質問力を活用した価格交渉のタイミング把握

質問力 を活用して価格交渉の問いに正しく応える

質問力 を活用すると、お客様からの価格交渉にも適切に対応ができるようになります。本日はその方法をお伝えします。 私は日経課長塾で一般の方々に対して、提案や営業力 の講座をやっています(2016年の課長塾 講座は11月かららさせていただきました。2017年の課長塾 講座は6月より)。

その講座では、様々な会社から参加される営業職の方々に対して、私がお客様役になり価格交渉を仕掛ける、という営業 シミュレーションを毎回やっています。その中で、先日とてもびっくりしたことがありました。

お客様役の私が「ちょっと高いですね」と言うと、ほぼ全員がその場で即座に値下げを提案してきてくださったんです。

お客様の立場からしたら、安く買えるのでありがたいのですが、もし営業 の立場でこのような行動が身についてしまうと、値下げなど「価格の安さ」を武器にした売り方しかできなくなってしまいます。これは非常に怖いことです。

値段交渉に応じる前に絶対行うべきこと

価格交渉に応じる前に、絶対にこれだけはしていただきたい質問 があります。

それは「価格以外についての順位を聞く」ということです。 コンペの中間順位を聞くことの重要性は以前にもお伝えしましたが、価格について回答する前に、「価格以外についてどうか」を質問 するわけです。

例えば、お客様から「高いですね」と言われたとします。

このとき、ほとんどの方が瞬間的に「じゃあ安くします」や、「いくらであれば、ご納得いただけますか?」ということを質問 してしまいます。

しかしそうではなく、まずはこんな質問 をしてみましょう。

★コンペの場合 「わかりました。高く感じられるということなんですね。価格のお話で今おっしゃったことは理解したのですが、参考までに、いったん価格の件を横に置いたとして、価格以外ではどうなんでしょうか。当社が一番なのでしょうか、他の会社さんが上なのでしょうか?」

★コンペでない場合価格という要素を仮に除いた場合、内容としては、”これは導入してみたい”ということで社内でお話が通りそうな感じですか?」

このように、価格以外において、決定の水準を満たしているのかどうかを質問 してみることによって、後の交渉材料が全く変わってきます。

もし、これを掴まずに持ち帰ってしまうと、とにかく安くすることで受注しよう、という風になってしまいます。

値下げ以外の選択肢が増える

さて仮に、価格以外の順位を聞いて決定の水準を満たしていない状況だったとしましょう。

もう一社、価格以外の要素で当社よりもいい競合があるということは、価格以外でまだカバーしなくてはいけない要素があるということですね。

そして、そこを満たすことができれば、逆に価格が高くても受注できるかもしれないのです。

価格以外の順序を聞かないということは、この可能性をつぶしてしまうということです。

つまり、全部を価格で解決するというスタンスになってしまうと、安くするしかできないのですが、価格以外の順位を聞いてみれば、その返答によってはこちらの選択肢が増えることになります。

場合によっては、価格以外の要素をカバーすることで、結果的にそのままの価格で受注できることもあります。

今後、もしお客様から「ちょっと高いですね」など価格交渉を持ちかけられた際には、いきなり価格の話をするのではなく、いったんその話は置いておいて「価格以外ではどうなのでしょうか?」とぜひ質問 してみてくだい。

コンペの場合には、価格以外の要素での順番がわかれば、単独一位になるまで価格を安くする以外にやることがあります。

そしてコンペでない場面でも、価格以外では決定の水準を満たしているのかを確認し、値引きは本当に最後の最後のところにずらしていただきたいのです。

これによって営業として非常に選択肢が増えますし、「安さだけが売りじゃないですよ」というポジションを取ることもできます。

価格交渉になったら、価格以外の順位を聞かずして値下げをしない。ぜひこれを念頭に置いて提案に臨んでいただければと思います。