「アナロジーの徹底活用こそ、デキる営業の秘訣」は本当なのか?!

「アナロジーの徹底活用こそ、デキる営業の秘訣」は本当なのか?!.png

アナロジー とは

アナロジーとは、「何かと何かの共通点から類推する」ということです。

例えば、AとBという違った二つの事象の間に共通点や共通する法則があった場合、Aでうまくいったら、共通する要素を持つBでもうまくいくと考えられます。

つまり、「遠くの成功事例を借りてくる」というのがアナロジーです。

 

これを使うと、営業でうまくいっていないときに、それを打破する為のポイントを見つけたり、うまくいったときのやり方を持ってくることで、営業の勝率を上げたりすることが可能になります。

異業種の営業マン

私の例でお話をすると、以前、リーマンショックやサブプライムローンの頃、世の中の景気が悪くなって、採用予算や教育予算がどんどん削られていく時期がありました。

そんな時期にちょうど人事系の教育という商材を扱っていたので、お客様のところへ行く先々で、「リーマンショックの影響で…」「サブプライムローンの影響で…」と、マイナスの報告ばかりあがってくる状況でした。

私は営業チームのマネジメントをしていましたが、来る日も来る日もメンバーから悪い報告ばかりあがってきて、胸が締め付けられる思いでした。

その頃営業以外のマーケティングのチームも兼務していたのですが、そこであるインターネットの広告代理店の方が来たときに、「おっ」と感じる出来事がありました。

 

当時、私は営業チームを見ている中で、今年は業績がきついなと感じていたので、自分の会社に来たその営業の方に対して、「リーマンショックやサブプライムローンの影響で、当社のお取引先でも予算予算、ときつく言われていて、当社としても業績が良くならないとマーケティング予算は投じることができないんですよ」とお話しました。

それに対し、その営業の方がうまい切り返しをしてきたのです。

 

そのとき、「自分の会社が陥っている状況と、今私が相手の目の前に突きつけた状況には共通点がある」と思いました。

自分の会社が陥っている状況と、今相手が突きつけられている状況には共通点がある

「教育という商材を人事部に営業する」

「マーケティング部としてインターネット広告代理店の営業の方からサービスの提案を受ける」

これらには3つの共通要素があります。

 

1つは、「教育」という商材も「広告」という商材も、両方とも景気の変動の影響をとても受けやすいということ。

2つめは、人事部とマーケティング部、部署は違いますが、同じように「スタッフ部門(購買側)に対して営業する」ということです。

そして3つめは、教育研修という商材もインターネット広告代理店という世界も、当時参入している会社が多かったので、新卒の若手の営業が多かったということです。

 

このように共通点があるということは、目の前にいるハイパフォーマンスな営業の方がやっていることは、自分の会社の営業にも役立つのではないかと思いました。

困難な状況をうまくクリアしてくる異業種の営業から学ぶ

昔、コンサルティング会社にいたときに、成功事例をリサーチするという仕事が結構あり、そのときに学んでいたのがアナロジーという概念だったのですが、今ちょうど目の前で起こっていることが、まさにその「アナロジー」なのではないか?と思ったのです。

自分の会社の営業が困っている状況を、うまくクリアしてくる異業種の営業の人が、まさに今目の前でお手本を見せてくれている。

ここから共通要素を学んで自分の会社に生かせないかな、と考えたのです。

 

「景気の影響で…」というセリフに対してどう返すのか?

かたや研修、かたや広告という違う業界ではありながら、ある程度の数字を取ることは出来ても、「本当に成果が出ましたか?」と問われたとき、費用対効果の説明がしづらい世界で、そこをどう説明するのか?


新卒1~2年目の営業の人が多くいるけれど、では、今目の前にいる若手の営業の人は、どういう風にこのトークをしっかり喋れるようになったんだろうか?

 

このような要素が次から次へと出てきて、これらを考えることがとても参考になるなと思ったのです。

身の周りがヒントだらけに見えてくる

このアナロジーというのは、営業の壁を突破したり、成功法則を発見するということに対して、とても大きなインパクトを持っています。

 

先日私のコンサルティングの研修先で聞いた話なのですが、飲食業界ではない店舗の経営者向けに提案をしている営業の方が、街を歩いているときに、あるファストフードチェーンがSNSを使った面白いプロモーションをやっているのを発見、そして、それがネットで大変話題になってるのに気づきました。

そこでその方は、飲食店の成功事例ということで業種は違うけれど、「店舗を経営してお客さんを集める」という意味では共通しているので、これは使えるんじゃないですか?というのを提案されたそうです。

 

その方は、会社の中でもトップレベルのセールスマンだったのですが、このように一旦「違う業種の例が参考になる」という感覚を掴むと、身の周りがヒントだらけに見えてきます。

視点を変えれば自分の営業に活かせるヒントはたくさんある

皆さんもご自分の知り合いの中に、違う商材を扱っている営業の方が山程いると思います。そこで上手くいっている人がやっていることで、何か自分も使えることはないかな?と考えてみてください。

 

あるいは、ちょっと視点を変えてみると、例えば法人営業の方の場合、営業職として営業をしている自分がいる一方で、会社の中には人事部や広報部、マーケティング部、総務部など、「他の会社から営業を受けている部署の人」がいます。

ということは、その部署の方達が「どういう目線で営業を見ているのか」というのは、営業をしている自分にとってとても参考になる情報になるはずです。

一度、「営業を受ける側の部署の人」をランチに連れ出して、どんな営業を受けたのかなど聞いてみるのもいいかもしれません。

 

また、皆さんが行く飲食店などでも、繁盛しているお店があれば、どこが成功しているポイントは何かな?と考えてみることもできます。

さらには、飲食店に営業に来る人も当然いるので、たまたま店長さんがホールにいたら、「店長さんのところも結構営業の方が来られるんですか?」など、そこに来る営業の人の話を聞いてみると、営業の見られ方がわかり、ヒントとして、自分の営業に活かすことができます。

 

このようにアンテナを張っておくと、身の回りがヒントだらけになります。

どこかでうまくいっている事例というのは、その中に自分の営業との共通要素を見出せば応用が効きます。このポイントが「アナロジー」の醍醐味です。

常にアンテナを張り、身の回りにあるヒントを見つけたら、ぜひ皆さんの営業活動に役立てられることはないか、考えてみていただけたらと思います。