質問力の秘訣:お客様からの質問にどう答えるか?

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お客様へ、自社のサービス案内や会社紹介の資料をお見せしながら説明をしているとき、あるいは提案のプレゼンテーションなどにおいて、こちらがお客様へ説明をした内容に対して、お客様から質問をいただく場面がよくあると思います。

お客様から質問をいただいたとき、その質問にどのように答えていけばお客様の納得度が上がり、効果的なのでしょうか。

今回は、お客様からの質問にお答えするときのポイントについて、お話しします。

お客様からの質問に対してやってしまいがちなこと

私は営業の方向けの研修を実施する中で、よくロールプレイングをしています。
私自身がお客様役となって参加することも多々あるのですが、営業の方から受けた説明やプレゼンに対してお客様役として質問を返したときに、かなり多くの方がやってしまいがちな反応が大きく2つあります。


ひとつは、お客様側の質問の趣旨や意図を確認しないまま、ズレた回答をしてしまうこと。

もうひとつは、質問に対する回答があまりにも長く、お客様が途中から集中力を失ってしまうということです。

ズレた回答を防ぐには?

まずは、お客様からの質問に対してなぜズレた回答をしてしまうのかを考えてみましょう。

 

お客様へ提案の説明をしたときに、お客様からこのように質問をされたとします。

「今、御社の特徴についてご説明いただきましたが、この特徴について、●●●というケースではどうなるのでしょうか?」

こういった質問を受けたときに営業の方がよくやってしまいがちなのが、「あっ、それはですね…」と、そのままスルッと回答に入ってしまうことです。


こういった場面で、お客様の質問の裏側にあるものを考えてみると、次のような可能性がいくつか考えられます。


(1)「純粋によくわからなかったからもう一回聞きたい」
(2)「御社は特徴と言っているけれど、実は他の会社から聞いた内容とあまり変わらないから、他社とどう違うのかもう少し聞いてみたい」
(3)「御社はそれを特徴とか強みと言っているかもしれないけれど、ちょっとそこに不安があるので、その不安を払拭してほしい」

などなど、いろいろなケースが考えられるのです。

お客様の質問の意図や趣旨によって、営業の方が返すべき、望ましい反応は異なります。

しかし、お客様の立場から見てみると、その質問の意図や趣旨について「なぜその質問が出てきたのか?」をきちんと丁寧に確認してから答えてくれる営業の方というのは非常にまれです。

質問の趣旨が違えば回答も変わる

(1)お客様の質問の意図が
「純粋によくわからなかったからもう一回聞きたい」だった場合

「今、お客様は弊社の強みについてご質問されましたが、先ほどの私の説明では表現が少し、ややこしかったでしょうか?」とお聞きしてみます。
その上で、「失礼いたしました。それでしたら、もう少しかいつまんでご説明しますね」と、改めてわかりづらかったと思われるところを意識しながら説明をしてみます。

(2)お客様の質問の意図が
「御社は特徴と言っているけれど、実は他の会社から聞いた内容とあまり変わらないから、他社とどう違うのかもう少し聞いてみたい」だった場合

「今お客様がご質問されたのは、他の会社と特にどの部分がどう違うのか、ということについて確認されたいということでしょうか?」とお聞きし、他社との違いについて説明不足だったところを考え、回答してみます。

(3)お客様の質問の意図が
「御社はそれを特徴とか強みと言っているかもしれないけれど、ちょっとそこに不安があるので、その不安を払拭してほしい」だった場合

「今お客様がご質問されたのは、もう少し弊社の実績面について詳しくお知りになりたいということでしょうか?」とお聞きし、自社の実績についてアピールできるところを、説明に加えながら補足してみます。

このように、営業の方がこれから答えようとしている“質問に対する回答”が、きちんとお客様の質問の意図や趣旨を満たしているのかを確認することが大切です。
この確認をするだけで、質問に対する回答を聞いたお客様の納得度がだいぶ変わってきます。

回答が長くなりすぎる場合の対処について

ただ、気を付けたいケースとして、「質問の趣旨を確認できていても、その後の回答が長くなり過ぎてしまう」ということもあります。
質問に対して回答し始めたはいいけれど、その後また営業の方からの一方的な説明になってしまうケースです。

 

お客様から質問をいただけたということは、営業の方からの説明やプレゼンに興味を持ち、お客様の心がアクティブな状態になっているということです。
にもかかわらず、営業の方からの一方的な長い説明を聞いているうちに、そのアクティブな状態を封じ込め、また「ただただ説明を聞くモード」になってしまう可能性があります。

お客様がせっかく興味を持って質問してくださったら、できるだけ簡潔に回答し、すぐに会話のボールをお客様にお渡しできるようにしましょう。

ボールを渡すというのは、営業の方の回答によって再びもっとお客様に興味を持っていただき、リアクションしていただける状態にするということです。
この、ボールのやり取りができることが非常に重要になってきます。

 

お客様から質問をいただいたら、まずは「興味を持っていただいてありがとうございます」とお伝えしましょう。

その上で、お客様をさらにリアクションしやすい方向へ促し、ボールのやり取りができれば、結果として、資料の説明やプレゼンテーションが一方的ではなく双方向になっていきます。
双方向の状態を作ることで、お客様の理解度や興味、関心などもぐっと上がってくるはずです。

 

今回は、お客様からいただいた質問に回答するとき、お客様の納得度を上げる、効果的なポイントについて、お話ししました。

質問の意図や趣旨をしっかり確認してからそれに沿った回答をすること、そして、説明は一方的にしすぎず、せっかく興味を持ってくださったお客様とのボールのやり取りを意識して、提案を進めていただければと思います。