商談前の準備でどこまで想定しておくか

 ビジネスコミュニケーションにおいて、ロジックはもちろん大事なのですが、気持ちよく相手が動いてくれる状態になるためには、相手と二人三脚で合意形成しながらコミュニケーションを進めていくのがおすすめです。

 
 

ゴールはお客様の台詞で設定しておく

 縦に大きく3段階「ゴールの明確化」「合意の設計」「事前準備」とありますので、上から説明していきます。

 ゴールの明確化については、「お客様からいただくべき台詞」を具体化して想定問答を準備して臨みましょうということです。
その理由は、ひとえに検証がしやすいからです。
商談後に「この台詞がもらえた」または「違う台詞でもらった」など、商談の場が進められたかどうかを振り返る目安になります。

 この抽象度が高すぎる場合、例えば「お客様の前向きな反応を得る」などに設定すると、どういうふうになったら前向きなのか?という解釈が分かれてしまうので、台詞で考えておくのがおすすめです。

「4つの壁」に対策しておく

 次に合意の設計です。
図には発生しそうなパターンを2つ書いていますが、「関係性の壁」「情報整理の壁」「思い込みの壁」「損得勘定の壁」という「4つの壁」が人間には存在します。

 この4つの壁に対してどのように合意に至るのかを考えるということが、合意の設計のポイントになります。
スペースの都合上2つしか書いていませんが、この4つの壁をぱっと出てくるようにしておくと、抜かりのない事前準備ができるのではないかと思います。

 図の中で「むしろ」「実は」が赤文字になっている部分は、お客様の認知的不協和にうまく対応する2つのアプローチを表しています。
「むしろ」は相手の考え方を変える「枠組みの変更」という方法、「実は」は相手が知らなかった新しい情報を提示する「情報の追加」という方法です。
お客様が認知的不協和を自分を正当化する方向で解消しようとしたときに使えるやり方ですね。

 この発生しそうな壁を超えて合意に結びつけるためには「そもそもなぜその壁が発生してるのか」という理解があると、安心して落ち着いて臨めるのではないかと思います。

出す情報を2段階に分けておく

 そして事前準備は、情報の出し方を2段階に分けている点で特徴的です。

 図には「アジェンダ」「初期材料」「問いかけ」「追加材料」とありますが、初期材料と追加材料というふうに、情報を序盤に出すものと、ある程度相手と双方向のやりとりをした後に出すものとで分けるということです。

 商談では、一方的にプレゼンして最後に「ご質問はありませんか」と言っても、あまり反応がよくないことが多いのです。
これをどうやって双方向にデザインするのかというところで「問いかけ」が肝になってきます。

アジェンダに沿った情報の出し方

 アジェンダを見ると、「前回の内容確認(5分)」とありますが、ここでは「初期材料」の内容をさっと説明します。
5分経ったら、お客様に対して「今特に大変なことはなんですか」という問いかけをしていきます。
このように、双方向の議論に持ち込むためには相手にどのような台詞でどのタイミングでボールを渡すかというところまで準備をしておくことをおすすめします。
そうすると相手から発言が出てくるのでそれを深堀りしていきます。

 アジェンダの2番に「貴社の業務効率化に関する議論(45分)」とありますが、ここでお客様と会話のキャッチボールをするなかで、「このポイントでこの情報を出したらいいかもしれない」ということが見えてきたら追加材料を提示しましょう。

 ここでは、さきほどの4つの壁に対してどういうふうに合意に結びつけようかということを考えておくからこそ、追加材料として、いいタイミングで精度の高い情報が出せるのです。
追加材料は相手の会話の反応次第で出す資料ということになるので、資料の出し方にある程度の余裕が持てるように、議論の時間は長めに設定しておくのがポイントです。

 商談の最後は「今後に向けて」ということで、最低限収束に必要な時間をとっておきましょう。

 

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高橋浩一