~“安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問シリーズ~ 質問力を向上させるために ②マネジメントコミュニケーション

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営業部門を統括されている幹部や営業マネジャーにとって、「本来であれば防げたはずの失注報告」や、「安易な値引き申請」はできるだけ減らしたいはずです。

また、弊社がこれまでお付き合いしてきた3万人ほどの営業の方は、研修やコンサルティングの現場で営業上の課題や悩みを尋ねると、「お客様からの値引き要請が厳しい」「安くしないと売れない」ということを口々におっしゃいます。

「御社の提案はよかったのですが、価格が安い他社に決まりました」と断られる営業の方は、実際のところ多くいらっしゃいます。

本シリーズでは、数回に分けて「価格」の部分に踏み込んで考えてみたいと思います。

第1回:「提案はよかったけど価格で負けました」が起こる理由と回避方法
第2回:お客様の言葉の裏にある本音を見抜く「本音と建前の構造」
第3回:注力すべき「接戦」案件でお客様に起こる”認知的不協和”
第4回:値引きだけで戦う状況に陥らないための3つの質問 ①接戦状況を問う質問
第5回:値引きだけで戦う状況に陥らないための3つの質問 ②決定場面を問う質問
第6回:値引きだけで戦う状況に陥らないための3つの質問 ③背景を深掘りする質問
第7回:質問力を向上させるために ①ロープレによる育成


情報が効果的に把握・管理できてくると、「なかなか数字が伸びないメンバーをどう育成していくか?」が営業マネジャーにとって重要な課題になってきます。


例えばここで、メンバーの状態を行動の量・行動の質でマトリクスに整理してみます。

横軸が「行動の量」(コール件数、訪問件数、提案件数など)、縦軸が「行動の質」(案件化率や受注率、平均単価など)の概念を表しています。

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各ゾーンの特徴とそれぞれのマネジメントのポイント

<Bゾーン>
まずは右下のBゾーンを見てみましょう。
「行動の量が多いが、質が伴わない」タイプは、放っておくと危険です。

なぜなら、本人はかなり頑張っているつもりなのになかなか結果が出ない人は、そのままだと心が折れてしまうからです。

質が上がらない原因を、同行訪問や商談記録から見抜いて、「訪問件数は多いが、お客様から決定的な情報が聞けていないのではないか」などのようにアドバイスや指導をしていきましょう。

<Cゾーン>
一方、Cゾーンは「行動の質は低くないが、行動量が少ない」タイプです。

やればできるのにそこまでエンジンがかかっていないメンバーに対しては、必要な行動量の目標について合意し、行動を可視化する必要があります。

特に、ある程度の年次や経験がありながらも達成率が低いメンバーにはこのタイプが多くなりますが、「本来必要な行動量」をロジカルに導き出すことがポイントです。

<Dゾーン>
さて、難しいのはDゾーンです。行動の質も量も不足しています。
まずは、こういったメンバーについては、能力の問題なのか、意欲の問題なのかをつかむ必要があります。

もし能力の問題であるならば、ある程度達成可能な「手前の目標」を設定し、業務の優先順位をつけた上で、「直近の目標は、行動量を増やしてBゾーンを目指そう」という成長の道筋を提示していきます。

一方、意欲の問題なら、もう少し慎重な対応が必要です。
仕事に対して何か集中できない要因があるかもしれません。
面談とヒアリングをしながらつかんでいきます。

<Aゾーン>
こういった取り組みを行っていく上で、心強いのはAゾーンにいるメンバーの存在です。

他のメンバーのお手本になってもらったり、相談相手やメンターになってもらうなどして、マネジャーの右腕としてチーム運営をサポートしてもらいましょう。


情報を有効に活用する好循環を生むために


このような形で

「そのKPIを改善するためにやっている取り組みは功を奏しているか?」
「効果が出ていないとすると、取り組みをどう改善するか?」

のPDCAを回していくと、システムに入れている情報が常に「見られている」という意識がメンバーの中に醸成されていき、データや情報が有効に活用されていく好循環が生まれます。


<本日のポイント>

各メンバーの状態を、行動の量や質によって整理し、マネジメントコミュニケーションを変えていく。
その整理をするためにも、システムに情報が入っている状態を作り、そしてその情報が常に見られているという意識が生まれると、データや情報が有効に活用される。