営業データを活用するための3つのポイント ②エースの方を活かし、組織全体を強くする3ステップ

営業データを活用するための3つのポイント ②エースの方を活かし、組織全体を強くする3ステップ.png

私は今まで3万人以上の営業の方を支援してきました。その中で「データがうまく使えない」という声をとてもよく聞きます。

データを上手に活用できるようになると、営業効率は飛躍的に上がります。
では、データを上手に活用するにはどうしたら良いのでしょうか。

データを活用するための重要な3つのポイントのうち、今回は2つ目「エースの方を活かし、組織全体を強くする3ステップ」についてお伝えします。

第1回「①焦点を当てるべき、ひとつのキーワード」


営業データを”使える状態”、つまり注目すべき情報がしっかりと入力されている状態にするためには、「エースの方」がしっかりと情報を入力しており、他の皆さんがそれを見習い、参考にする必要があります。

しかし、現実はなかなかそうはいかないものです。

エースの方の中には、もちろん情報をその都度しっかりと入力する方もいますが、逆に、情報を全然入力しないタイプの方もいます。

このような方は、プロセスよりも結果にとてもこだわりがあり、とにかく数字を追いかけていることが多いです。

その場合、プロセスの部分は無意識レベルで行動していることも多く、この無意識の部分をわざわざ管理されることにあまり納得感がありません。

そのため、情報の入力に対して積極的になれないのです。


エースの行動の「魂の部分」は伝わりづらい

エースの方は、無意識のうちにやるべきことをやり、それゆえ結果が出ています。そして、結果が出ることによりたくさんのお客様に恵まれ、さらにいいプロセスを踏める、という循環を繰り返しています。

例えば、小売店向けの営業のとあるエースの方は、小売の現場を知るために毎週土日は家の近くのスーパーに足を運んでいるそうです。

自分がよく買いものをするスーパーだけでなく、近隣の競合チェーン店も何軒か回って、売り場と価格をチェックしたりしています。

この話を他の方が聞くと、「土日もこのようなことをしなければならないのか…」と思うかもしれません。

しかし、エースの方はこの行動をわざわざやっているのではなく、無意識に、当たり前のように行なっているのです。

「土日にスーパーを2つ見る」ということ自体が大事なのではありません。

ただ、エースの方の基本行動レベルが高すぎて、その大事な「魂の部分」がどうしても他の方に伝わりづらいことがあります。


元エースの方と現場の悩みの「ギャップ」

このようなレベルの高いエースの方の力をなんとか組織で活かしたいとなったとき、多くの場合はエースの方が企画に異動になったり、管理職に早く昇格したりします。

企画に異動すると、営業の方が成果を挙げられるように支援をしていくことになるわけですが、エースの方がそういった立場になったとき、よく起こりがちな問題があります。

それは、新人の営業の方など、現場で苦しんでいる方とのギャップです。

個人的な成功体験は、時間が経ってしまうと、今現在現場で苦しんでる方とのギャップが出てきてしまうのです。

例えば、新人の営業の方が「アポの件数が増えない」と悩んでいる場合、元エースの方は

「なぜこんな簡単なことができないのだろう?」
「これをやればいいだけなのに」
「こう動けば解決するのに」

など、たくさんのアイデアを出すことができます。

そのため、現場にはたくさんの指示が飛ぶことになりますが、現場はそれを実行しきれず、なかなか結果が出ません。

つまり新人の営業の方の悩みを感覚で理解しづらく、「壁」が生まれてしまうのです。


エースの方を活かす「次のチャレンジ」

エースの方を十分に活かすためには、数字を稼ぐことはもちろんですが、早い段階で「人に成果を出させる力」を身に付けてもらうことをおすすめします。

数字が稼げる方に、「人に成果を出させる」という次のチャレンジをしてもらうのです。

そのチャレンジの代表的なものとして、ロープレの指導というものがあります。
結果がなかなか出せない方のお手本や指導役となって、引っ張ってもらいます。

指導する分、エースの方の営業時間が減ってしまうのは悩ましいことですが、時間を取らずにできる指導としておすすめなのが、「15分ロープレ」です。

1つのロープレは15分間で、顧客役、営業役、オブザーバーという3つの役割を回しながら5ステップで実施します。

【15分ロープレの流れ】

①ポイントの確認
まず最初に、
・気を付ける点
・何が課題なのか
・やってしまいがちなこと
などをピンポイントで明確にします。

②ロープレ前半
明確にした課題に対して焦点を当て、顧客役が少し難しいお客様を演じます。

③中間コメント
前半を踏まえ、改善したいポイントを明確にします。

④ロープレ後半
明確にしたポイントを意識して、もう一度ロープレします。

⑤振り返り
改善したいポイントについて、どのくらい改善や軌道修正ができていたか、ビフォー・アフターを振り返ります。

このように、1回ロープレをしてダメ出しをして終わり、ではなく、15分間で順を追って進めていき、「軌道修正力」をつけていく方法です。

15分で1回行なった後、次のサイクルのときには顧客役や営業役、オブザーバー役をローテーションしていきます。

これは同じ日でなく、別の日に実施してもかまいません。


そしてこの時に動画を撮っておくと、エースの方が普段やっているリアルな商談を、教材として手に入れることができます。


15分ロープレと同時に気付いたこと対話するようにすると、感覚で売れてしまって意外と教えるのが難しい、というエースの方でも、自然と指導ができます。

一点注意点を挙げるとすれば、エースの方が不在だと、ただの練習会になってしまうということです。


数字を時系列で追い、ロープレの効果を実感する

数字が伸びなくて悩んでいる時、そこには数字が伸びない原因となる「スキル」があります。

多くの場合、それは「ヒアリングスキル」です。

予算や意思決定、検討時期など、いわゆるBANT情報をヒアリングできていないのです。

私は今まで本当にたくさんのロープレを見てきましたが、BANT情報がヒアリングできない方には決まった傾向があります。

それは、「お金の話をするとお客様の印象を悪くしてしまうのではないか」「競合の話をすると競合になびいてしまうのではないか」と考えていることです。

そういう方に対して、技術的指導をせずただ「BANT情報を聞きなさい」という指示だけ出すと、商談の際に急に予算や競合について聞いてしまうことになります。

しかし普段から実践練習がされていれば、それは大きく変わってきます。

そして、「予算や検討時期が聞けたら提案件数が増える」「BANT情報が聞けたらいい案件が増える」など、そのヒアリングによってどの数字が上がるのかを時系列で追いかけることをロープレとセットにしていくと、ロープレの効果も追いやすくなります。


入力されたデータが活かされるかどうかについて、接戦への「組織の感度」が1つ目のポイント、「エースの方のリソースを、メンバーの育成に活用すること」が2つ目のポイントとなります。

ここでなかなか悩ましいのは、エースの方の人数が限られている場合、どうしても営業活動に注力してもらわなくてはいけない、などの事情もあることです。

その場合、どのようにエースを増やしていくかというところが重要になってきます。


そこで次回は3つ目のポイント、「三位一体の総力戦」についてお伝えしていきます。



また、データ活用についてより詳しくお知りになりたい場合は、ぜひ下記セミナーにお越しください。

◆【初開催】営業のデータを「見る」から「使う」へ
“なぜ、大事な情報が「使える」状態で入っていないのか?”
〜営業プロセスマネジメントは、三位一体で実現する〜


日 程:2019年3月5日(火曜日)

時 間:14:30〜16:00 営業マネジャーが乗り越えるべき壁とは?
    16:10〜17:30 データを使いこなす文化醸成とは?

場 所:半蔵門近辺


参加対象者:法人営業の「受注率アップ」を目指す営業部門、企画部門、人事部門の責任者様

参加費:無料


★セミナーへのお申込みはこちら