提案ロジック構築力について(前編)

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提案ロジック 構築における「お客様から選ばれる理由」に必要な3つの要素

提案ロジック構築力について(中編)
提案ロジック構築力について(後編)

 

提案ロジックを構築する際には、「お客様が当社を選ぶ理由」を考える必要があります。
この「お客様が当社を選ぶ理由」をどうやって考えるか?についてですが、3つの観点が重要です。

スライド1

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【1】「他にも良い商品・サービスはあるのになぜ当社か?」

単純に、候補として迷っている会社が他にもあるとすればそこは競合となるわけですから、競合を選ばずに当社を選んでもらう理由が必要ですね。
では、競合のことだけ考えていればいいかというと、そうではありません。

 

【2】「外注せずに内部でやるという選択もあるのになぜ当社か?」

場合によっては、お客様が外部の会社に発注せずに自前でなんとかする、というケースもあり、その場合、実質的な競合は他の会社ではなくお客様自身ということになります。
例えば、コンサルティングやアウトソーシングなどのサービスはこういう場合がよくあります。

 

【3】「先延ばしにしてもいいはずなのに、なぜ今なのか?」

また、他の選択肢との具体的な比較ではなく、「先延ばしにしてもいいはずなのに、なぜ今なのか?」という点もクリアしなければならないときがあります。

お客様からすると、決断を保留するというのがいちばん楽な選択肢ですから、それに対して、「決断を保留すること」ではない方が望ましい、ということを示す必要があります。
複数の会社でのコンペではなく、単純に1社検討で稟議を起こす場合がこれにあたります。

 

それでは、以上お伝えしてきた3パターンのお客様が選ぶ理由、

【1】「他にも良い商品・サービスはあるのになぜ当社か?」
【2】「外注せずに内部でやるという選択もあるのになぜ当社か?」
【3】「先延ばしにしてもいいはずなのに、なぜ今なのか?」

に対する明確な答えを、いったいどうやって作っていったらよいのでしょうか。

「認知的不協和」から、お客様の心理を掘り下げる

他の記事で、認知的不協和理論についてご説明しました。
そもそも、「決定」をする前にはお客様の中で「迷い」が生じていて、何か複数の選択肢があり、どちらを取るか決めきれない、という状態です。

そこで、人間は自分の持っている複数の情報(認知)の間に矛盾が生じている(不協和)場合、その矛盾に対して自分を正当化する形で低減、もしくは解消しようとします。
これが他の記事でお話しした認知的不協和理論でした。

 

例えば、ある会社に発注しているお客様が、他の会社からも提案を受けていて、その新しい提案もまんざらではない状況。
こういうときは、「新しい会社の提案は魅力的だが怖い」と「既存先は改善の余地ありだがリスクが低い」とで迷っています。

 しかし、お客様はそのまま決めない状態ではいられないので、「新しく来た会社の提案内容を既存先にそれとなく漏らして、安心できる既存先に発注。まだ人間関係のない新規先の方が断りやすいし、理由をつけて断っておこう」となるのがいちばん楽なわけです。

「お客様が選ぶ理由」を具体的に定義する

法人営業では、この「お客様が選ぶ理由」がどれだけ具体的に定義されているかで、お客様の社内で発注理由が伝達されるスムーズさが変わってきます。
担当者個人が、営業マン自身のキャラクターを気に入って「この営業が魅力的だったから」では上司に説明できないということです。

しかし、「この提案の費用対効果は●●で、他の選択肢より明らかに効果が高い」ということでしたらスムーズに説明できます。
つまり、「再現性」の高いロジックを作ってもらった方が、社内の意思決定プロセスを通りやすくなるのです。 

この場合のポイントは、「迷ったお客様は、”作りやすい理由””言いやすい理由”を正当化する」ということです。
「断りやすい人に対して、断りやすい理由で断る」のです。

お客様の断り文句にアンテナを働かせよう

もし、他の会社とのコンペ提案で自分がお客様に提案して断られたら、それは「複数の選択肢で迷ったとき、自分に対して断る方がラクだったから」と考えるようにしましょう。
このように考えることで、お客様の典型的な断り文句に対してアンテナが働くようになります。

 

お客様の心理として、「既にお世話になっている会社があるので・・・」と言った方が新規の営業を断りやすいということを考えれば、「もし仮に、既に取引している会社よりも良いサービスを提供できることを示せれば可能性はあるのか?」というように考えるのです。


「今回は上司の意向で・・・」と断られた場合も、それは本当に上司の意向なのか?そう言っておいた方が「お客様がラクだから」ではないか?というように、良い意味で「健全な」疑う姿勢を持つことです。

 

もちろん、疑う姿勢が強すぎて人間不信になってはいけませんが、基本的にお客様というのは「営業を断る言い訳」に長けているということを認識しておきましょう。

 

それでは、具体的にどうやってロジックを作っていくのかについて、中編以降でご説明していきます。

 

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