高橋が8年間無敗の秘訣:判断を相手に委ねない

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今回は「判断を相手に委ねない」というテーマでお話しします。

ここで言う「相手」とは、お客様のことです。しかしこれはもちろん、「お客様を無視して強引に営業しましょう」ということではありません。

 

営業の方でしたら誰しも、
「この後は社内で検討しますので、結果をお待ちください」
「社内で検討してからご連絡差し上げますので…」
というセリフをお客様からいただきつつも、結果としては失注だった、という経験をお持ちなのではないでしょうか。実際、このようなケースはけっこう多いのではないかと思います。

 

このセリフをもらうとやはり悔しいとは思いつつ、もう「社内で検討しますので…」というセリフがお客様から出てきた時点で薄々「これは待ってても受注できるわけじゃなさそうだな」と思いますよね。

 

私は過去に「では、あとは社内で検討します」というセリフをいただいたときに、「絶対、待つだけで終わらないようにしよう」と思い立ったことがあります。

 

「お待ち下さい」と言われたとき、その言葉通りに待ってシャットアウトされないように、いろいろと試行錯誤してみることにしました。

これは言葉で言うのは簡単ですが、実践するのはなかなか難しいものです。しかし、とても大事なことでもあります。

「お待ち下さい」をそのまま待たない

お客様から、「あとは社内で検討します、結果をお待ちください」と言われたとき、「かしこまりました。では、いつ頃結果をいただけますでしょうか?」と、スケジュールを確認することがあると思います。

そのときに一緒に押さえておきたい情報は、その結果というのが「何かの会議で議論して決まるのか?」それとも「誰か、キーパーソンの方のOKが出たら決まるのか?」ということです。

 もし会議で決まるのだとしたら、それは定例会議なのか、それともその結果を出すために関係者が招集される会議なのか。
さらにその会議の日付がわかれば、その手前に何かこちらから追加の情報を送る、というアクションができます。

 

また、誰かキーパーソンの方を説得してYESと言ってもらう必要があるのであれば、その方にとってどんな材料があればYESと言ってもらいやすいのかを考え、こちらから追加で材料を用意する、ということもできるのです。

 

「あとは社内で検討しますので、結果をお待ちください」と言われて、言葉通りにそのまま待つだけでは、ノーアクションに終わってしまって、勝率は上がりません。

 お客様からそのセリフが出てきたということは、その時点であまり旗色が良くないということです。そこから何もアクションしなかったとすれば、当然順位も上がっていかないのです。

 

では、どのようにアプローチしていったらいいのでしょうか。
押さえるべき情報を考えてみましょう。

押さえるべき情報

まずは、お客様の社内で判断や決定がどんな場で行われるのかの確認です。
会議なのか?それとも、誰かキーパーソンの方のYESというセリフが必要なのか?
ここを押さえます。

 
次に、それを図る材料を持っている方(担当者の場合が多い)が、十分な材料を持っているのかどうかを確認します。

十分な材料を持っているのであれば、それに対して、検討のためにどれくらいの時間を使ってもらえるのかを確認します。

例えば、


 <会議で判断される場合>
・2時間の会議の中で、5分や10分のアジェンダとして扱われるものなのか
・その結論を出すために2時間議論されるものなのか

 
<キーパーソンの方のYESが必要な場合>
YESと言ってもらうために使ってもらえる時間は
・その方のデスクで、または数分の立ち話で決着をつけないといけないのか
・1時間のミーティングでじっくり考えてもらえるのか


などを確認すべきです。

これらを知ることで、だいぶ材料の出し方が変わってくるはずなのですが、このあたりの情報を追いかけない営業の方が非常に多いのです。

こういった場面で自分がアクションをするべき重大な必要性に気付いていないということは、発注いただけるかもしれない可能性を捨てている状態と言ってもいいかもしれません。

つまり、「ご連絡しますので結果をお待ちください」と言われた時に、「そのまま待っていてはいけない」のです。

単独1位でない限り、絶対にアクションの余地がある

当然、お客様から判断や決定のプロセスについて聞かなければいけないので、うまくいく場合ばかりとは限りません。

しかし、自社の順位について「単独1位ですよ」というような確実な回答が得られていないうちは、どんな場合も絶対にアクションの余地があります。

これは、とても大事なことです。

 

コンペの状況にせよ稟議にせよ、「御社にお願いしたいと思います。」「御社が1位です。」というセリフをはっきりいただけていない状況では、必ず何かアクションをする余地があります。

 

この「必ず何かアクションをする余地がある」ということについて、どのくらい「必ず」と思えるか。これによって、営業の成果はとても大きく変わってきます。

 やはりハイパフォーマの方ほど、変に躊躇せずに、できることがあればしっかり詰めていくものです。

 

お客様の検討のプロセスについて情報が得られたら、必ずアクションしてください。

アクションをしてみて、それでも結果が得られなかった、というのは仕方がないことですが、大概の方はそもそもその大事なアクションをしていません。

 

判断をお客様に委ねることによって、自分の思考を停止しない。
判断をお客様に委ねることによって、自分のアクションを止めない。

 

はっきりと「御社にお願いしたいです」という言葉をいただけるまでは、自分のやるべきことはまだ終わっていないのだと考え、試行錯誤を終わらせないことがとても重要です。

アクションした上でシャットアウトされたのであれば、また次のチャンスを狙えばいいのです。

 

そのアクションすらやらずに検討の結果で落ちてしまう、という状況を回避できるよう、相手に判断を委ねて自分の思考を停止させず、できることは最後までしっかりと、怠らないようにしましょう。

きっちり行動していくことができれば、勝率もアップするはずです。

コラム高橋浩一