20代・30代の過ごし方<前編>

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「20代・30代の過ごし方」というテーマで、2回に分けて私自身のケースについて振り返っていきたいと思います。
今回はその前編、「20代」についてのお話です。

 

私の20代の過ごし方をひとことで言いますと、何かに対して自分の時間を可能な限り全部注ぎ込む、「圧倒的な集中」というのがキーワードだったかなと思います。

そして30代になってからは、人と一緒に何かを成し遂げていく、つまり「人と一緒に生きる」ということがキーワードになっていきました。
自分と人との関わりにおけるバランスの取り方、そしてその中で自分がどう変わり続けていくか、ということを考えるようになったのです。

 

今回の前編では、私の20代についてお話をしていきたいと思います。





テニスにどっぷりハマっていた大学生活

まずは大学生の時、どんな学生生活を送っていたか振り返ってみます。

今から20年近く前になりますが、私は大学でテニスサークルに入っていて、一日の大半はテニスコートにいるか、ミーティングで過ごす、という風にどっぷりハマっていました。
学校の勉強を真面目にやることがどうしてもできず、年がら年中テニスをしていたのです。

サークルの代表として運営に関わっていたこともあり、「組織をどうやって作っていくか」「テニスプレーヤーとして上手くなるにはどうしたらいいか」など、とにかくテニスのことばかりに集中し、他のことを考えずに過ごしていました。
これが私のスタイルであり、生き方のようなものだったと思います。


私はシングルスの選手でしたが、毎日毎日やっていたテニスのプレースタイルは、とにかく「ミスをせずにつなぐ」ということを徹底したものでした。

テニスプレーヤーの錦織選手といえば、ものすごく速く鋭いボールをパンパン打つテニスのスタイルの印象がありますが、その逆です。
私の場合はどちらかというと山なりの、絶対ネットにかからないようなボールを何球打ち続けることができるかという、耐久レースのような試合をしていました。

 あまりにも粘ろうとして体力の限界が来てしまい、全身がつって救急車で運ばれたことが2回ほどあるくらいです。

全身何十箇所とつって体が硬直しているときは、もう声を出すくらいしかできません。

「助けて」といったら周りのみんなが私を抱えて救急車へ運んでくれて、そこで筋弛緩剤という注射を打たれて、気づいたら服を脱がされ、おむつを履かされた状態になっていて、そこで回復を待つ…
そんな恥ずかしい状態になってしまったのですが、それくらいになるまでテニスに没頭していました。





とにかく仕事にエネルギーを注いだ20代

そんな経験をし、大学を卒業します。
その頃には「ギリギリまでやるからこそ得られることがある」というのが私の考え方の根幹にあり、大学卒業後はコンサルティングの会社に入ったのですが、そこでもなんだかんだ仕事中心の毎日になりました。


最初はなかなか仕事ができない新人からスタートしたのですが、「とにかく時間をかけよう」ということだけは意識しているところがありました。

もちろんダラダラ働くのが良いことだ、という考えはありません。
そうではなく、とにかく集中しようということを意識していたのです。

そして20代に何かに没頭して時間を割くとしたら、それは仕事だろうと考えて、20代の時はとにかく仕事にエネルギーを注いでいました。


最近の若い方と話をしていると、仕事というものに対して、そこまで期待を抱いていたり、ポジティブな未来を描いていたりはしないように感じます。
「仕事はそこそこやって、●●を満喫したいです」とか「仕事とプライベートのバランスをとりたいです」という方が多いのです。 

もちろんそれは個人の生き方なので、私があれこれ強制できるものではありません。
しかし、私が仕事に没頭した個人的な体験から感じることは、仕事に圧倒的に打ち込んで、何かに物凄く集中してエネルギーを注いだからこそ得られるものがある、ということです。





ものすごくエネルギーを注ぐという体験から得られるものがある

ただ一方で、20代だからこそ仕事にあれだけ打ち込めたのではないか、とも思います。

健康という面もありますし、独身だったため自分のことだけ考えて何も気にせず、帰ったら寝るだけという生活ができ、朝から晩まで仕事に没頭することができる環境でした。
この状態を経験したというのは、今振り返っても物凄く大きいなと思います。

 

もちろんこれを一生続けるのは現実的ではありません。
よく「1万時間の法則」ということが言われますが、1万時間どころか何万時間も何かにものすごくエネルギーを注ぎ、突き抜けるまでやると、やはりそれなりのレベルには達するものです。


▼1万時間の法則とは

人が何かを極めるためには1万時間の努力が必要である、という考え方。在米ジャーナリストのマルコム・グッドウェル氏が著書『天才!成功する人々の法則』で紹介した。


これは営業の世界でも言えることです。

私はもともと20代のとき、1日200件テレアポして「この提案が失注したら切腹するしかない」というくらいの覚悟で1件1件の提案に対して真剣にやっていたのですが、このようにものすごくエネルギーを注いで仕事をするという体験があったからこそ得られるものがあった、と本当に確信を持って言えます。

「圧倒的な集中」をするチャンスがあるのは若いうち

ただこれは振り返ってみて改めてそう思うことです。
いま若い方々で、これから人生をどうしていこうかと考えるステージの方もいっぱいいると思います。

なにか圧倒的にエネルギーを注ぎこむことで得られるものがあることは確かですし、こういうものを得るチャンスがあるとすると、それは若いうちだなと思います。

 

自分の20代を振り返ってみると、100%完璧だったかと言われれば、もっとこうした方が良かったなということはいっぱいあるかもしれません。

しかし、何の後悔もなく私がとにかく仕事に力を注ぎこむことができたのは、いろいろなまわりの人の支えがあったからだと感謝することでもありますし、やはり「圧倒的な集中」から得られるものがあったなというのが私の20代を振り返っての所感です。

 

では、それほど仕事に没頭したが故の弊害や、そこで生じた壁に対して、30代になった私がどうしていったか。
これは後編でお話していきたいと思います。

コラム高橋浩一