質問力が法人営業においてなぜ重要か?(前編)

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質問力の法人営業における影響力について

質問力 について、あなたはどの程度ご存知でしょうか? 法人営業 においてあなたは激怒されるまで、お客様に質問したことはありますか?

「えっ?どういうことだ?」と思ったあなたに向けて、実際に私の経験を通じた気付きと学びを、質問力  前編・質問力 後編の2回に渡って、お伝えします。

※質問力 (法人営業 編)について後編も公開しました!

・「質問力 」がなぜ重要か?(後編)

「激怒されるまで質問する質問力 」とは?

私が実施する研修では、「お客様から激怒されるまで質問しましょう」という質問力 について参加者の方にお伝えしています。

はじめは皆さん不思議な顔をされますが、実際に試してみて頂くと、大半の方が研修後1ヶ月以内に、「質問力 をうまく活用することでコンペに勝ちました!」「今までにないぐらいお客様が話してくれました!」といった嬉しい報告をわざわざしてくださいます。

その途中で、お客様から褒められたり感謝された方々は沢山いらっしゃいますが、激怒された方は今のところゼロ人です(笑)

質問力の本質とは

誤解のないように申し上げておきますと、これは、別にお客様に嫌がらせをしましょうとか、相手の迷惑を顧みず質問しましょうということではありません。

3万人近く、営業の方々と法人営業 を通じた仕事でお会いしてきた私の実感として「法人営業 や通常の営業 に携わるほとんどの営業 の方は、相手から怒られるのではと勝手に思い込んで、聞けばいいことを質問せず、質問力 を活用することなく商談を進め、その結果として、提案の質が下がっている」という状態にはまっているのではということです。

今でこそ「質問 型営業」という言葉は珍しいものではないですし、「質問 」や「ヒアリング」を扱った書籍も沢山出てきていますが、質問力 を活用して質問 するといっても具体的にどうしたらいいのかについては、なかなかつかみどころもないのもあるでしょう。

質問力 のコツがつかめるようになるまでは、沢山の試行錯誤が必要です。ある程度の数を伴う経験が求められてくる中で、「怒られたら嫌だから質問 するのをやめとこう」という心のブロックを外すのが、先の「お客様から激怒されるまで質問しましょう」という台詞です。

それにしても、「激怒されるまで質問 しましょう」というのはなかなか過激な言葉ですが、私自身がこれに至ったきっかけを説明したいと思います(注:もちろん質問力 を活用した質問 の仕方にもポイントがあり、そこを押さえずに質問 すると激怒される可能性もありますので、「激怒されずにうまく質問 するためのコツ」については別のところでお伝えします)。

あるトップセールスマンから受けた、「一見奇妙な」質問 

今でこそ、毎日のように色々な企業のお客様相手に法人営業 研修 やコンサルティングをやっていますが、私自身営業 を始めた当初は、あまりにも売れなくて、貯金もどんどん減っていき、このままいったらどうしよう・・・と思い悩む日々でした。

そんなとき、友人から紹介されて某生命保険会社の自称トップセールスマンにお会いしました。

受注もゼロに等しい状況でしたから、「何かの参考になるかも」と、人からの営業 を受けてみたわけです。

商談が始まった瞬間、その営業 マンから変な質問 (これこそが質問力 というもの)をされました。この台詞は、今でも覚えています。

最初に聞かれたことは、

「高橋さん、あなたはずっと生きているわけではないですよね?」という質問 でした。

私は当然、「はい」と答えます。

続いて営業マンから次の質問 が。 「あなたには、もしものことがあったら悲しむような大事な人はいますか?」

これも、私は「はい、まだ親も健在ですし、家族がいます」と答えます。さらなる質問 は、 「その大事な人が悲しむ場面を想像したら、胸が痛みませんか?」

この質問 に対しても、私は「はい、それは胸が痛みます」と答えざるを得ません。・・・・・・ ん?答えざるを得ない?何かが頭の中をよぎりました。

そして、その営業マンの質問 はこうきました。 「では、その大事な人のために今からできることを、お財布の傷まない範囲で検討してみませんか?」

この台詞を聞いたときに、頭の中で何かが反応しました。

「はい」と繰り返し答えていくうちに、 気がつくと、「提案を受ける」モードに入っていたのです。

営業や法人営業における仮説検証サイクルを回すためには、「質問 を止めないこと」が質問力において大事

当時、私は自分が訪問した先に対して、いくらがんばって質問 してもなかなか提案にまでたどり着けませんでした。

しかし、まさに今自分の目の前で、初対面から数分で提案にまでこぎつけた営業 がいる。

その営業 マンの行動を見て、「これは、勝つやり方が行動としてインストールされている」と感じました。

私は、徹底的にその営業 マンの台詞や行動、質問 をメモし始めました。

そうして、翌日から、試行錯誤の日々が始まったのです。

まずは説明型・プレゼン型から質問 型に切り替えてみよう。

質問 型に切り替えることで、「どうやったら、もっとうまく聞けるのか?」「どうやったら営業プロセスが先に進むのか?」「どうやったら買って頂けるのか?」をより深く考えるようになりました。

そのためには、とにかく、たくさん、たくさん、質問 をしながら、「ああでもない、こうでもない」という試行錯誤のプロセスが不可欠だったのです。

今までは、質問 一つに躊躇していた私でしたが、なりふりかまわず聞いているうちに、だんだん質問力  のコツがつかめてきました。

「ビジネスマナーに気をつけること」「自分の都合で聞きすぎず、相手に対してお役に立ちたい意思を示すこと」この2点にさえ気をつけていれば、数百人に対して「激怒されるまで質問 」しようとしても、結果として、怒られることはなかったのです。

いきなりその日から、お客様の反応が変わっていく感触がありました。

コツをつかんだら、あとはとにかく法人営業の数を稼ぐ

感触を得てきた私は、法人営業 活動において情報収集、実験、検証のモードに入りました。とにかく色々と取り入れ、考え、試してみる毎日です。

たくさん営業 を受ける中で、話を聴いてみようと思わせる営業 と追い返したくなる営業 はどこが違うのか?

自分の営業 はどこでつまづいているのか?どこかいいところはあるのか?

ひたすら、ひたすら、聞き続けました。

いま思い返すと、この聞き続けるプロセスを通して、私は一つの問いをしていたのだと言えます。

それは、「お客様がその会社、その営業 を選ぶ理由は何か?」ということです。

その営業 を選ぶ理由があるからこそお客様は話を聴いてみようと思うわけですし、営業 を選ぶ理由につながる材料があれば簡単には追い返されません。

ただ、この質問 に対する答えは、営業 である私の中から出てくるものではありません。 そこが極めて重要なポイントです。

このポイントをつかんでから、お客様の反応が変わっていく感触がありました。

それまでは初回訪問のときに、私は「御社の課題は何ですか?何かお悩みがありますか?」と聞いていました。

当然、いきなり初めて会った営業 マンに対して会社の深刻な悩みをベラベラ話す大企業の担当者なんていません。「それほど困っていません」と追い返されるのがオチでした。

しかし、生命保険の営業マンのトークを思い出し、こう変えてみました。

「御社のような、規模も大きくて就職活動の人気ランキングも高い会社さんだったら、優秀な方がたくさん入ってくるわけですから、人のスキルや組織の悩みなんて全く無いのではないでしょうか?」 という質問 をしてみたのです。

もちろん、お客様の答えはこうです。

「いえいえ、何をおっしゃいますか高橋さん。弊社なんて悩みだらけですよ」

そして、私はこう返します。

「え、そうなんですか?意外ですねー」

そうすると、お客様は「聞いてくださいよー」とばかりに、どんどん課題をしゃべってくれます。

今までガードが堅く当社の悩みなんて話してもらえなかった日々から、いきなり、会社の悩みをすらすらと頂けるようになり、商談の展開がガラッと変わったのです。

感触を得てきた私は、法人営業 活動において情報収集、実験、検証のモードに入りました。

後編では、「お客様がなぜ当社の提案を選ぶのか?」、「勝ちパターンの確立と進化」について、お伝えします。

※後編も公開しました!

・「質問力 」がなぜ重要か?(後編)