~“安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問シリーズ~ 「提案はよかったけど価格で負けました」が起こる理由と回避方法

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営業部門を統括されている幹部や営業マネジャーにとって、「本来であれば防げたはずの失注報告」や、「安易な値引き申請」はできるだけ減らしたいはずです。

また、弊社がこれまでお付き合いしてきた3万人ほどの営業の方は、研修やコンサルティングの現場で営業上の課題や悩みを尋ねると、「お客様からの値引き要請が厳しい」「安くしないと売れない」ということを口々におっしゃいます。

「御社の提案はよかったのですが、価格が安い他社に決まりました」と断られる営業の方は、実際のところ多くいらっしゃいます。

本シリーズでは、数回に分けて「価格」の部分に踏み込んで考えてみたいと思います。


「提案はよかったけど価格で負けました」 はなぜ起こるのか?


本当に、お客様は価格だけで決めるのでしょうか?
「提案は結構響いていたのですが、価格で負けました」という報告は減らせるのでしょうか?

営業マネジメントにおいて、安易な値引きや失注を減らすためには、営業トークやプレゼンの内容を磨くだけでは不十分です。

そもそも、商品やサービスを購入する側のお客様はどう考えているのか。
お客様は、営業や提案をどうやって選んでいるのか。

その構造を解き明かした上で、このブログでは、数回に分けて

●価格だけに左右されない営業力を身につけるための「3つの質問」

●効果的な営業メンバーへの育成・マネジメント方法

についてお伝えしていきます。


お客様は本当に価格で決めるのか?

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「結局、お客様は価格で決めるんです」

営業パフォーマンスが上がらずに苦しんでいる営業の方は、皆さんこうおっしゃいます。

確かに、お客様の立場からすると、「良いものをなるべく安く買いたい」というのは自然な心理です。ただし、「価格だけで全てを決めているのか」というと、それはNoであるはずです。

何かを買う行為には、その用途や目的がひもづいていますし、「安物買いの銭失い」ということわざもあります。では、「お客様は実際のところ何で決めているのか」が重要なのですが、これが営業の側からするとブラックボックスになっています。

アンケート結果から見えてきたもの

弊社では、実際に会社の予算を使って購買した経験がある方に対してアンケート調査を実施しています。

その中で、「発注先の会社を選ぶにあたって、あなたが普段重視していることを、1位から3位まで選んでください」という設問があり、発注にあたって、1位・2位・3位という風に、選定基準の項目に順位をつけて頂いています。

図の、赤の囲みの部分にご注目ください。

価格に関連する項目が2つ並んでおり、片方は、「費用対効果への納得感」です。非常にスコアが高いですね。もう1つが、「とにかく他よりも金額が安い」ということです。

この2つとも、「価格」のことに言及されているものの、意味合いは違っています。

「費用対効果への納得感」というのは、効果と比べて納得できるかどうかということです。一方で、「とにかく他よりも金額が安い」は他の会社の見積もりと比べています。

そこで、営業幹部や営業マネジャーの方々に考えて頂きたいことがあります。

「提案は刺さっていたのですが、価格で負けました」と部下の方がおっしゃった場合、その「価格」は、費用対効果を指しているのか、他社との単なる価格差なのか、部下の方がきちんと確かめているのかを確認していますでしょうか。

「すごく安い価格で出してきた競合がありまして」という報告の裏側の真実にあるのは、「費用対効果」に対するお客様のシビアな目線であることが実際はしばしばあります。

しかし。そこを確認してくる営業の方はなかなかいません。

私は、営業研修の中のロールプレイで、この「価格で負けましたと」いう場面をしばしば扱います。

すると、ほとんどの営業の方は、「価格が・・・」という顧客の台詞に対して、すぐに値引きを打診してきます。

「高いと言われたらすぐ値引き」が条件反射レベルになっている営業の方は、価格以外に戦う術を知りませんし、営業の勝敗は価格で決まると思いこんでしまっています。

「価格」といっても、それは「費用対効果への納得感」なのか「他社との比較」なのか。営業マネジャーとしては、そこをしっかり確認してきているかに注目しましょう。


<本日のポイント>

「価格で負けました」と言われた場合、それが「費用対効果への納得感」なのか「他社との比較」なのかを確認する