~“安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問シリーズ~ 質問力を向上させるために ①ロープレによる育成

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営業部門を統括されている幹部や営業マネジャーにとって、「本来であれば防げたはずの失注報告」や、「安易な値引き申請」はできるだけ減らしたいはずです。

また、弊社がこれまでお付き合いしてきた3万人ほどの営業の方は、研修やコンサルティングの現場で営業上の課題や悩みを尋ねると、「お客様からの値引き要請が厳しい」「安くしないと売れない」ということを口々におっしゃいます。

「御社の提案はよかったのですが、価格が安い他社に決まりました」と断られる営業の方は、実際のところ多くいらっしゃいます。

本シリーズでは、数回に分けて「価格」の部分に踏み込んで考えてみたいと思います。

第1回:「提案はよかったけど価格で負けました」が起こる理由と回避方法
第2回:お客様の言葉の裏にある本音を見抜く「本音と建前の構造」
第3回:注力すべき「接戦」案件でお客様に起こる”認知的不協和”
第4回:値引きだけで戦う状況に陥らないための3つの質問 ①接戦状況を問う質問
第5回:値引きだけで戦う状況に陥らないための3つの質問 ②決定場面を問う質問
第6回:値引きだけで戦う状況に陥らないための3つの質問 ③背景を深掘りする質問


前回まで、

●接戦状況を問う質問
●決定場面を問う質問
●背景を深掘りする質問

の3つについてお伝えしてきました。


ここで難しいのは、どうやって質問力を鍛えるか?ということです。

「間やタイミング」
「どういう言い回しで聞くか」
「どこまで踏み込んで聞くか」

といったことは、練習して体得するしかありません。

しかし、忙しさや現場の反感を懸念し、ロープレやトレーニングが十分にできていない会社が多いのも実情です。


そこで、1本15分もあれば効果的にできるロープレ方法をご紹介します。
話す練習ではなく、「客観的に見る」「気づく」ことに力点を置いているのが特徴です。



役割をローテーションさせるロープレ

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「顧客役」「営業役」「オブザーバー」というように、ロープレを三位一体でローテーションしていきます。
オブザーバーは、商談を横で見ていてフィードバックする役割ですが、何人いても構いません。

<ポイント確認>
まず最初に、「どんな場面設定でやるか」「どんなところに営業役は気をつけるか」といったポイントを確認します。

例えば、「他社を気に入っているお客様への初回訪問で、一方的に話しすぎず、他社取引状況をスムーズに聞き出す練習をします」といったレベルで具体化します。

<ロープレ前半>
ポイントを確認したらロープレ前半をスタートです。

予め確認されている課題が浮き彫りになるようにお客様が演じていきます。
ここでは、3〜4分もやれば十分になるよう、場面の区切りを工夫しましょう。

<中間コメント>
重要なのはここからです。

中間コメントで、顧客役やオブザーバーから「もっとこうしたらよくなるのでは」といったフィードバックをします。
このコメントをもとに、後半のロープレで営業役は「改善」や「軌道修正」を図ります。

<ロープレ後半>
ロープレ後半では、さっきの場面の続きからということでも構いませんし、最初からやり直しても構いません。
重要なのは、「中間コメントをもとに、どのぐらい自分の行動を変えられているか」です。

ロープレ後半で、皆からいただいたアドバイスをもとにすぐ改善する、ということができると、実際の商談でも、お客様の反応をもとに自分の行動をその場で修正することができるようになってきます。

<振り返り>
そして、最後にロープレ全体を皆で振り返っていきます。
特に、中間コメントから後のところで、どのぐらい軌道修正や改善ができたかをメインにします。


重要な意味を持つ「オブザーバー」の存在


ここで、「オブザーバー」の存在が重要な意味を持ってきます。
オブザーバーになると、普段の「営業としての自分」を置いておき、自由な発想で商談を見ることができます。

通常のロープレ練習では、「営業役」に焦点が当たりがちですが、意外と「顧客役やオブザーバーを経験すること」から重要な気づきが生まれます。

15分ロープレは、営業役だけやるのではなく、3つの役回りを経験できるようにローテーションしていくことをお勧めします。


<本日のポイント>

ロープレは1本15分。
「営業役」だけでなく「顧客役」「オブザーバー」を経験することで重要な気づきが生まれる。