本音を話してくださらないお客様の裏側

 本音で話してくださらないお客様の裏側ついて、1万人の調査から理解していきましょう。

 お客様が話をはぐらかしている場合、大きく分けて、ニーズをはぐらかす場合と、予算や検討状況をはぐらかす場合の2タイプがあります。
今回はニーズをはぐらかしたことがある、というお客様3750人に「ニーズや課題をはぐらかして営業担当に伝える理由」を聞いた調査結果を見ていきましょう。

 
 

お客様の3つのタイプと回答の傾向

 青が論理タイプ、赤が感情タイプ、黄色が政治タイプです。

  • 論理タイプ(青):自分なりの意見や判断を大事にするかつ、ロジックを重視するタイプ

  • 感情タイプ(赤):自分の意見判断を大事にする、かつ感情や感覚で決めるタイプ

  • 政治タイプ(黄):自分の意見判断よりは他人の意見判断を大事にするタイプ

 これは日本人の国民性かもしれませんが、全体で見ると政治タイプが多くなっています。

 1万人の購買者をこれら3タイプに分けると、ざっくり2対1対4の比率になります。
この比率に照らしてグラフ上部を見ると、論理タイプと政治タイプは大体1対2ですが、感情タイプは論理タイプと同じぐらい存在します。
実は感情タイプの方は、はぐらかし傾向が強いということが分かります。
感情タイプの方は、何か聞かれたときにはぐらかす傾向が強いというのは覚えておくと良いポイントです。

 次に回答の傾向を見ていきましょう。
上から下に向けて全体の回答数で並べていますが、各タイプごとの傾向の違いがあります。
まず1番上の「強引に売り込まれるのを避けたいから」という項目についてです。
これは、論理タイプが27.2%、政治タイプでは30.2%と1番多い答えです。

 しかし、感情タイプは15.1%とガクッと回答割合が下がっているのが分かります。
つまり、売り込まれたくないという傾向は論理タイプや政治タイプの人が特に強いということです。

 そして「あえて全てを伝えず、営業担当者のお手並みを拝見したいから」という項目も同様で、先ほどの比率とまではいきませんが、論理タイプと政治タイプが強めに出て、感情タイプがやや落ちるという傾向があります。
論理タイプと政治タイプは上の2つに回答が多く集まっていますので、2タイプの典型的な壁であることが分かります。
感情タイプは結構ばらけてるのが特徴です。

商談で各タイプのニーズを聞き出すには

 実際の商談に置き換えるとどうか、という観点で見ていきましょう。
商談をしている時、お客様がロジカルに突っ込んできたり、自分1人で決めたがったり、他の人の意見を気にするなど、論理タイプや政治タイプの気配が漂ってくるとします。
その場合、無理に押し通そうとするとはぐらかされることがあります。
そこをどう聞き出すのがいいのでしょうか。

 結論から言うと、『無敗営業』の本に書いてあるような「枕詞」をうまく活用することによって、聞き出せる率が上がるという調査結果が出ています。

 感情タイプは捉えどころがないように思えますが、グラフの下の方を見ると「課題をその場で言葉にして伝えることが面倒くさいから」というのが、他のタイプに比べて2倍もしくは3倍近く多いというのが伺えます。
感情タイプは言葉にするのが苦手という傾向が出ており、言語化された情報に対して苦手意識が強いようです。
そのため、メールや資料もあまり読まない、これは感情タイプ特有の傾向として出ています。

 感情タイプの方に対して質問するとき、オープンクエスチョンで聞いてしまうと、なんとなくはぐらかされた答えが返ってきやすくなります。
例として「御社の課題は何ですか。」と聞くと「課題…うん、いろいろあるよ。」というようにおっしゃられます。
そのため、感情タイプの方には特定質問が有効です。

 例えば、「Aですか、Bですか。」というふうに選択肢で聞く、または「特にここ1ヶ月間で上司の方がおっしゃってるのはどういう課題ですか。」と質問を狭めて聞いてあげることで、相手が答えやすくなります。

 よく、「高橋さんは商談のとき、それぞれのタイプに対してどう対応されてるんですか。」という質問を受けます。
こういったタイプを知識として知っておくに越したことはないですが、少し気を付けなければいけないのは、先入観や固定観念、決め付けのようなものによって、自分のコミュニケーションが歪んでしまうことです。
まずはどんなタイプでも、相手の方をきちんと理解しようというのが大前提です。
どういう意図で話しているのか、どういうことを考えているのかを丁寧に聞いていくのが大事ですね。

 そして、商談が終わった後の振り返りで「相手に上手く響いていなかったな」ということがあれば、このタイプの話を思い出して自分のコミュニケーションのバグを探してみてください。
振り返りの際に指針として参考にするとよいですね。

 今回共有したグラフも、あくまでも考える材料として、商談を後で振り返って検証するときに使っていただけると良いのではないかと思います。

 

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高橋浩一