなどから、「結構この会社の営業いいかも」と感じてもらえる状態を作っていきます。

ここで目指すところは「捨てがたい」ポジションを取るということです。

 

【STEP3】「捨てがたい」ポジション

この段階でもまだ、提案の勝負にはいきません。
ここですぐに提案の勝負にいっても、まだ競合の方がお客様のことをよく知っている分、有利です。

そのため、まず相手を知り尽くすまでは、「捨てられない」というポジションをしっかり取っておくことが重要です。

焦っていきなり提案をぶつけに行くのではなく、いわば競合の背後にぴったり付けている、捨てがたいポジションを最初に獲得すべきです。

そして、その捨てがたいポジションが取れると、お客様からしてみればまだ競合が有利とはいえ、ある程度その他の会社とは差がついている状態になります。
ここでヒアリングに入ります。

 

【STEP4】プラスマイナスを聞く

ここで言うヒアリングとは、有利な競合に対するプラスやマイナスを聞くということです。

たとえば、「●●の部分は競合の方に魅力を感じている。しかし▲▲の部分に関しては、うちに対しても魅力を感じている」という風に、プラスとマイナスの全容を聞いていきます。

もう少し細かくいえば、当社からの案や当社自体に対するプラスマイナス、もしくは競合に対するプラスマイナスということです。


ここで少し振り返ってみますが、なぜ競合や自社に対するプラスマイナスが聞けるかというと、【STEP3】で捨てがたいポジションを取っているからです。

そして、なぜ捨てがたいポジションを取れているかというと、【STEP2】の相談、依頼への対応力があったからであり、その前段階には【STEP1】の「営業対営業」の瞬間風速的な印象付けがあったからです。

この、STEP1からの段階を着実に踏んでいるということがとても重要です。

【STEP5】競合のプラスを担保

さて、競合や自社のプラスマイナスを聞いた後、多くの営業の方は「うちはこういうところが競合と違いますよ」と、まず違いからアピールしてしまいます。

しかし、ここが盲点とも言えるところなのですが、まだお客様にしてみれば、こちらに対する不安や疑問が残っている状態。
すでに競合が有利な状況では、いきなりその競合と違う点をアピールしても、まだこちらに不安や疑問が残るため、やはり迷った末に「競合を選ぼうかな」となりやすいのです。

なので、最初にプラスマイナスを聞いた後にお客様へ伝えるべき点は、「今おっしゃった競合のプラス部分は、多少違う部分はあるかもしれないけれど、実は当社でも満たせますよ」というメッセージなのです。

 

【STEP6】当社のプラスを訴求

ここで順番を間違えてしまうケースも多いのですが、あくまでも違いをアピールするのは同じようにできることを示してから、その上での「違い」です。

「多少形は違いますが、競合に対して御社が魅力に感じている点は、うちも実は同じように満たすことができるんですよ」ということをしっかりお伝えしてから、その後に当社のプラスを訴求します。

「同じようなことはできないけど、うちはここが違いますよ」という伝え方だと、迷った末にやっぱり有利な(安心の)競合の方にしておこうか、となってしまいがちです。

 ここで伝えるべきは、「競合のいいところは、やろうと思えば当社でも真似できますよ、対応できますよ」ということで、そこに更にプラスとして当社独自の違う部分を乗せるのです。

 

【STEP7】当社のマイナスを解消

ただこれだけでは、競合は有利な状態から揺らいではきているものの、お客様はまだ決めきれない状態です。ここで、最後に当社のマイナス部分を解消していきます。

 たとえば、「まだ御社では実績がないのですが、他社ではこんなに実績がありますよ」とか、「体制を手厚くしますよ」などです。

 

正しい順序としては、

競合のプラスマイナスを聞く

「そのプラスは、当社でも同じようにできます」

「そして当社はここが違います、この部分が当社のプラスです」

「ご不安な点はこうやって解消します」

この順番を経てはじめて、ひっくり返しに行きます。
いきなり最初に「値引きしますよ」「対応を厚くしますよ」というメッセージを出してしまうとインパクトが薄くなってしまうので、注意が必要です。

「ひっくり返しに行く時間」を確保しておく

ここまでのプロセスは、一日二日ではなかなかできることではないので、なるべく「ひっくり返しに行く時間」を確保しておく必要があります。

一方で、ある程度の時間さえ確保すれば、この段取りを踏むことができるので、格段にコンペの勝率が上がっていくことになるはずです。

様々な「力」をフル活用

特に競合がいるような状態からひっくり返していくときは、この7段階のプロセスをしっかりと踏んでみてください。

そして、このプロセスを踏んでいく中で、以前お伝えをしたような「質問力」「価値訴求力」「提案ロジック構築力」「提案行動力」を活用していきます。

特に前半のところは「価値訴求力」がポイントになりますし、後半のところは「質問力」と「提案ロジック構築力」が重要です。そして全体を通しては「提案行動力」をフル活用していきます。

 

競合がいるようなコンペになったときには、これらの7つのプロセスを確実に踏んでいくことを意識してみてください。
相手がとても有利に見えるような状況であっても、ぜひ焦らず、諦めずに勝率を上げていくことにお役立ていただければと思います。