営業会議は、メンバーの課題解決脳を底上げする場

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営業会議の本来の目的について

営業活動をなさっている方々は、目標や進捗などをメンバー内で共有するため、定期的に営業会議を行っていると思います。
しかし、営業会議は数値面での現状把握以外にも重要な役割をもっているのをご存知でしょうか。

 

私が営業会議に同席していると、誰かが「あまりうまくいっていません」と報告をした際、マネージャーが個人に対して厳しい叱責をしたり、論理的に問い詰めたりする場面によく遭遇します。

成果がでていない個人を取り上げて、その人にプレッシャーを与えても、一時的な緊張感を得ることはできるかもしれません。
しかし、それが今後の成長や改善に具体的につながっていくと言えるでしょうか。

営業会議の場で、目標に対してうまくいっているか、うまくいっていないかを分解していき、特にうまくいっていない時に「じゃあ、そこで何をするか」という思考回路を働かせるトレーニングをする場にしてみましょう。

 

今回は、営業会議を教育的観点に活かしていく場にする方法についてお話します。

「壁とその原因」「対策」

まず、営業会議の場では、「メンバーが共通して遭遇している苦しい場面や難しさ」を取り上げてみましょう。

 

「最近、お客様とお会いしても、具体的な商談に進まなくなってきました」
「最近、コンペで競合の●●社に負けるケースが増えてきました」
「最近、価格の値下げ要請が厳しくて、コストダウンに対してお客様の要望が増えてきました」

状況報告をしてもらうと、このような課題を口にするメンバーがいるかと思います。

 

このように、「会えるが商談に進まない」「アポイントはとれる、名刺交換もできる、さらに一応挨拶はさせてもらえるが、そこから先の見積もりを出すような提案にいけない」というようなことを言うメンバーが数人いるということは、営業組織が直面している共通の課題だということです。

 

そこで、それを壁ととらえて「その原因は何だろうか」と対策を練るステップに進んでみましょう。

営業会議での上司の役割

・ファシリテーターとして発言を引き出す

まず前提として注意すべき点は、これをその場にいる参加者で進めていくということです。

上司が「その課題に対しては、こう対応しろ」とすぐに答えを出してしまうのではなく、上司はファシリテーターとなり、「今みんなはこれで苦しんでいるんだよね。なぜこれが起こっているんだと思う?」と問いかけをしていきます。

そして、なるべく参加者に考えさせ、「理由としては●●だと思います」と各自の考えを発言してもらいます。

そして、上司は部下の意見を中心に、「これってもう少しこういう見方もできるね」「これは確かにそうだね」という風に、あくまでコメントをかぶせていくように進めていくのです。

上司の意見を押し付けないことで、部下の考える力が育ちます。

・出てきたアイデアに優先順位をつける

そして壁の原因がいくつか出てきたところで、「今回はどの原因に焦点を当てるか」優先順位をつけて進めていきます。

たとえば、「上手く商談に進めないのは、うちのサービスについて強みや特徴が伝わっていないのではないか。
他社のサービスと同じように見られてしまっているのではないか」という原因が出てきたとします。

そして「そのために何ができるのか」対策を考えていくわけですが、ここでもなるべく上司が「●●をやって解決しろ」と言わずに、部下にまたアイデアを出してもらうようにします。

ここでの上司の役割は、出してもらったアイデアに対して優先順位をつけていくことです。

たとえば、部下から一通りのアイデアがでたあと「●●は1番にやろうか。2番は●●だね。●●と●●はその次だね」というように順番をつけて整理するのです。

この過程では、メンバーのリソース不足でどうしてもこれ以上対応できないとか、どうしても行き詰ってしまって考えが浮かばない、ということもあります。そういう時は上司からアドバイスをしてあげましょう。

メンバーに自分で考えてもらう

このプロセスの中で全体的に注意していただきたいのは、メンバーに自分で考えてもらうことです。

上司がすぐに「じゃあ、こうしたら」とか「じゃあ、これやって」といったように、そのまますぐに答えを言ったり指示を出したりしてしまうと、メンバーが自分で考える機会を奪うこととなり、自分で考える力が育たなくなってしまいます。

「いま、対応すべき壁は何か」
「そして、それはどういう原因で起こっているのか」
「どの壁に対して、どの順番で対策を立てるのか」
「それぞれの壁に対して、どんな対策が考えられるのか」
「どの対策を優先して実行していくのか」

 このように具体的な内容、ステップ、順番を整理して、メンバー全員で体感、記憶していきましょう。

 

このステップを、漆塗りのように定例会議で重ねていくことで、メンバーの課題解決、思考プロセスの構築力が鍛えられていくと思います。営業会議を仕切る方は、是非参考にしていただければと思います。