あきらめの悪さについての考察(前編)

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ヒントは「あきらめの悪さ」にあり?!

法人営業 に関する教育事業も、立ち上げ中の新しい事業も、共通するキーワードがあるということについ最近気づきました。

それは何かというと、「あきらめの悪い人」という存在です。

「あきらめが悪い」という言葉は、多くの場合、ネガティブなニュアンスで使われます。もちろん、人に迷惑をかけたりするのはよくないと思いますが、たとえば個人個人の人生においては、「どの時点で、将来の可能性について、一つの選択肢をあきらめるか」という場面があります。

私は、小学校の頃はずっと、漫画家になりたいと思っていました。中学生のときは家で毎日漫画を描いていましたが、そのうち、例の先生に出会って受験勉強を始めると、気がつけば「漫画家」という選択肢は無くなっていました。それはおそらく、単に漫画を読むのは好きであっても、職業としてやるほどには夢中にならなかった、ということなのでしょう。

・・・ちょっと話が脱線しましたが、ある文脈において、「あきらめの悪さ」というのは世の中を面白くしたり、ものすごく良くしたりするためにとても大事だと思うのです。いま身の周りにある便利なもの、偉大な発明、すごいサービスというのは、過去に誰かの尋常ならざる「あきらめの悪さ」から生まれています。

私は子供の頃から、偉人の話などがとても大好きで、世の中を変えた人たちの物語を読んだり聞いたりすることにすごく興奮を覚えるのですが、出てくる人はみな、おそろしく「あきらめの悪い」人たちでした。前向きに表現すると、「のめり込む人びと」ということになるのだと思います。

人間、子供のときはめちゃくちゃあきらめが悪いのですが(お菓子を買ってもらえるまで泣きわめき続けるとか、座り込むとか…)、大人から分別を教えられ、学校で常識を教えられ、だんだんと「限界」を認識するようになります。限界を認めるのは最初は悔しくてたまらないのですが、「あきらめることの悔しさ」がだんだん薄れてくると、「自分は、まあだいたいこんなものかな」というラインが見えてきます。 そして、そのラインを知った人の多くは、誰かが限界ラインを踏み越えようとすると、それを必死になって止めにかかります。

「それ、ふつうに考えて無理でしょ」

「もっとちゃんと考えたほうがいいんじゃない?」

「慌ててやらないほうがいいよ」

・・・台詞は様々ですが、要は、「このまま進むな」という黄色信号やら赤信号をつきつけるのです。 この黄色信号や赤信号について、ちょっと考えてみたいと思います。

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生きててよかった!!と思う瞬間

私はいま、企業のお客様向けに営業コンサルティングや研修を実施することが多いのですが、いつも印象深く感じるできごとがあります。 私自身のお客様は、ほとんどがいわゆる「法人向け営業」をされている方です。 法人向け営業では、

●実は営業側の知らないところで社内の検討がごにょごにょっと進んでいる

●競合がグイグイきていても、お客様はその様子を逐一教えてくださるわけではない

●もっというと、営業に対して気に喰わないことがあっても、(営業を受け慣れているので)おくびにも出さず、「前向きに検討しますね」といった返答がくる

・・・といったようなことが頻繁に起こります。

こうなってくると、法人向け営業では「どれだけ相手から情報を教えていただくか(営業側の質問力によって引き出すか)」というのが極めて重要になってきます。しかし、ほとんどの営業の方は

質問したら怒られるんじゃないか

相手との関係を悪くするんじゃないか

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と、質問をするのをためらいます。(あくまでも、自分が接したことのある30,000名ぐらいの営業の方々を拝見して、という感触ですが)

営業の方々向けに研修で「激怒されるまで質問しようと思っても、お客さんはなかなか怒らないんですよ(もちろん、マナーがきちんとしていて、お客様のことを考えた上で、という前提ですが)」と毎日のように言っていますが、9割以上の人は、ちょっと微妙な表情をします。そして、時に声に出されます。

「高橋さん、本当に怒られないんでしょうか?」

「高橋さん、やっぱり躊躇してしまいます」

・・・だいたいがこういった反応です。

でも、10人に1人ぐらいの割合で、「なるほど!」という顔をして、さっそく次の日から実践して、こんな風に嬉しそうに報告してくる方がいらっしゃいます。

怒られるどころか、いいことが起こりました!!

こういう報告をしてくる方は、次の2タイプに分かれます。

●もともとすごく売れまくっている人 ●みんなから「考えなしに行動するキャラ」「ちょっと常識がないタイプ」と揶揄されている人

前者はもともとスーパーマンですが、後者の方が嬉しそうに報告してくれたときには、「うれしい」とか「仕事しててよかった」とかいうレベルではなく、心の底から、「生きててよかった!!!!」と思います。

「苦笑」「失笑」から無敵のスーパーマリオ状態に

私は、会社を創って営業を始めたときに、「まずやってみる→失敗してから考える」という順序でやっていました。

●電話帳の「あ」行から順番に電話して、「仕事くれませんか?」とお願いして、断わられたら「うちの会社入りませんか?」と誘って、それも駄目なら「人を紹介してくださいよ〜」とお願いする →「き」まで電話をかけたところで、「な」の友達から、「あんた、最近変な電話してるみたいだけど、みんな微妙に思ってるからやめた方がいいよ」と言われる

●商談だとみんな本音を教えてくれないので、会議室で教えてくれないならご飯に誘って本音を聞いてみようと、商談を11:00か17:00スタートでアポをとって食事のお店を予約しておき、相手が男性だろうが女性だろうが商談の後に、「もしよかったらこの後、食事いかがですか?」と全員誘う →ナンパと疑われる?

●会社のメールでなかなか返信をくださらないお客さんがいるので、会社携帯の番号とプライベート携帯の番号を教えてもらい、「朝は何時から電話OKか」「夜は何時まで電話OKか」を確認する →一歩間違うとストーカー?

●「残念ながら今回は他の会社さんで決まりました」と電話で連絡がきたら、「すみません、それは100%確定ですか?それとも99.99%ですか?0.01%でも可能性があるのでしたら、もう1回、提案させて頂けませんか?」と必ず食い下がる →2人ぐらいのお客さんからは、「高橋さん、もしかして、会社やばいんですか?」と真剣に心配される

・・・ほかにもいっぱいありますが、たくさんの「苦笑」「失笑」をもらいました。苦笑と失笑って、けっこうグサッとくるんですね(今まで言わなかったけど)。

でもそのうち、「どの行動はOKか、どの行動はNGなのか」が肌感覚でわかってくると、情報の聞き出し方のコツがわかってきました。90%以上の営業は「質問するのを躊躇する」わけですから、お客様から情報を教えてもらいまくりで「一人だけ無敵のスーパーマリオみたいな状態」になってきます。

そして、売れまくってくるようになると、周りの見る目も変わってきました。自分の行動も、自然と「苦笑」「失笑」を浴びないで済む方法を体で覚えてくるようになりました。

そういう体験があったので、みんなから「考えなしに行動するキャラ」「ちょっと常識がないタイプ」と評されている方からうれしい報告を受けると、なんだか、ものすごく共感が高まってしまうのです(私ぐらいアホなことやってた人はなかなかいないと思いますが、同列にしてしまってすみません…)。

後編へ続く>