【保存版】ルート型、アカウント型がそれぞれ取るべき行動と戦略 総集編 【1】ルート型とアカウント型


今まで、ルート型、アカウント型のお話は何度か触れてきました。

営業は基本的にこの2つに分かれているので、ご自身がどちらの営業なのかを踏まえて、それぞれの特徴や取るべき戦略を見極め、行動していくことが成果に繋がります。

そこで、今回はルート型、アカウント型における戦略や成果を上げるコツなどをすべてまとめ、全10回でお伝えします。


営業方針、戦略でよく聞く悩み

営業の方針や戦略について、私が毎日様々な方と会う中でよく聞くのは、こんな話です。

業績が厳しくなってくると、どこからともなく「行動量増やそう」という声が出てくる。
訪問件数などの行動KPIが掲げられ、「もう、営業って会社の中にいちゃだめ」「考えてばかりいないで、とにかく外に出て稼いで」という掛け声が増えてきて、組織をあげてどんどん行動量を増やす方向に向い、オフィスで人をみかけなくなる。

しかし、そこで提案件数が増えても、肝心の数字がなかなか伸びない…これもよく聞く悩みです。


「行動したけど、数字が伸びない」となると、今度は、「お客様のこと考えて、ソリューション営業しよう」と言われはじめます。
少し前に「考えるな」と言っていたのに、舌の根も乾かぬうちに真逆の指令が出るわけです。

このあたりのバランスに、苦労している組織が多いようです。
組織が一貫した戦略や方針というものを定めて展開していくことって、なかなか難しいですね。

営業スタイルの違いを考える

そんな時どう対処すればよいかを考えるにあたって、最初に、ご自身の所属する組織について、一人の営業が担当するお客様の数を想起してみてください。
以下、A~Cのそれぞれの定義において、何件づつになりますか?


 A=既存取引のあるお客様
 B=取引はまだないけれど、新規のアプローチ中のお客様
 C=実際に接触したかどうかに関わらず、その営業の担当として割り振られているお客様


Cというのは、例えば、飛び込み営業の組織ならばエリアのお客様件数、テレアポの営業組織であれば新規のコール件数で定義されるかもしれません。
おおよその数で構いません。

新規開拓専門の組織であれば、A=0ということもあるでしょう。
ポストセールス専門の組織であれば、C=0かもしれません。
実は、このA+B+Cの合計数が、営業組織の方針や戦略の立て方に大きく関係しているのです。


さて、上記のA,B,Cを全て足した合計は、以下の図の①~④のどれにあてはまりますか?

SFblog01.JPG

その結果次第で、営業組織の動き方の型は違ってきます。


ルート型とアカウント型営業

まず、その数が何百件にも及ぶリストとなるような組織では、営業の動き方としては、どんどん順番にコールするなり、飛込をかけるなりのアプローチを巡回させるという動き方になります。

往々にして意思決定プロセスが複雑ではないお客様に対して、即断即決型で、リードタイムが短い商談を、数多くこなしていくことになります。
このタイプを、今後、便宜上「ルート型」と呼びます。(図の右上のオレンジの矢印)

一方で、合計で20件もないという組織であれば、やはり個々のお客様をつぶさに理解していくことに主眼が置かれます。


何人もの関係者が関係していて、意思決定プロセスも複雑なお客様に対して、比較的提案の検討期間も長い商談を進めるため、数は打たないけれども、1件1件、じっくりとカスタマイズした提案を進めていくことになります。
このタイプを「アカウント型」と呼びます。(図の右下のグリーンの矢印)

「ルート型」の場合は、だいたい競合企業も接触頻度の高い動きをしています。全件受注ができないとしても、エリアの中でどれだけ頻繁にお客様にタッチできるかという勝負、確率論でシェアが決まってくる側面があります。

その場合にまずとられる戦略としては、まず行動量を増やして、次に行動の質を上げようという順番になります。

一方で「アカウント型」の場合、お客様の組織やプロセスを細かく理解して、受注率や単価を上げ、一件のお客様の中でのシェアをあげていくことが目標になるので、説得力の重要性が高く、どれだけ情報収集ができているか、自社提案をお客様の社内でしっかり通していただけるかという戦いになります。


最近伸び悩んでいるがなにがボトルネックになっているのかと悩んでいる営業リーダーは、ご自分のチームや部下がどちらのタイプかを考え、実際の動きの突破口を探ってみると良いかもしれません。